空中散布・松枯れにもどる
t06502#健康被害周知のてんやわんや−松枯れ農薬空中散布#97-06
前回は松枯れ対策連絡協議会を巡っての末端行政のてんやわんやをお知らせしましたが、今回は、健康被害周知に関するてんやわんやです。
★佐賀県=前号で渡部美津子さんが視察して、これでは絶対健康被害がでると指摘した佐賀県唐津市の虹の松原。ここの空散のお知らせチラシを送ってもらい目がテンになりました。何と「散布液がかかった程度では問題はありませんが、直ちに石鹸で洗い流してください」と書いてあるのです。散布液がかかって問題ないとは!!直ちに林野庁森林保護対策室の梶谷室長に電話。室長は「すぐ電話します」と。こちらからも佐賀県営林署と県の森林整備課へ電話しました。「明日空散なのでチラシは間に合わないからケーブルテレビでお知らせしました」と。空散をやめて周知すべきではないか。
医療機関への周知を聞いてみると、空散日時、場所、薬剤名しか知らせてないことがわかりました。責任者の係長曰く「唐津地区の保健所長の判断で、農薬中毒に関する参考資料は医者に知らせる必要はないとのことだったので、配布しなかった」。県の実質的な責任者が通達や事務連絡を全然読んでいません。林野庁がわざわざ医療機関へ周知徹底するようにと出した資料を地区の保健所長の判断で周知しなくてもいいとしたわけです。そういうことはいけないんだと懇切丁寧に教えてあげました。林野庁がちゃんと仕事をしないから、私たちがこんなことまでしなくてはならないのです。
★栃木県=足利市の空散では、地区説明会に反対派の出席を認めないという暴挙をしています。ここの2回目の住民への周知のチラシには「やむを得ず散布区域内に入り、万が一、頭痛、めまい、吐き気等の反応を感じた方は足利市経済部農林土木課まで連絡してください」などと書いてあります。これも唖然とする内容です。栃木県造林課へ電話しました。「散布区域内に入ったら症状が出るなどという書き方はおかしいじゃないですか」「そうは思いません」ということなので、またまた、懇切丁寧に教えるはめになりました。 後で、反対派が調査したところによると、県は市町村へこう書きなさいと雛型を出していたということです。元凶は県だったわけです。栃木県は5月8日付けの文書を6月3日までほったらかしにしていました。「通達でなく事務連絡なのでやらなくてもいいと思った」とのことです。反対派に言われて仕方なしに市町村に配布したようです。
★島根県=6月4日、島根・松枯れと農薬空中散布を考える会(代表渡部美津子さん)では、4日・5日に空散実施予定の6市町に対して周辺住民に農薬中毒症状が周知されているかどうかの緊急調査を行いました。その結果、出雲市は「県からの連絡が遅かったので今晩無線でする」とおおあわての状況でした。「周知した」と回答した市町でも有線や無線、広報車などですると回答し、空散前日にあわてて形だけ知らせたことになっています。やはり、県が市町村に事務連絡を知らせてなかったことが大きな原因です。
島根・松枯れと農薬空中散布を考える会では、県がやらないから私たちが市町村に周知したと言っています。
空散反対派が「指導」した結果、空散実施市町村は急遽、健康被害に関する周知のために、町中、広報車が走り回ったとのことです。「人によって薬剤の影響の程度が異なりますから、万一、頭痛、めまい、下痢、腹痛などの症状がでましたら…」とマイクでやったのでしょうか。
★東京都=東京都では大島町、神津島村で空中散布をしています。空中散布をする場合には知事が連絡協議会を開催しなければなりません。東京都は協議会を設置しませんでした。住民に対する空散の連絡すら、散布区域内の12戸に郵送しただけというのです。まして健康被害に関する周知などどこの国の話かという感じでした。林務課の話によると、空散は国も都の補助金を出していないのでする必要がないと思ったとのことでした。
補助金を出そうが出すまいが、都が指導しなければならないことは明らかです。これらの島では何も知らされていなかったようです。「協議会を作るのでしょうね、反対派を入れるのでしょうね、当然、反農薬東京グループが入るのでしょうね」と質問状を出すと、林務課長から電話で、「検討中」との回答がありました。検討するまでもなく、「森林病害虫の防除に関心を持つ団体」は都内に反農薬東京グループしかありません。そういう団体を参加させろと林野庁長官から都道府県知事に通達が出ています。それを指摘すると「あれは参考なので、全部いう通りにする必要はない」との返事。これにも唖然としました。法律に準ずる通達も守る必要はないというのが都林務課の意見のようです。
その他、各地でさまざまな事態が起こっています。現在、空散をめぐって攻防中で、まだ報告する時間がないところが多いようです。次号をお待ちください。この経験を生かして来年度の空散中止を勝ち取りましょう。ただし、反対がないところでは空散は従来通り杜撰に行われます。一人でも反対する人を見つけ、声をあげてゆく必要があります。

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作成:1998-04-01