内分泌撹乱物質にもどる
t08301#内分泌系撹乱農薬で、都道府県に「農薬防除基準」からの削除を要望#98-11
 てんとう虫情報81号で「内分泌系撹乱農薬の都道府県別出荷量ワースト3」、同82号で「'98危ない農薬ダーティー12」についての記事を掲載しましたが、これに基づいて、ワースト3に名を連ねる23都道府県の関係部署に、以下のような要請文を送付しました。これを参考に、読者の皆様がお住まいの地域でも、独自の要請を行なっていただければ幸いです。
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要請文
 私たちは、農薬をはじめとする有害化学物質の使用を出来るだけ減らそうと運動している市民団体ですが、昨今話題となっています内分泌系撹乱物質の環境汚染問題にも大きな関心を抱いています。
 ご存知のように、通産省や環境庁が疑わしい物質として、リストアップした化学物質の中には、現在、登録されている農薬が多く含まれています。
 私たちが、既にその毒性について問題があるとしてきた農薬が大部分ですが、これらに内分泌系撹乱作用があるとすれば、自然の生態系や人の健康により一層の影響がでることが心配されます。
 監督官庁である農水省や農薬メーカーの集まりである農薬工業会は、農薬については、毒性試験が行なわれており、内分泌系撹乱農薬についても、問題ないとしていますが、いままでも、登録後にその毒性に疑惑がでて、市場から消えていった農薬は少なくありませんでした。
 たとえば、除草剤CNPは、疫学調査により胆のうガンとの因果関係があるのではないかと指摘され、専門家が改めて検討した結果、疑いを捨て切れないとの判断がなされ、製造メーカーが自主的に生産を中止し、回収したことはお忘れではないと思います。
 97年には、環境庁の調査により有害なダイオキシン類の混入が確認されたPCNBや毒性試験の不足をWHO/FAOで指摘されたNACの空中散布用製剤をメーカーが製造中止していることは、現行の登録制度での毒性試験が不十分であることを証明しています。98年4月に殺菌剤ビンクロゾリンが登録失効したのは、再登録をしなかったのが理由ですが、内分泌系撹乱物質であったことについては、疑惑を残したままです。
 そもそも、内分泌撹乱物質の毒作用の問題点は、微量でも作用する。作用時期によっては、不可逆的な影響をあたえる。用量−反応関係が単調でなく、閾値がない、など従来の毒性試験では、評価できないということにあるのですから、疑惑農薬の毒性再評価は必須です。また、内分泌系撹乱物質のせいではないかと疑われている魚のメス化については、現行魚毒性試験では評価さえされていません。
 このような状況下で、内分泌系撹乱作用があると疑われる農薬をそのまま使いつづけることは、将来に大きな禍根を残す恐れがあり、私たちは、使用を中止すべきだと考えています。そこで、以下の要請を行ないますので、12月15日までにご回答ください。
★要請事項
(1)同封の資料1「'98危ない農薬ダーティー12」及び資料2「内分泌撹乱農薬の都道府県別出荷量ワースト3」を参考の上、担当部署で作製されます農薬防除基準から、内分泌系撹乱物質に挙がっている農薬を除き、できるだけ該当農薬を使用しないようお願いしたいと思いますが、貴県のお考えをお聞かせください。
−資料は前記各号を参照してください−
(2)ノニルフェノール系界面活性剤(APE)は、資料に挙げた殺菌剤、展着剤以外に、いろいろな農薬に不活性成分として添加されていることが考えられますが、農水省は含有する登録農薬名を明かしません。貴県が防除基準に載せる登録農薬にAPEが含有されていないか、農水省又は農薬メーカーに確認してくださるようお願いしたいのですが、貴県のお考えを聞かせください。
(3)この項は、該当都道府県ごとに、挙げた農薬が、おもにどんな農作物に適用されているかお答えください。
★北海道
 36種の内分泌撹乱農薬のうち、17種の農薬でワースト3に入っています。特に、殺虫剤ではフェンバレレート/マラチオン、除草剤ではアイオキシニル/アラクロール/キザロホップエチル/フルアジホップブチル/メトラクロール/メトリブジン、殺菌剤ではビンクロゾリン/プロシミドン/マンゼブの出荷量がワースト一位です。また、殺虫剤シペルメトリン、殺菌剤PCNB、除草剤リニュロン/アトラジンの出荷量も多いように見受けられます。
★青森県
 7種の農薬でワースト3に入っています。特に、殺菌剤ではキャプタン/ジラム/フェナリモル、殺虫剤ではクロルピリホスの出荷量がワースト一位です。また、殺虫剤NAC/ベンゾエピンの出荷量も多いように見受けられます。
★山形県
 殺菌剤キャプタンの出荷量がワースト三位です。
★埼玉県
 6種の農薬でワースト3に入っています。特に、殺虫剤のアレスリンとメソミルの出荷量がワースト一位です。また、除草剤シマジン、殺虫剤ペルメトリンの出荷量も多いように見受けられます。
★千葉県
 除草剤シマジン(CAT)と殺虫剤ベンゾエピンの出荷量がワースト三位です。
★東京都
 6種の農薬でワースト3に入っています。特に、除草剤では2,4−D(複合剤)やアトラジン、殺菌剤ではトリホリン、殺虫剤ではペルメトリンの出荷量がワースト一位です。
★山梨県
 殺菌剤ベノミルの出荷量がワースト二位です。
★群馬県
 殺菌剤PCNBの出荷量がワースト三位です。
★長野県
 10種の農薬でワースト3に入っています。特に、殺菌剤のPCNB/ノニルフェノールスルホン酸銅/ベノミル(ベンレート)の出荷量がワースト一位です。また、殺菌剤キャプタン/ジラムの出荷量も多いように見受けられます。
★新潟県
 殺虫剤NAC(カルバリル)の出荷量がワースト一位です。
★富山県
 除草剤モリネートの出荷量がワースト一位です。また、殺虫剤NACの出荷量も多いように見受けられます。
★静岡県
 殺虫剤ジコホールの出荷量がワースト二位、殺菌剤マンネブがワースト三位です。
★愛知県
 除草剤アトラジンと殺虫剤メソミルの出荷量がワースト二位、殺虫剤ペルメトリンと殺菌剤ジネブがワースト三位です。
★三重県
 除草剤2,4−PA(複合剤)の出荷量がワースト三位です。
★和歌山県
 殺虫剤シペルメトリンとメソミルと殺菌剤マンネブの出荷量がワースト二位、殺虫剤ジコホールと殺菌剤マンゼブがワースト三位です。
★奈良県
 除草剤TCTPの出荷量が兵庫県とともにワースト一位です。殺菌剤ジネブの出荷量も多いように見受けられます。
★兵庫県
 除草剤TCTPの出荷量が奈良県とともにワースト一位です。
★愛媛県
 殺虫剤ではアミトラズとジコホール(ケルセン)、殺菌剤ではマンネブの出荷量がワースト一位です。また、殺菌剤マンゼブの出荷量も多いように見受けられます。
★福岡県
 6種の農薬でワースト3に入っています。特に、殺菌剤ジネブと殺虫剤シペルメトリンの出荷量がワースト一位です。また、殺虫剤メソミルや除草剤トリフルラリンの出荷量も多いように見受けられます。
★佐賀県
 除草剤トリフルラリンの出荷量がワースト一位です。
★熊本県
 8種の農薬でワースト3に入っています。特に、除草剤の2,4−PA(単剤)とリニュロンの出荷量がワースト一位です。また、殺虫剤マラチオンの出荷量も多いように見受けられます。
★宮崎県
 除草剤2,4−PA(複合剤)の出荷量がワースト二位です。
★鹿児島県
 殺虫剤ベンゾエピンの出荷量がワースト一位です。

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作成:1998-11-30