内分泌撹乱物質にもどる
t08202#危ない農薬ダ−ティ−12(ダズン)#98-10
<’84危ない農薬ワースト10…その後>
反農薬東京グループでは、84年10月、東京で開かれた「私たちの”世界食糧デー”アクション」の集会において、危ない農薬ワースト10を発表し、その製造・使用をやめるよう訴えてきました。
その時、挙げた10の農薬は、
CNP/EDB/パラコート/クロルデン/PCNB/アレスリン/MEP(フェニトロチオン、スミチオン)/NAC/ジネブ/チオファネートメチルで、その後、登録失効したり、メーカーが生産を縮小しているものは、次の6農薬です。
★CNP
1,3,6,8-四塩化ダイオキシンらを不純物として含む水田用除草剤で、魚介類や水道水汚染が問題となり、全国的な追放運動が起こりましたが、93年、新潟大学の疫学調査の結果、胆のう癌との因果関係が疑われ、94年に厚生省がADIを取り消し、メーカーの三井東圧が生産自粛と回収を声明しました。化学構造が類似のNIPは、登録失効している環境ホルモン農薬です。
★EDB
輸入穀物・果物の検疫くん蒸や畑地での土壌くん蒸として使用されていた発癌性の殺虫剤で、環境ホルモン農薬のひとつで す。小麦や小麦製品への残留及び地下水汚染が問題となり、84年には農水省が土壌くん蒸剤の生産自粛を要請しました。厚生省は87年に輸入果物に残留してはならないとしました。90年12月18日に農薬登録失効。
★パラコート
非農耕地でも使用される「毒物」指定の除草剤です。自殺や犯罪にも多く使われ、年間の死者が1000人を超えた年もありました。解毒がむずかしいため医師グループが、販売の中止を求めたこともありま す。99年には、国内での原体生産が中止されることになっていますが、ジクワットとの複合剤の生産は続くようです。
★クロルデン
環境ホルモン作用のある有機塩素系殺虫剤で、68年に農薬登録は失効しました が、シロアリ駆除剤に転用され、広範な環境汚染を引き起こしました。86年に化審法で「特定化学物質」に指定され、製造・販売は禁止されました。しかし、すでに、クロルデンで処理された家屋はそのままで、一般環境汚染とともに、室内汚染による人体への影響が今後続くことが心配されます。
★PCNB
連作障害対策の殺菌剤で、発癌性の認められる環境ホルモン農薬のひとつです。地上散布による広範な大気汚染や土壌汚染を引き起こしている実態が明かになっています。この農薬はHCBを不純物として含むことも問題となっていました。97年の環境庁の調査で、2,3,7,8位に塩素を含 む7塩化ダイオキシンが含有することが判明し、メーカーは製造出荷をやめていますが、回収されたわけではないので、今後とも注意を要します。
★NAC(カルバリル) 下段に詳述。
<’98危ない農薬ダーティー12>
私たちが、危ないとして来た農薬が、次々と姿を消していくわけですが、今回の「農薬と環境ホルモン」の集会を機会に、特に、環境ホルモン農薬に注目してダーティーな12農薬を選び、有害農薬の使用を減らしていくよう提案します。
★2,4−D(2,4−PA)
ダイオキシン類を含有する除草剤です。アメリカの農民を対象とした疫学調査で、非ホジキンスリンパ腫の発生と関係があるとされています。水稲用のほか、公園・空き地など非農耕地でも使用されています。
★NAC(カルバリル)
カーバメート系の殺虫剤で、発癌性があるほか、NAC製造工場の労働者に、精子奇形がみられます。WHO/FAOが、NACの毒性試験データの不足を指摘したため、97年には、松枯れ空中散布用のNAC剤の製造が中止されていますが、他の用途でも規制が必要です。同系のメソミル (ランネート)は甲状腺ホルモンへの影響が報告されています。
★キャプタン
発癌性のあるダイホルタン(カプタホ ル)と同系の殺菌剤です。環境ホルモンリストには載っていませんが、妊娠ラットへの投与で、仔の雌雄比が変わるとされています。作物残留分析に際しては、試料処理の過程で分解してしまい、実際より低い値で、検出されることが指摘されました。アメリカでは、イチゴ農園でのキャプタン使用に対し、農業労働者が、散布後の立入制限期間を延ばすよう運動をおこしています。
★クロルピリホス
有機リン系の殺虫剤で免疫毒性があります。環境ホルモンとしてよりも、有機リン剤に共通の神経毒性が問題になっています。シロアリ駆除剤にも使用されるため、室内汚染による人体被害もでています。マラチオン、MEP(スミチオン)、DDVPは、動物実験で造精機能障害が報告されていますので、農薬としてだけでなく、防疫用薬剤や家庭用殺虫剤、防虫畳などの身のまわりでの使用を減らしたいものです。
★ジコホール(ケルセン)
DDTと類似の構造の殺虫剤です。分解物のDDEは、アメリカのアポプカ湖のワニにペニスの短小化・繁殖低下がみられた原因物質とされています。同じ有機塩素系殺虫剤ベンゾエピンも問題とすべき農薬のひとつです。
★シマジン
トリアジン系除草剤で、公園や団地などの非農耕地でも使用されています。同系のアトラジンは動物実験で、生殖への影響や発癌性が報告されており、ドイツでは、 91年に使用禁止となっています。日本では、同系の水田除草剤シメトリンの水系汚染が要注意です。
★トリフルラリン
発癌性や催奇形性のある除草剤で、野菜畑や果樹園のほか、非農耕地でも使われます。魚の下垂体への影響も報告されています。分解代謝物のニトロソアミン化合物の発癌性も問題です。
★ノニルフェノール系農薬
魚をメス化することがわかっているノニルフェノールを原料とする農薬に、殺菌剤ノニルフェノールスルホン酸銅と展着剤ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE)があります。後者は、他の製剤に不活性成分として添加されていることも考えられますが、どの製剤にはいっているかは、農水省が明かにしません。
★プロシミドン
野菜や果実などに使用される殺菌剤で す。ラットの雄で生殖器のメス化・形態異常、乳首の発達がみられたビンクロゾリン(98年4月登録失効)と構造が類似していることが気懸かりです。
★ベノミル(ベンレート)
殺菌剤で、動物実験では、雄の生殖系に影響を与えることがわかっています。ヒトについては、無眼症など眼の奇形の原因になると疑われています。同系の環境ホルモン農薬としてMBC(カルベンダゾール)があり、これは、チオファネートメチル(トップジンM)の中に含まれている恐れもあります。
★ペルメトリン
環境ホルモンの疑いがあるピレスロイド系の農薬です。家庭用殺虫剤や電車の車内消毒にも使用されています。同系の農薬であるアレスリン、シペルメトリン、フェノトリン(日本では、農薬登録はなく、シラミ駆除剤、防疫用薬剤として使用)、フェンバレレート、エスフェンバレレートも環境ホルモン作用があるとされています。ドイツでは、社会民主党が、ピレスロイド系薬剤の繊維製品や室内インテリアなどへの使用を止めるよう提案しています。
★マンゼブ
ジチオカーバメート系殺菌剤で、甲状腺ホルモンに影響を与えます。不純物・代謝物であるETU(エチレンチオウレア)に毒性があるとされています。同系の農薬として、ジネブ、ジラム、マンネブなども使用規制する必要があります。
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作成:1998-11-30