空中散布・松枯れにもどる
t06803#散布除外区域で通行人が農薬を浴びる−埼玉県白岡町の農薬空中散布#97-09
<17000μg/m2も通学路に飛散>
私の住んでいる白岡町では、農薬の空中散布が6月と7月に2回行われています。
小・中学校のグラウンドの際まで以前はまいていて、それを6年前に知ったときには本当にびっくりした。3年くらい前からさすがに学校の際まではまかれなくなりました。
去年、縁あって空散の飛散調査をするところまでいきました。しかし、残念ながら、散布された農薬をまちがって検出先に報告してしまったため散布された農薬を検出することができませんでした。なぜまちがった農薬名を報告してしまったかというと、白岡では空散のお知らせは回覧版でまわってくるのです。「回覧版」はすぐまわすのが常識なので1回目に撒かれた農薬と2回目に撒かれた農薬が違うことを見落としてしまったのでした。
今回2年目でやっと測定結果を得ることができました。子どもたちが通う篠津小、中学校の通学路ではなんと、17000μg/m2という高い数値の飛散が測定されました。これは放っておけないと広く皆さんにお知られすることを決意しました。別紙に飛散調査結果と8月29日、白岡町の農政課に持って行った要望書がありますのでご覧ください。
<散布区域外も人への無差別散布>
私達は、7月14日、17日の明け方4:30〜6:00まで飛散状況を調べました。14日はラジコンヘリによる散布でした。7〜8人は人がいる中で小さなラジコンヘリが農薬を散布していました。見ていて正直言って7〜8人で手まきした方が早そうだと思ってしまいました。あまり飛散はないのかと思いましたが、結果は意外と高い数値が出ていたので驚きました。
17日は有人ヘリによる散布でした。この時、例の通学路は散布されないことになっていたので、私達のうちの一人が通学路からヘリコプターの写真を撮っていました。まさかヘリコプターが散布されないことになっている通学路も無差別に撒くとは思わず、頭から農薬をかぶってしまいました。(私達はビニールカッパとマスクをしていました。)
また、ちょうどそこへ犬の散歩で来ていた方もやはり頭から農薬をかぶってしまいびしょびしょになってしまいました。
その2時間後(7:45〜8:00)に飛散を調べるろ紙の回収に出かけましたが、通学路には登校中の子どもたちがいました。この地点の飛散量が前に書いた17000μg/m2でした。17000μg/m2の飛散は農薬を撒くべきところと同じ飛散量です。こんな所を通っていいのでしょうか。
<篠津小のプールに明らかに農薬入りそれも残留性の高いフサライド>
篠津小のプールサイドに置いたろ紙からは83μg/m2の飛散が確認されました。プールの水は取り替えることなく循環しているだけです。残留性が高いフラサイドが溶け込んだプールで夏休みにこどもたちは泳いでいたわけです。
これじゃあ、毎年農薬が体の中に蓄積していってしまう。
農薬は撒かれた後も立ち上がり2〜4時間は空気中を動いていますし、気温の上昇によっては2〜3日ぐらいは空気中を漂っているそうです。(横浜国立大学の花井先生のお話より)また、農薬は服、指などについて口から体の中に入り血液に溶けるよりも、呼吸を通して(息をして)肺に入り、血液に運ばれる方がはるかに危険度が高い(3〜5倍)という話も聞いています。
今回使用された農薬はモンセレンフロアブル、トレボンエア、ラブサイドフロアブル(フラサイド)です。人体中毒症状としては喘息用発作、皮膚のかゆみ、発疹、目の充血、頭痛、倦怠感などだそうです。当日調査した私達も(もちろん急性中毒は起こしませんでしたが)決して体調がいいとはいえなかったです。
知らないうちに吸っている空気から、泳いでいるプールの水から、農薬のまだただよっているグラウンドの早朝練習から、知らず知らずのうちに農薬は私達のからだの中に蓄積されています。空散にたよらない環境保全型農業への転換を是非真剣に考えて実行していってほしいと思います。
白岡町病害虫防除運営協議会様
1997年8月29日
農薬を考える市民の会 久喜・白岡
要望書
日頃より白岡町の農業の充実のためご尽力されていることに敬意を表します。
さて、先日7月14日、17日に行われた空中散布に対して、私達が行った飛散調査の報告
をいたします。別紙の通り結果がでました。
この結果から、
1.無人ヘリ散布でもかなりの飛散がある。
2.有人へり散布では、別紙のとおり、通学路沿いには散布地域と同じ量の農薬が撒か
れている。子どもたちはフラサイドが17000μg/m2も撒かれた道を通っていた。
3.篠津小のプール脇には83μg/m2の飛散が確認された。プールへの農薬混入は明らか
である。
4.有人ヘリ散布では調査した場所はどこもかなり飛散が確認されている。住宅地、通学路、用水路、学校には大量に飛散している。
5.通学路は散布計画地図上では農薬散布しない所になっていた。しかし、通学路を横
断してヘリコプターが散布していた。
6.散布区域に2人の人が犬の散歩をしていたが、その人を無視して農薬が撒かれてい
た。
このような結果から、今年行われた農薬散布のありかたを是非見直し、環境保全型農
業への転換を実行して欲しいと要望します。
また、以下のことは緊急に対策をたててください。
1.プールへの飛散はあってはならない。フラサイドは有機塩素系で残留性が高く、東
京都の水道水から上流で散布されたフラサイドが検出され、上流での散布を止めたと聞
いています。残留性の高いフラサイドのはいったプールで子供たちを泳がせることはや
めて下さい。
2.通学路沿いの農薬散布については根本的に見直すべきだと思われます。
3.飛散すべきでない所へ飛散させないよう見直してください。
4.散布計画地図上農薬散布しないところに散布しないでください。
5.人がいた場合は散布を見合わせてください。
6.農薬散布についてのお知らせを徹底してください。(回覧版で回すだけでは正確な
情報とはならないのではないでしょうか。)
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作成:1998-04-01