街の農薬汚染にもどる
t07302#東京の下町で続くハエ・カの農薬薬剤駆除#98-02
 本誌でも何回か報告してきましたが(53、54、55、67号)、市町村が行うハエ、カの駆除のずさんさは目にあまるものがあります。東京のローカルテレビ局「MXテレビ」は、この問題を継続して取り上げています。
 散布実態の映像は驚くべき内容です。たとえば、民家の木にむけて消防車が水を撒くように農薬を散布したり(そもそもハエ、カの駆除に何故樹木に農薬散布するのか不明ですが)、路地に植えられている野菜や花、道路、自転車などびっしょりかかっています。これではいつ事故が起こっても不思議ではありません。既に、周辺住民に健康被害が起こっている可能性もあります。
 当グループでは、区市町村を指導する立場にある東京都に対して、以下のような要望書を提出しました。
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区市町村が行うハエ・カ駆除の指導についての要望
前略、日頃より都民の公衆衛生の向上にむけてのさまざまな施策、大変ご苦労様です。
私たちは、農薬や化学物質の乱用に反対して運動している市民グループです。
 昨年の11月から今年にかけて、MXテレビで東京都江東区などでの殺虫剤散布についての放映がありました。薬剤の危険性をまったく知らないと思われる人たちが、まるで水でも撒くように民家や道路に薬剤を散布していました。このような撒きかたをしていれば被害がでて当然です。
 実は、数年前から当グループにも衛生昆虫駆除剤による被害や苦情相談が寄せられておりました。96年、墨田区の殺虫剤散布でも同テレビがこの問題を放映していたのですが、その際に行政が対策を講じておけば、昨年の江東区のようなことはなかったのではないかと残念です。
 本来、ハエ・カの駆除は区市町村の事業です。しかし、多くの自治体ではこうした事業の根拠を伝染病予防法においており、この限りでは都は区市町村に「実地の指導」をすることになっています。
 また、仮に同法に基づかない事業であるとしても、環境への影響や薬剤の毒性を区市町村が独自に測定したり、文献調査を行うのは技術的にも無理があります。やはり、衛生研究所や専門家を抱える都が情報を提供する立場にあると考えます。あわせて、物理的な防除方法や清潔方法を提示するのも都の仕事ではないでしょうか。
 特に最近、薬剤がアレルギーを増悪させるといった研究や、化学物質過敏症、有機リン系薬剤の酸化物であるオキソン体、内分泌撹乱物質など、今までの中毒と違った態様の症状や危険がクローズアップされています。こうした知見を区市町村が収集分析して住民に知らせることは、いまのところ期待できません。
 行政が有機リンの中毒やアレルギーの症状を知らなければ、仮に住民からこうした訴えがあったとしても、薬剤散布の被害として受け付けない恐れが多分にあります。
 また、上記のテレビでは、殺虫剤でびしょぬれになった鉢植えの野菜が映し出されており、そのうちのナスとシソについて残留農薬の分析をした結果、散布された薬剤が高濃度で検出されたと報じておりました。このような野菜を子供が食べたらどうなるのでしょう。まさに事故寸前ではないでしょうか。都民を事故から守るために早急な対策をとってください。
 つきましては、下記の申し入れをいたしますのでお忙しい中恐縮ですが、2月20日までにご回答くださいますようお願いいたします。

1.早急に、区市町村による衛生昆虫駆除の実態と健康被害を把握するための調査をしてください。
2.次年度に、住民に薬剤配布する区市町村があった場合、次の内容を記載したチラシを散布地区に事前配布させてください。
内容
「散布後、人によっては次のような症状がでることがあり
ます。異常を感じたときは最寄りの医療機関か都が指定し
た医療機関で受診してください。
殺虫剤の中毒症状は○○、○○、○○・・・です。」
(○○の部分は都薬務部作成の「主な農薬中毒の症状と治
療法」のなかにある「有機リン剤中毒」の症状のうち「軽
症」の症状を列記すること)
3.薬剤に頼らない物理的駆除方法を研究し、普及させてください。
4.万一、住民への薬剤配布・薬剤散布で事故が起こった場合、誰がどのような責任をとるのか明らかにしてください。

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作成:1998-04-01