室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t07702#健康住宅研究会がガイドブック作成−2年間の結論がコレ?大山鳴動して鼠一匹#98-06
  本誌でも何度か取り上げてきた「健康住宅研究会」が、96年度から2年間にわたって研究、検討してきた「シックハウス症候群」対策のガイドブックを作成したとのことで、早速見てみました。
 ガイドブックは、業者向けの「設計・施工ガイドライン」と居住者向けの「ユ−ザ−ズ・マニュアル」の2冊からなっていますが、結論から言えば、その内容は、大きく期待を裏切るものでした。
★経 緯
「健康住宅研究会」は、「住宅の室内汚染による健康への影響を低減するために、ホルムアルデヒド等の化学物質に関する物性、基準、試験方法並びに室内空気汚染の対策方法について調査・検討し、健康影響を低減するための設計・施行ガイドライン及びユ−ザ−マニュアルを策定すること」を目的に、建設省を中心に4省庁と業界団体で発足しました。
本委員は53名、そのメンバ−の多くが役所と建設業界が占め、消費者代表は一人も入っていません。このため、これでは業界よりのガイドライン・マニュアル作りしかできないのではないかと危惧した反農薬東京グル−プは、96年10月、12月の2度にわたって、「委員会に被害者や市民運動のメンバ−を入れること。シロアリ駆除剤も検討すること」などを申し入れてきましたが(「てんとう虫情報」第55号、59号、60号に詳しい。)、結果は、その心配通りとなってしまいました。
ではここで「ユ−ザ−ズ・マニュアル」をみてみましょう。体裁はA4判で20ペ−ジと、もともと薄いものですが、その言わんとすることは、以下の箇所に、つきます。
★優先取組物質の室内濃度を低減する住宅建築の基本的な考え方
「適切な材料選択」
 *優先取組物質の放散が少ない、施工材 を利用する。
 *優先取組物質の放散可能性のある建材・施工材の使用量を減らす。
「適切な施工」
 *建材・施工材を正しく施工する*計画的な工期を設定する
「換気・通風への配慮」
 *効率的な換気ができるような窓の配置や間取り計画をたてる
 *適切な換気量を確保する
注)「健康住宅研究会」デハ、当面優先的ニ配慮スベキ物質トシテ、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、
  木材保存剤、可塑剤、防蟻剤ノ3物質3薬剤ヲ「優先取組物質」トシテ選定シ、検討ヲ進メテキタ。
 後は、これに基づいての一般論、抽象的な記述に終始し、私たちが一番期待した、汚染物質の法的規制、または業界の自主基準、あるいは化学物質に頼らない代替え方法などは、まったく触れられていません。
 これでは、4省庁と業界団体が鳴り物入りで発足し、2年間もかけて何をやってきたのかとあきれてしまいます。
 その上、オソマツと言っているだけではすまされない記述も、多く見受けられます。もう一冊の「設計・施行ガイドライン」から問題の記述を、誌面の都合で、2、3点拾ってみます。
(中略)
 終わりに、このガイドブックとは別に本報告書が出されていますが、こちらには前述した「実験・検討の結果」の内容が当然記述されているものと思われます。そこで、反農薬東京グル−プが研究会事務局に本報告書を要求したところ、委員以外には出せないと断られました。出すと何かまずいことでもあるのかと、勘ぐってしまいます。ぜひ情報公開してほしいものです。

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作成:1998-07-27