空中散布・松枯れにもどる
t06604#農薬ＮＡＣ製造中止にいたるＪＭＰＲの評価−松枯れ使用のみならずすべてのＮＡＣの使用中止を#97-07
既報(本誌65号)の通り、松枯れ防除用のカルバリル剤（ＮＡＣ）は製造・販売がメーカーの自主的な判断で突如中止された。カルバリルは「農薬毒性事典」(184頁)に 記されているように実験動物で催奇形性や精子数の減少など生殖毒性が知られている、劇物指定相当の急性毒性を持つ農薬である。
カルバリルの一日摂取許容量は
1963年 0〜0.02 mg/kg体重
1965年 0〜0.02 〃
1966年 0〜0.01 〃
1997年 0〜0.02 〃
1969年 0〜0.01 〃（暫定的）
1973年 0〜0.01 〃
1996年 0〜0.003 〃
の如く1996年以前は最も厳しい勧告でも0 〜0.01 mg/kg体重だった。しかし1996年のWHO/FAO合同残留農薬専門家会議（以下｢合同会議｣と略）の評価では0〜0.003 mg/kg 体重と更に厳しくなった。
上記「合同会議」の1996年レポートによると、
・これまでのラットでの生殖試験は最近の科学的な基準に照らすと欠陥があり、雄の生殖システムに特に注意を払った生殖毒性試験、
・ウサギでの試験では胎児毒性や催奇形性が見られたが、それらに対する最大無悪影響量を確認するには試験が十分ではなかったので、ラット及びウサギでの催奇形性試験、
・マウスやラットでは血管、甲状腺､肝臓､腎臓、膀胱で腫瘍が発生していることから腫瘍形成のメカニズムの解明するための試験、
など種々の毒性試験の実施が勧告されている。
松枯れ防除用カルバリル剤ＮＡＣの出荷停止理由は明らかにされていない。新聞報道等によれば、上記のような勧告に十分応えきれなくて出荷停止したという。もし、そうであれば､松枯れ用製剤だけでなく､稲作や果樹、野菜等が適用作物となっているＮＡＣ含有製剤も販売中止すべきである。
−中略−
以下に、「合同会議」から出されたカルバリルの毒性評価レポ−トの全訳（仮訳−略−）を示す。
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作成：1998-04-01