街の農薬汚染にもどる
t06905#神奈川県、河川敷の農薬を規制#97-10
河川敷でまかれている農薬散布について神奈川県は今年度から「極力行わないよう」利用者に通知し、あわせて昨年度における使用状況を9月に公表しました。
河川敷は現在、野球場や公園、農地として利用されています。しかし、そこで使われている農薬の実態はわかりません。
そこで、こうした農薬が水環境や水道水に与える影響を心配して、県内の市民団体、労組、生協約80団体が集まる「県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会」(通称:いのくら)では県に対し、昨年、河川敷で農薬を使わないよう要求しました。
これを受け、県土木部は「河川区域内の土地における農薬の使用について」を今年度から施行し、市や町などの河川管理者や許可を得て河川敷を利用する占用者に対し、極力農薬を使わず生態系を活用し機械などで除草するよう求めました(河川区域内の土地における農薬の使用について)。
また、昨年度の「農薬の使用状況」調査結果から、河川の管理として使ったところが7河川。また、占用者による使用が9河川あることがわかりました。使われたのはおもに殺虫剤と除草剤で、河川管理に合計340kg。占用者のうち公園緑地に320kg、運動場に100kg。田畑を含めると合計780kgに登ります。
使用殺虫剤はディプテレックス、スミチオン、ダイアジノン。除草剤ではアージランとなっています。
★気になる水道への影響
河川敷での農薬問題は松くい虫の駆除がきっかけとなりました。県の中央を流れる相模川は県民の水道水源として重要ですが、平塚市の河川敷にある松には毎年春に殺虫剤が散布されます。その下流300mには県や横浜市水道局の寒川取水堰があります。散布後雨が降ると農薬は河川に流入しますが、こうした河川敷における農薬使用の実態について、いままで行政は把握していませんでした。
たとえば野球グランドは市の教育委員会が管理し、除草剤が散布されています。樹木の毛虫駆除は、県都市部の出先事務所が殺虫剤を。このほか河川の雑草防除には町や市、県の管理担当課が除草剤をまくなどその実態はだれもつかんでいません。
今回、県の調査により農薬使用の一端が明らかになりましたが、まだ十分ではありません。ひとつは建設省が管理する区域の実態がわからないこと。また、黙認耕作地や河川区域内の民有地における農薬使用の実態も調べられていません。また、指導は通知として出すだけで、今後どのようにして通知内容を守らせるかも決めていません。
年末までに行われる県との交渉のなかで、来年度は少なくとも使用の際に農薬の届出の徹底や、農薬によらない防除方法の周知について求めていく予定です。(新巻圭)
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作成:1998-04-01