室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t05902#発ガン4物質に関する厚生省交渉−パラジクのリスク評価は4月以降と#97-01
 暮れも押し迫った12月26日、パラジクロロベンゼンなど労働省が発表した発ガン4物質に関して厚生省と交渉を持ちました。12月初めに反農薬東京グループ、日本消費者連盟、婦人民主クラブの3団体が連盟で要望書を提出し、文書回答を求めたのですが、回答がなかったため、中川智子衆議院議員のセットで直接交渉となりました。(4物質の詳しい内容はてんとう虫情報56号に掲載)
 市民側からは上記3団体の他に関心のある団体・個人が参加。厚生省からは食品化学課課長補佐平松和好、生活化学安全対策室室長補佐古澤康秀、水道整備課水道水質管理室基準係長小川真佐子の各氏が出席 し、要望書の内容に沿って回答、話し合いが行われました。内容は以下の通りです。
★酢酸ビニルに関して
要望:食品添加物製品中の酢酸ビニルモノマーの残留調査と結果の公表。
回答(食品化学課):酢酸ビニル樹脂を分析した結果、モノマーは検出されなかったという業界の報告を受けている。
※話し合いの結果、厚生省食品化学課は、業界の報告だけでなく、厚生省が国立衛生試験所に依頼して酢酸ビニル樹脂の残存しているモノマーの分析を行う。分析はできるだけ早く行う。恐らく今年度 中。チューインガムそのものを分析せよとの要望には技術的に難しいと専門家が言っているが、チューインガムで調査できるようかどうか相談すると回答。
要望:酢酸ビニルを原料とする接着剤などの残留酢酸ビニルの調査と結果の公表。
回答(生活化学物質安全対策室):製造業者等から情報収集中。
★ビフェニルに関して
要望:ビフェニル=早急な食品添加物の指定の取り消し。
回答(食品化学課):12月5日に食品衛生調査会毒性と添加物の合同部会を開き、現段階では規制を見直す必要はないとなった。
※話し合いの結果、厚生省食品化学課は、食品衛生調査会の議事要旨ができ次第(1月中旬くらい)、中川議員のところへ報告する。調査会の時の資料は閲覧しかできないと回答。情報公開に関しては別の機会に議論することに。
要望:衣料品等の繊維製品のビフェニル残留調査と結果の公表。
回答(生活化学物質安全対策室):現在、業界から情報収集中。使用量は減ってきている。
※話し合いの結果、生活化学物質安全対策室は、衣料品にビフェニルが残留している可能性は認める。まず、製造業者からの情報を得て考慮する。結果がわかったら教えると回答。
★1,1,1-トリクロロエタンについて
要望:1,1,1-トリクロロエタン=水道水質基準の強化。
回答(水道整備課):基準は元々健康への影響を配慮してある。基準を変える必要はない。
※話し合いの結果、水道整備課は、進展なし。担当者は1,1,1-トリクロロエタンがオゾン層破壊ガスであり、96年1月から日本では製造・消費が全廃されていることも知らなかった。基準を変える必要はないとのみ回答。
★パラジクロロベンゼンについて
要望:トイレタリーや衣料用防虫剤としての使用を禁止。
回答(生活化学物質安全対策室):現在、リスク評価に取り掛かっている。その結果を踏まえ必要な安全対策をとる。
※話し合いの結果、生活化学物質安全対策室は、リスク評価の手順は、まず、国立衛生試験所で評価の原案つくりをし、生活衛生局長の諮問機関である「家庭用品専門家会議」で評価する。会議のメンバーは国立衛生試験所や大学教授などで、対策室が決めるがまだメンバーは決まっていない。毒性評価の専門家を選ぶ。97年4月以降、動き始める予定で結論は春から夏までの間に出したい。会議の議事要旨は公表する。発ガン性を中心に検討する。アレルギーや化学物質過敏症についてはまだ検討しない。これらはまだ学問的に確立していない。
リスク評価の結果、規制が必要ということになれば、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」で規制す る。この法律は製造販売の禁止、回収までできるが、まず専門家の判断が必要。
パラジクロロベンゼンは、化審法で既存物質安全点検事業でも検討しているはず。分解性、蓄積性の調査は通産省がやっているかもしれないが、厚生省は知らない。
室内化学物質汚染に関しては、快適で健康な住宅に関する検討会で調査する。その中に、酢酸ビニルモノマーや、パラジクロロベンゼンを入れるかどうかは未定。などと回答。 また、安全性に関する情報提供は重要だし、やってゆきたいとも回答した。
要望:水道水質基準の強化。
回答(水道整備課)検出レベルも低く、基準を変える必要はない。
※話し合いの中で、水道整備課は、パラジクロロベンゼンの水道水への検出状況を公開できるか検討すると回答。
**交渉は以上のような内容でしたが、終わってみてつくづく厚生省の企業援護と情報を隠したがる体質は変わっていないと思いました。今後、こうした交渉も継続する予定ですが、パラジクロロベンゼンのいつになるかわからない規制を待つよりも、さっさと身の回りから撤去する運動を強める方が早いのではないかと、トイレボール・パラ剤追放キャンペーンの強化を考えています。情報をお知らせください。
購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、 注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:1998-04-01