内分泌撹乱物質にもどる
t07802#内分泌系撹乱農薬についての農水省への質問状#98-07
 農薬は、農作物に対して害を与える生物を殺すことを目的に環境中にばらまく化学物質で、いわば、意図的環境汚染物質といえるものです。その農薬に内分泌系撹乱作用があるものを使用することは、生態系に害を及ぼすだけでなく、ヒトの健康にも影響を与える恐れがあります。当グループでは、これら内分泌系撹乱農薬について、強い使用規制措置をとるよう求める運動を展開していく積もりです。
 その第一弾として、下記の質問状を農水省に送りました。今後、都道府県がつくる「防除基準」や農協がつくる「防除暦」から該当農薬を除くこと、学校・公共施設・公園、街中や家庭など、身の回りでの該当農薬関連物質の使用をやめることを求めていきたいと思います。
なお、質問状にある表1「の内分泌系撹乱物質として挙げられている農薬リスト」はてんとう虫情報73号10頁を、表2の「生殖毒性・胎児毒性のある農薬等のリスト」は同77号12頁を参照ください。

★内分泌系撹乱農薬に関する質問書
前文−略

質問1:内分泌系撹乱物質として表1にリストアップされている農薬について、そのメーカーに対して、何らかの行政指導をなされましたか。その内容を示してください。

質問2:内分泌系撹乱物質として表1にリストアップされている農薬について、内分泌撹乱作用があることを示す文献をお調べになりましたか。その調査内容を農薬毎にお示しください。

質問3:日本で、使用規制されたり、未登録又は登録失効している内分泌系撹乱農薬について、他国での使用状況をお調べになっておれば、国別の実態を教えてください。
 日本では、現在登録されていないPOPs(残留性有機汚染物質)系農薬を現在製造又は販売・使用中の国に対して、製造・販売・使用をやめるよう働きかけをなさっていますか。
また、外国で、POPs系農薬を製造している日本の合弁会社はありませんか。

質問4:DDT、BHCなどは、1971年に、貴省の指示で埋設処理されたものがありますが、93年に入り、鳥取県をはじめとする全国で、当時のずさんな処理方法が問題となり、掘り起こして安全管理するようにとの住民運動もおこっています。また、ダイオキシンを含む2,4,5−Tも同じ時期に、林野庁の指示により、山林の中に埋立られ、同様な問題をかかえています。
 これら、埋設農薬について、実態がどのようになっているか、また、どのように貴省が対処しておられるか、お教えください。

質問5:表1以外の農薬の中にも内分泌系撹乱作用のある農薬があると考えられますが、今後、どのような手順で、これらを調査し、規制していくのか、その方針をお聞かせください。
 また、その際、農薬活性成分中の不純物や分解代謝物、さらには、製剤に添加されている不活性成分について、活性成分と同等の毒性試験をなさるお考えはありますか。

質問6:少なくとも、現在登録され、表1にリストアップされている内分泌系撹乱農薬については、同表の毒性欄に示したように、発ガン性や生殖毒性を示すものがあり、安全性が確認されるまで、すべて、一時使用中止措置をとるべきだと考えますが、貴省のお考えをお示しください。
 また、登録失効した内分泌系撹乱農薬については、製品を回収し、国内での使用禁止・海外への輸出禁止措置をとる必要があると考えますが、貴省のお考えはいかがですか。

質問7:内分泌系撹乱物質ノニルフェノールが生成する恐れのあるAPE系展着剤の年間製剤生産数量は、どの程度ですか。
 また、農薬製剤の中に、不活性成分としてAPE系の化合物を添加したものがありますか。あれば、該当する農薬製剤名を挙げ、登録農薬毎にその添加量をお示しください。

質問8:農薬製剤中に、不純物としてダイオキシン類及びエチレンチオウレアが混入しているものがありますか。あれば、該当する農薬製剤名を挙げてください。
 また、これらの含有量は貴省に届けられているはずですが、ダイオキシン類及びエチレンチオウレアを含有する農薬について、登録農薬毎にその含有量をお示しください。

質問9:今年になって、内分泌系撹乱農薬のひとつビンクロゾリンの登録が失効していますが、失効年月日は何時で、その理由は何ですか。
 登録失効したビンクロゾリン製剤について、回収措置はとられていますか。

質問10:魚毒性試験については、現在急性致死毒性の評価しか行なわれていません。自然環境中で内分泌系撹乱物質による魚の雌化や巻貝の雄化が問題となっており、農薬についても、魚介類の繁殖に関する試験や内分泌系撹乱作用を評価できる試験方法をとりいれる必要があると考えます。貴省のお考えをお聞かせください。

質問11:表2には、動物実験で、生殖毒性や胎仔毒性が判明した農薬等のリストをあげました。これら薬剤については、内分泌撹乱物質であるかどうかの試験を早急に行なう必要があると考えます。また、表にはありませんが、動物実験で、発癌性、神経毒性、免疫毒性があるとされているものも同様です(たとえば、グリホシネートについては、妊娠中に同化合物を投与されたラットより生まれた仔ラットは易興奮性であったとの帝京大学の研究があり、継世代的な影響が懸念されます)。
 そのためには、すべての農薬について、毒性試験の再評価することが不可欠であると考えますが、貴省はどのようにお考えですか。
 また、この際、毒性データを公開して、国民から広く意見を聞くことが必要だと考えますが、貴省のお考えをお聞かせください。

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作成:1998-09-01