空中散布・松枯れにもどる
大阪府・茨木市:ゴルフ場での違法農薬散布を追及−松枯れ対策散布3回目は中止に
私たちの緑ヶ丘自治会では、住宅地に隣接している茨木カンツリー倶楽部から、今年5月7日づけで、初めて農薬散布についてのお知らせがあり、回覧が回りました。
内容は、松枯れ防止のための薬剤散布とあり、T-7.5プロチオンとシラトップEWを使用、シラトップEWについては試験使用ということでした。量は60Lとありますが、希釈倍数が2000倍ということなので、12万Lにも及ぶ想像できない量です。試験使用という言葉も引っかかりますし、5月中旬から6月下旬まで3週間ごとに3回の散布があるとのことでした。
5月10日に自治会総会が開かれ、薬剤がどんなものであるか、私たち住民に健康被害がないのか、ゴルフ場の休みの月曜日に散布されるとなっているが、沿道を挟んで隣接する小学校の児童たちは安全なのかなど、いろいろな疑問の声が上がりました。
(中略)
にわかメンバーが集まり、とりあえず、 何かせねばとゴルフ場に散布中止の要望書を提出し、話し合いの場を持ちました。しかし相手は日本でも有数の名門ゴルフ場です。私たち主婦のおばちゃん連中相手では、ずいぶん、見くびりもあったことでしょう。中止案は、当然受け入れられず、ただいくつかの約束ごとは交わしました。
その後、大阪大学大学院の植村先生にも相談に乗っていただき、先生は、もしかすると違法散布の疑いがあるかもしれないとおっしゃいました。農水省やメーカーなどで調べて見ると、やはり、シラトップEWが芝用の農薬であることがわかりましたが、何故、松枯れ防止の薬剤散布に芝用のものが使われなければならないのでしょう。
農水省で尋ねても、「なにかの間違いでしょう」とか、私たちも何故そう記されているのか理解できず、ただ話し合いのときに、1、2回目の時はT-7.5プロチオン、3回目にシラトップと聞いたはずだったので、仕方なく、1回目を見送ったのですが、1回目の5月19日の散布にシラトップEWは使用されたのです。
ゴルフ場に尋ねると、シラトップをノズルで松に散布したとのことでした。耳を疑いました。メーカーに「松に芝用の農薬を散布して人体に影響はないのか」と尋ねると、「人は大丈夫だが松が枯れないか心配です」との返事でした。府庁には「こんなことが許されるのか」と電話を入れました。6月8日、次の散布の日がやってきました。この日、朝、子供たちを見送っていた父兄たちがゴルフ場の沿道の松を見上げると、真っ白い噴霧状の農薬がちょうどその下を通っていた児童の頭に降りかからんばかりであったところを目撃しました。あたりは、農薬の臭いが立ちこめ、しかもその日は月曜日で、児童は朝会を運動場でしていました。その臭いで気分が悪くなった子供たちもいました。環境ホルモンのことがいろいろ議論される中、このような地域に住む子供たちは、大丈夫なのでしょうか。
ゴルフ場との約束はこの日守られませんでした。学校付近に関しては、早朝のうちに行うことも、沿道の松や沿道から50メートル以内には散布しないということも、無風状態の中で行うということも、守られませんでした。第一回目の散布のときも小学校より西にあるテニスコートでプレーをしていた主婦は空気の異様さに気づき、息苦しさを訴えました。さらに、西側にあるマンションに住む主婦はこの日を境にして、アレルギー性の湿疹がひどくなったと聞きます。
6月19日、第一回目の違法散布について、府からゴルフ場に厳重注意があったということが新聞やテレビで報道されました。私たちはもう一度、取り交わした約束について再確認し、第1回、2回の散布についてはわび状をとりました。そうして、3回目の散布は天候などの理由で伸び、結局は時期がはずれ中止になりました。
しかし、年間を通じて散布される殺虫剤、殺菌剤、除草剤の量は相当なもので、しかも、希釈倍数は調べたところ、でたらめがいっぱいです。
私たちはこれからも自治体や農水省にもっと規制を訴えていくつもりですが、環境問題が叫ばれる中、むやみに農薬を使用してその地域の住民の健康を損なうようなことはやめてほしいと思います。欧米諸国のようにもっと厳しい目を向け、手遅れの状態とならないよう、人々のエゴによって、特に子供たちの未来を奪わないで!!と叫びたくなります。
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作成:1998-10-01