室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t06703#厚生省、ホルムアルデヒドで初の室内環境指針値設定、しかし・・#97-08
 反農薬東京グル−プでは、これまで、化学物質による室内汚染の問題をいち早くとりあげてきました。〜畳に水田の20倍の農薬(フェニトロチオン)を使用、壁紙から発がん性物質TCEPを検出、シロアリ駆除剤による健康被害〜など、多くの問題を提起し、関係省庁・自治体・業界に対し、実態調査や法規制等の対策を訴えてきました。また、94年秋に発行した「住宅が体をむしばむ」も大きな反響を呼びました。
 これらの成果もあってか、行政もようやく重い腰をあげ始めました。すでに、「てんとう虫情報」第55号でもお知らせしましたように、昨年7月には、建設省が中心になって、通産省、厚生省、林野庁の4省庁と業界団体などで「健康住宅研究会」を発足させ、また、厚生省は独自に「快適で健康的な住宅に関する検討会議」の中に、「化学物質小委員会」を設け、室内空気中の化学物質による健康被害の防止を目的に検討を始めました。
そして、最近この「健康住宅研究会」と「化学物質小委員会」から、ほぼ同時期に報告が出されましたので紹介します。
★業界主導?のガイドライン−健康住宅研究会
 健康住宅研究会からは、「住宅の室内における有害な物質による汚染によって生ずる継続的な健康への影響を低減するため」の『設計・施工ガイドライン』中間検討案が発表されました。
 ここでは、まず当面優先的に配慮すべき物質として、3物質(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン)3薬剤(木材保存剤、可塑剤、防蟻剤)をとりあげています。(注この報告では、3物質3薬剤を「ホルムアルデヒド等」と呼んでいる)。
 そして、その対策として、設計時には、「ホルムアルデヒド等を放散しない建材、もしくは放散量の少ない建材を選定する」「住宅室内の通風・換気に配慮する」ことをあげ、また、施工時の注意として、「工事期間中や入居までの間の換気を十分にとる」こととしています。なお、シロアリ防除については、「木材保存剤や防蟻剤を床下に使用する場合は、放散によって汚染された空気が室内に流入しにくいよう、床下換気口を適切な位置に設けること等により速やかに外部に排出するような措置を講じることが有効」との注意に留まっています。
 この中間検討案を見るかぎりでは、提案は漠然としたものであり、どの程度具体的で有効な対策(規制)が打ち出されるのかまったく不明です。特に、シロアリ駆除についてこの程度の対策では、近隣への被害など深刻な健康被害を認識しているのか疑問で、もっと積極的に薬剤に頼らない代替え方法なども検討してほしいものです。なお、ほぼ同じ内容で消費者向けに『ユ−ザ−マニュアル』も作成されています。
  一方、厚生省の「化学物質小委員会」では、ホルムアルデヒドの室内濃度指針値として、「30分平均値で0.1mg/m3以下」(0.8ppm)とすることを中心にした報告をまとめました(下段1−略−)。この数字は、WHO欧州地域専門化委員会におけるガイドラインと同様のものですが、室内環境指針値が設定されるのは初めてのことです。
 厚生省では、今後、他の室内汚染物質についても指針値を設定していくとのことです。しかし、この数字は文字通り指針値に過ぎないということなので、規制力のない数値にどれほどの効果があるのか、大いに疑問です。また、この報告にあるように(下段4−略−)、化学物質過敏症についての取り組みに積極的な姿勢が見られない点も厚生省の責任放棄としか考えられません。シロアリ駆除剤もふれられていません。
 「健康住宅研究会」「化学物質小委員会」ともに、今後の監視が必要です。

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作成:1998-04-01