室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t05201#空き家入居のリフォーム?で被害−化学物質の室内汚染で住都公団へ要望書提出#96-07
 化学物質による室内汚染に関して、反農薬東京グループはかねてから、公共住宅の仕様書を問題にしてきました。建材の選び方などすべて仕様書に書いてあるからです。今回、公団の空き家に入居しようとした田島文子さんから、準備のために室内に2時間ほどいたら頭痛、吐き気などがしてきたので、その原因を調べたいとの連絡がありました。
 田島さんは公団がリフォームの際に何か化学物質を使ったのではないかと思い、公団の営業所や東京支社などに問い合わせましたが、たらい回しにされるだけで、誠意ある回答はもらえませんでした。畳にどのような防虫処理をしたのかという質問に、公団の担当者は「公団が安全だと決めたので公表する必要はない」と答えたそうです。反農薬東京グループは、7月12日に岡崎トミ子衆議院議員を通じて以下のような要望書を公団に出して、その真意を問い質すと同時に、化学物質をできるだけ使わない住宅を建設するよう要望しました。
 7月19日、岡崎議員と共に公団の担当者と話し合いを持ちました。公団からは住宅保全課長、業務課長など4人が説明にきましたが、まず、先の要望書を受け取るか受け取らないかという不毛な議論から始まりました。この事実はいかに公団が官僚的な体質を持っているかを示しています。
 実際に、要望書の内容について聞いて行くと、それはますますはっきりしてきました。まず、当該団地でのリフォームの際にどのような化学物質が使われていたのか物質名を明らかにしてほしいということについては、国が認めた安全なものを使っているので、知らせる必要はないとのことでした。入居者が実際に具合が悪くなって、その原因を知るために何が使われたか教えて欲しいと言っているのに、この対応はあまりにも誠意がみられません。
 2番目の室内の化学物質の調査については、考えさせていただきますとのことでした。換気に関する注意だけはやるよう検討しますといいましたが、公団は、自分のところでも建材から発生する化学物質が健康に与える影響などの研究を行っているはずですが、国レベルの研究結果を待って対応したいと述べるにとどまりました。反農薬東京グループは引き続き公団と交渉したいと考えています。
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 要望書
 私たちは、身の回りで安易に使われている農薬や農薬類似物質の危険性を訴え、できるだけ化学物質に頼らない生活をしようと運動している市民グループです。公団住宅で使用されている除草剤や殺虫剤に関しても使用しないよう何回か申し入れています。
 今回は貴公団が使用している防虫畳について当会会員の経験を元に要望いたします。
 町田市の公団住宅の空き家に入居が決まった会員は、準備のために入居予定の部屋を訪れた際、2時間ほどいただけで頭痛、吐き気などにおそわれました。その原因を究明したいと思い、公団南多摩営業所、東京本社などに電話で何が使われているのかを問い合わせましたが、「人体に悪いものは使っていない」「そんなことを言うのは100万世帯のうちでお宅だけだ」などとまともに取りあってもらえませんでした。
 やりとりの中で、公団が防虫畳を使っていることが明らかになり、その成分を知らせるよう求めると、東京本社の技術工務課の担当者は「公団が安全だと決めたので公表する必要はない」と答えるのみでした。また、担当者は「バルサンをたいたのでそれが残っていて頭痛がするのだろう」などとも述べました。
 会員は、自分の体に異常を感じたのは何故なのか知りたいと思い、化学物質を疑って質問しているわけですから、公団はリフォームでどこを直したのか、それには何を使ったのか、いつその工事が行われたのかなど答えるべきでしょう。また、バルサンなどを使用した場合もきちんと教えるべきです。
 農薬など化学物質で中毒をして医者や中毒110番などに相談するとき、必ず、その物質名を聞かれます。物質によって症状や手あての方法が異なるからです。
 貴公団が入居者にこのような情報を伝える必要がないと思っているとしたら、重大な問題です。なぜなら、今、室内化学物質汚染が人体に悪影響を与えることが明らかになっているからです。特にアレルギーを悪化させたり、化学物質過敏症は非常に微量の化学物質で起こることが明らかになっています。
 私たちの調査によって、防虫畳に非常に高濃度の殺虫剤が使用されていることがわかりました。1995年に、東京都は私たちの要請によって、貴公団と同じような仕様の防虫畳からどのくらい殺虫剤が室内に揮発してくるか実験しています。それによるとフェンチオンという有機リン系薬剤が最高7μg/m3検出されています。この濃度は農薬空中散布時の周辺環境での指針値2μg/m3の3.5倍です。この指針値に関しては私たちは低すぎると批判しておりますが、それすら大幅に上回っていることを考えると、会員が頭痛、吐き気を訴えたことは十分納得できることです。東京都はこの情報を貴公団にも伝えているたと聞いております。
 このような状況のなかで、平田米男衆議院議員の「シックハウス(病気の家)症候群に関する質問主意書」に対して、政府は答弁書の中で、貴公団が平成7年度から「建築材料に添加される化学物質の健康への影響を含め、集合住宅と健康の関係に関する研究をおこなっている」と述べています。そのような問題意識が貴公団にあることを示したものでしょう。
 にもかかわらず、入居予定者が何が使われているか教えてほしいと要請したことに対する貴公団の対応は全く誠意がみられず、入居者の健康を一顧だにしていないといわざるを得ません。
 以上のことから私たちは次のことを要望いたします。
                記
1、町田市鶴川団地でリフォームの際に床、壁、襖、押入、台所、風呂等に使用された素  材の材質、接着剤、溶剤、殺菌・防カビ剤、殺虫剤、可塑剤、難燃剤、顔料(着色剤)  等の化学物質名を明らかにすること。
2、それらの化学物質が室内にどれくらい揮発しているか、それがいつまで継続するのか  調査すること。
3、入居者に対して、上記化学物質についての情報を伝え、頻繁に換気するよう注意を促  すこと。
4、畳などのダニ対策は薬剤中心の化学的方法ではなくて、人体に悪影響を与えない方法  で行うこと。
5、建築材料に使われている化学物質の健康への影響などの研究結果を明らかにすること。
6、早急に貴公団が使用している建材の安全性を調査し、健康に悪影響を与える建材の使用をやめること。

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作成:1998-04-01