街の農薬汚染にもどる
t05505#86%の区市町村で農薬消毒−東京都の「鼠族・昆虫駆除等の消毒事業に関する調査」から#96-10
 てんとう虫情報53号の墨田区に住む萩原二美さんからの「区による殺虫剤の無料配布」の報告のように東京都では、衛生昆虫(ハエ、カ、ゴキブリ等)の駆除のため町会、自治会、個人に対して安易な農薬の無料配布が行われています。
 その後の調査で東京都衛生局が94年6月、東京都内64区市町村に対して「そ族・昆虫駆除剤の消毒事業についての調査」を行ったことがわかりました。この調査は、神奈川県衛生部が93年11月に行った県内での実態調査に習って実施したもので、東京都で実態調査が行われたのはこの1回限りです。しかし、神奈川県が実態調査の結果を受けて、94年4月に「そ族・昆虫等の地域消毒の実施について」と題した安易な地域消毒の改善を求める通知を各自治体長に向けて行ったのにひきかえ、東京都では、調査結果のまとめと神奈川県の通知を、翌年衛生局が開催した各自治体衛生担当者向けの研修会に資料として添付するにとどまり、都としての独自の対策は何も行っていません。
<調査の結果から>
 東京都内64区市町村を対象にした調査で、何らかの「そ族・昆虫駆除等の消毒事業」を実施している自治体は55区市町村(86%) <参考 神奈川県(84%)>で実施していない自治体は9市町村(14%)でした。
 事業の目的は「伝染病予防のため」が36%、「環境衛生の維持、向上のため」が84%、実施の根拠法令は伝染病予防法16条の2に基づくと答えた自治体が84%、地方自治法2条(住民サ−ビス)が24%で、その他の回答例で伝染病予防法施行令6条や住民サ−ビス、アメリカシロヒトリ防除要綱、区の自主活動、区の要綱などを上げるところがあるなど回答に混乱が見られます。法的根拠が未回答の自治体も10ありました。
 鼠族・昆虫駆除とはもともと伝染病予防法に定められた感染症を伝播するおそれのある衛生害虫のみを防除することを目的とした事業です。慢然と続けられてきた農薬散布に、突然、法的根拠をたずねられ、アンケ−トの趣旨も理解できずに答えに窮した様が見てとれます。
 駆除対象は表1のようにネズミ、ハエ、蚊のほかに、衛生害虫ではなく、樹木に発生するチャドクガ、毛虫、アメリカシロヒトリなどを対象にしているところもありました。
鼠族・昆虫駆除とは、もともと伝染病予防法に基づいた衛生害虫を対象にするもので、樹木の毛虫は対象ではありません。
 実施地域は約半数の自治体が全域であると答え、希望地域(24%)や希望世帯(36%)をうわまわり、実施回数は平成6年度予定で1回から50回実施のところがが30自治体、51回から100回が2自治体に対し101回以上実施するとした自治体が18自治体もありました。
 実施者(駆除対象によって異なる場合しれぞれ算入)は自治体職員のところが35%、委託業者が76%、町内会組織が58%になっていました。
 使用薬剤については、昆虫についての使用薬剤を1番使用されている薬剤がスミチオン(28自治体)、2番目がフェニトロチオン(7自治体)、ディプテレックス(7自治体)、バルサン(6自治体)とするなど、商品名と一般名を混同した報告や同じ薬剤を違うものとして集計してしまうなど、担当者の農薬についての知識不足が心配されます。
 先の散布の法的根拠同様、担当者の薬剤について認識不足は安易な農薬使用につながります。薬剤の保管については9割以上が自治体の倉庫等で保管し、管理責任者を置いている自治体が67%でしたが、使用上の注意の指導方法については、チラシ、注意書を配るところが半数にとどまり、口頭による指導が4割、委託業者に一任と指導していないところが1割を越えるなど、危害をさけるために最も重要な使用者への注意が不足しています。 薬剤の管理方法については、台帳を作成して自治体の倉庫で管理するところが2割しかなく自治体の倉庫で管理しているが台帳については未回答のところが7割、委託業者が管理のところが6%と管理方法にも不安が残ります。
 薬剤の廃棄方法について、原液などは、自治体倉庫に保管しておくところが半数、すべて使いきるが27%、あとは薬品処理会社、薬品会社、委託業者で処理が16%、未回答が6%でした。
 器具内の残留薬剤については、すべて使いきるところが半数、自分で洗浄し洗浄水は公共下水に流すところ15%、収集し保管するところが7%、未回答のところが11%ありました。
<業者委託や町内会組織による実施に>−略− <町内会組織による実施>−略−

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作成:1998-04-01