室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t05504#国民生活センターが農薬で注意を呼びかけ−「安全に使おう!家庭用殺虫・防虫剤」(2)#96-10
5.事故事例…家庭用殺虫・防虫剤の危害情報135件の中から代表的な事例を下に掲げました。
★「危険性の高い商品とはいえない」?!
ところで、国民生活センタ−では、この事故の原因を探るため、財食品安全センタ−に依頼して殺虫剤の気中濃度を測定していますが、そのテスト結果からの結論を、以下のようにまとめています。
1.蚊とり線香、リキッドタイプの蚊とり剤 とも、つけたままの部屋の中に8時間いても従来から用いられているWHO/FAOの一日摂取許容量などからみれば基準以内である。
2.くん煙剤を使用中の部屋に入っていると、呼吸からの殺虫成分の摂取量は、5分間で1日当たりの許容量を越えるが、部屋から出ていれば問題はない。ただし、食品などを放置しておくと食品衛生法の農薬の残留基準以上の汚染が起こる場合がある。
つまり、殺虫剤は、従来の安全基準からみれば、それ自体危険性の高い商品とはいえない。
…以上が結論ですが、本当にそうでしょうか。例えば、このテストでは、殺虫剤の代表的な「スプレ−式殺虫剤」はテストしていません。また、ADI(一日摂取許容量)自体多くの問題をはらんでいますが、ここではそれをおくとしても、殺虫成分のアレスリンにはADIが設定されていなのに、「WHO/FAOの一日摂取許容量などからみれ ば基準以内である」となぜ断定できるのでしょうか。さらに、テストは「取扱い説明書に従って」行われていますが、現実にはその通りに使われるとは限りません。こうしてみると、「危険性の高い商品とは言えない」との結論は、あまりに乱暴です。
もっとも、国民生活センタ−でも、以下に紹介するように、同時に、「消費者向けアンケ−ト」「事業者向けアンケ−ト」を行い、そのアンケ−ト結果をもとに、この結論に軌道修正を加えています。
★28%の世帯で、事故を経験
「テスト結果から事故原因を推測すると、1.135件の事故が体質・体調・使用方法等 に起因する稀なケ−スである、2.殺虫剤の安全基準自体が適切でない、のいずれかということになる。そこで、消費者に対し、殺虫剤・防虫剤等の使用実態、事故の有無等についてアンケ−ト調査を実施した(回収数1,412人)。その結果、殺虫剤を使用 している1,320世帯中、371世帯(28.1%)で家族の誰かが事故を経験していることがわかった(下表参照−略−)。危害情報システムに寄せられた135件の事故は決して稀なケ −スとは言えない」。
さらに、「事業者向けアンケ−ト」結果も考慮した上で「殺虫・防虫剤の安全性」について以下のように結論づけています。
1.事業者の商品の安全性への取り組みからみると、家庭用殺虫剤などの殺虫成分の気中濃度と粘膜への影響などについては 客観的な毒性デ−タが不明であることから、アレルギ−性や刺激性がもたらす人体への影響については、将来的な健康被 害の影響を含め、不安が残る。
2.「頭痛は中毒の初期症状としてのサインである」との立場にたてば、現在の安全性評価だけでは、室内で誰もが自由に使える商品の安全性の根拠としては不十分である。
★事故の未然防止の立場からの提言
以上のような観点から、国民生活センタ−では、「殺虫・防虫剤は、気をつけて使おう」と、消費者へのアドバイスを何点かあげています。ところで、同センタ−では、この発表後に、『家庭用殺虫・防虫剤の安全性−化学物質の身体への影響−』と題した事故解析報告書を出しています。そして、この報告書の終わりに書かれた提言の方が、より消費者へのアドバイスとして適切と思われるので、以下、紹介します。
1)家庭用殺虫剤は、成分としては農薬として使われているものと殆ど同じものが使われている。このことは消費者がよく知っていない。とくに電気蚊取りマットなどは農薬と同じ成分だとは気づかないで使っている人が多い。このことを、まず消費者に周知徹底する必要がある。
2)この中で最も毒性の強いのは神経毒性を有する有機リン剤である。有機リン剤は低毒性のものといえども人体に与える影響は強いので、取扱いには十分注意しなければならない。中には、DDVPのように劇物と指定されているものも使用されているが、本来はこのような急性毒性や皮膚刺激性の強いものは、人が住む屋内では使用すべきではない。
3)有機リン剤以外では、ピレスロイド系 殺虫剤が多いが、これも昆虫に対しては神経毒であることには変わりない。毒性についてはまだ十分解明されていないが、まったく人畜無害とはいえず、注意して使用する必要がある。
4)屋内で燻煙、蒸散する場合は、人(とくに子供)が入らないように注意すべきであり、一定時間後に必ず戸や窓を開放して、十分換気をしてから人が入るようにすべきである。とくに子供や乳児等は 影響を受けやすいので注意を要する。また燻煙後、屋内のカ−テンなどに微量の残留がみられるので、とくに食器類等を露出しておかないように注意を要する。
なお、今回の「消費者向けアンケ−ト」には、シロアリ防除に関する設問が見受けられました。こちらの発表も待たれます。
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作成:1998-04-01