空中散布・松枯れにもどる
t06103#松枯れ特措法廃止、森林病害虫等防除法改定−松枯れ農薬空中散布は続行、中止は反対運動しかない#97-03
3月6日、衆議院農林水産委員会、3月17日、参議院農林水産委員会で「森林病害虫等防除法」(防除法)の改定案が通過しました。この法律改定は、松枯れ農薬空中散布の根拠となっていた「松くい虫被害対策特別措置法」(特措法)の97年3月31日の期限切れに際し、松枯れ防除に対して効果のなかった農薬空中散布を施策の中心にしていた「特措法」をこれ以上続行させることは無理と判断した林野庁は、特措法を廃止し、松枯れ対策を防除法に組み入れることによって空散批判をかわそうとしたものです。 非常に残念なことに、私たちが一貫して反対してきた農薬空中散布は依然として残されています。 長年、「松枯れ農薬空中散布反対全国ネットワーク」を中心とした市民運動は、農薬空中散布がいかに効果がないか、どのような人体被害を引き起こしているか、いかに貴重な生態系を破壊しているかを具体的に示し、何回も農薬空中散布をやめるように林野庁と交渉してききましたが、実質的には特措法とほとんど変わらない内容で、防除法の改定案が通ってしまったわけです。今度の改定でなくなるのは大臣・知事による空中散布の「直接実施」だけです。 特措法は、この直接実施のために作られたようなものですが、年々、予算が減ってきていました。1981年に約29億使っていたのが、94年には3億となっています。直接実施はなくなっても空散推進派にはどうってことはないでしょう。 法律改定に先立って、林野庁は97年1月に「松林保全対策懇談会」を設立し(てんとう虫情報第46号詳述)、同年10月に報告書を発表しています。報告書は、農薬空中散布に関して「将来的に、被害水準がさらに低下するなど、実施する必要がなくなるような条件を整備して行くことが重要であるが、それまでの間は主要な防除措置の一つとして、特別伐倒駆除等の他の措置を適切に組み合わせつつ実施していく必要がある」と書かれております。 将来的に松枯れ被害がなくなったら空中散布をやめるということなら、何をか言わんですが、一応、林野庁は、空中散布は徐々に減らす、としています。しかし、どのように空散をやめるための条件整備をするかは一切回答しませんでした。今年度の空中散布の予算は、昨年度の18億から4億円減らした14億です。この程度の減少では話になりません。廃止になった直接実施の分だけ減らしたとも言えます。 実際に、島根県などは昨年より、空散面積が増えているということです。もちろん、広島県のように減っているところもあります(新聞記事参照)。大分県中津市の林野庁が「空中散布の効果例」としてあげていた大新田の松林も市民グループの活動によって、今年から空散が中止になりました。 特措法が廃止になっても農薬空中散布が続けられるのならば、私たちの力で直接やめさせるしかありません。特措法下でも私たちは多くの地域で空散を中止させてきました。今、大勢は空散中止に向かっています。あらゆる方法を駆使して、今年も空中散布中止に向けて頑張りましょう。
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作成:1998-04-01