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t06202#トイレボール・パラジク剤追放キャンペーン(4)関東の教育委員会への要望結果#97-04
「てんとう虫情報」60号でお知らせしましたように、事務局では関東6県(埼玉・神奈川・千葉・群馬・茨城・栃木)の教育委員会あてに、パラ剤追放の要望書を提出しました。要望内容は、以下の3点です。
1.パラ剤の使用実態の調査
2.パラ剤の使用中止
3.パラ剤を使用した実験の中止
また、すでに学校のトイレにはパラ剤を使用しないように通知している東京都に対しては、以下のような要望を出しました。
1.再度パラ剤の使用状況の実態調査を行う。
2.95年2月の「トイレ用防臭剤・防虫剤(パラジクロロベンゼン)の使用について(通知)」が周知徹底されるように措置を講じる。
3.中学1年の理科の実験で、パラ剤を暖めて融点を調べる実験はパラ剤が高濃度に揮発し生徒が吸入する恐れがあるため、パラ剤を使用した実験をとりやめるよう指導する。
**申入れに対して東京都、茨城県以外は期限までに回答がなかったため、電話で催促し、回答を得ました。
要望1,2の「トイレでのパラ剤使用実態調査、使用中止」についての回答を表1−略−にまとめました。このうち、東京都と群馬県では、回答にあるように、都立、県立学校のトイレでのパラ剤使用実態調査を実施しました。この態度は評価できます。結果は表2−略−の通りです。参考のため、94年の東京都の調査も加えてあります。
東京都では(通知)を出す前の1994年時より明らかにパラ剤使用が減っています。今回の調査に伴ってさらになくなるはずです。しかし、事務局に寄せられた「学校でパラ剤を使用している」の苦情の声の多くは区市町村立の小中学校からのものでした。東京都では「(通知)の再配布まではできないが、区と市町村別々に行われる関係課長会の席で周知徹底をはかる」ことを約束しました。
群馬県が、パラ剤使用の実態調査を行うなど善処してくれたのも、地域の市民団体「群馬食品の安全性を考える会」が、県内70の各市町村教育委員会に要望を行ったりした日頃からの活動の成果といえます。
また、中学1年理科の実験で、パラジクロロベンゼンを加熱して融点を調べる実験について、パラ剤が高濃度で室内に揮発し、生徒たちが吸入する恐れがあるため、使用中止を求めていたことに対する回答を表3−略−にまとめました。
これも東京都、茨城県以外は期限までに文章回答がなかったため、何度か電話をして確認のうえ回答をもらったものです。
**各県からの回答を集約してみて、まず、思ったのは、教育委員会の自主性はどこへいった?ということです。1から10まで上から(文部省)の指示がないと何もできないのでしょうか。学校現場こそは子供の健康を一番に素早い対応を望みたかったものですが、あまりに情ない現状です。しかし、ロウの実験を前提にすると言う群馬県の英断はすばらしいと思いました。これも地域の運動のうらづけがあるからこそでしょう。
地域では、その他でも神奈川県の県立高等学校現業労働組合で、自主的に現場からパラ剤使用をやめていく方針をうちだしたり、大阪西宮市議会議員の大月さんが市内全公民館のパラ剤を廃止、学校使用状況調査を行ったり、日消連関西グル−プが近畿各府県にパラ剤中止の要望書を提出するなど各地でも動きが出ています。
各県が指針としている文部省の「中学校各教科等担当指導主事研究協議会概要」に、昨年日本消費者連盟などと共に行った文部省への交渉で私たちが主張したことが載っていたので交渉は無駄じゃなかったなと思いますが、私たち市民の意見を文部省に行ってそこからトップダウンして上位下達式に状況を変えるのではなくて、各行政が地域からの声に耳を傾け自分で判断していくことがなにより望まれます。
パラジクロロベンゼンはたくさんの有害化学物質のほんの一つかもしれませんが(もちろん被害は小さくありません)地域からのパラ剤追放運動が得るものはもっと大きいものでしょう。

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作成:1998-04-01