街の農薬汚染にもどる
t08401#来年度からのハエ・カ駆除に関してアンケート、東京都内で実施している37区市町村へ#98-12
 82号でお知らせしましたが、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が成立し、現在、基本指針と政省令が作られようとしています。伝染病予防法は廃止になり、99年4月から新法が施行されます。
 10月に発表された基本指針の骨子案には「平時におけるねずみ族及び昆虫等の駆除は、感染症対策の観点から重要である。感染症が発生していない平時における感染症媒介昆虫の駆除については、各地域において、それぞれ実情が異なることから、各市町村が各々の判断で実施するものであるが、過剰な消毒、駆除をならないような配慮が必要である」と書かれています。
 私たちは、平常時でのハエ・カの駆除は必要ない、特に、住民に無料で薬剤を配布し、住民が散布するのは危険で事故の可能性があるのですぐ中止するよう運動をしてきました。今年の4月に東京都下の区市町村にハエ・カ駆除に関するアンケート調査を行ったのもその一環です。(てんとう虫情報78号に概要。増刊79号に詳細発表)
 今回、法律がかわったことを踏まえて、今年薬剤によるハエ・カ駆除を行った都下37区市町村に改めて、以下のような質問をしています。現在、回答が集まってきている段階です。皆さんの地域でも是非、調査をしてください。
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区市町村衛生害虫駆除担当者様
        平常時での薬剤による衛生害虫駆除中止の要望
 今年、4月にお願いしたハエ・カ駆除事業についてのアンケート調査にご協力下さり、ありがとうございました。お蔭様で100%の回収率になり、東京都の衛生害虫駆除の実態が明らかになりました。この結果につきましては、すでに、概要を7月21日にお送りしていますので、お目を通していただいたことと思います。
 さて、大方の区市町村が衛生害虫駆除の法的根拠にあげていた伝染病予防法は来年4月に廃止になり、代わりに「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が施行されることになりました。新法では、平常時の衛生害虫駆除に関する法律上の規定はなくなりました。
 厚生大臣が策定する「基本指針」の中に平常時の衛生害虫駆除の規定ができる予定ですが、まだ、公衆衛生審議会の案の段階で決定はしていません。しかし、10月19日に公表された骨子案をみると「平時におけるねずみ族及び昆虫等の駆除は、感染症対策の観点から重要である。感染症が発生していない平時における感染症媒介昆虫の駆除については、各地域において、それぞれ実情が異なることから、各市町村が各々の判断で実施するものであるが、過剰な消毒、駆除とならないような配慮が必要である」となっています。  つまり、法律上の義務づけではなく、区市町村の判断で区市町村が責任をもって行うこと、過剰な散布にならないよう注意することなどが盛り込まれるわけです。現在、行政が住民に無料で薬剤を配布し、自治会等が散布する場合、非常にずさんな散布が行われています。また、劇物相当の急性毒性の強い薬剤を配布しているところもあります。万一、事故が起こった場合、今後は、直接的に区市町村が責任を負うことになります。
 東京都の場合、既に40%以上の区市町村が衛生害虫の駆除をやめています。これらの区市町村は「やめても何ら不都合はない」としています。法律改定を機に、来年度からのハエ・カ駆除を中止するよう要望し、下記おたずねしますので12月21日までに文書で回答くださるようお願いいたします。
 1、来年度からのハエ・カの駆除事業は廃止されますか?
 2、住民への薬剤無料配布は直ちに中止すべきと思いますが、来年度からはどうされますか?
 なお、4月にお願いしました「ハエ・カ駆除に関するアンケート調査」の詳しい結果を同封いたします。参考にしていただければ幸いです。
 また、今回、足立区の上記アンケートの回答がでたらめであることが判明しました。資料集の16頁の足立区の項で、総費用7,800,000円、使用量500kg、7200X/DYとあるのは、総費用58,679,564円、使用量1万6440X/DYです。ご訂正下さい。責任ある自治体がこのような嘘を書いてくることに非常に驚いています。足立区には厳重に抗議しています。
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★前回のアンケート調査結果の波紋
(1)4800万も使っていたのに780万と
  足立区がデタラメな回答→抗議に平謝り
 反農薬東京グループが今年の4月に行った「ハエ・カ駆除に関するアンケート調査」に対して、足立区がデタラメな数字を書いてきたことがわかりました。アンケートには費用が780万円と書かれていましたが、足立区で住民監査請求をしている「足立・行革110番」のメンバーが区の決算書を見ると、「カとハエ等の駆除」として5867万9564円が書かれていました。
 アンケートの回答の中で一番費用が多かったのは江東区の4121万350円でした。足立区は江東区を抜いてトップになるところをごまかしていたわけです。自治体がこのような虚偽の回答をしてくるとは思いませんでしたので、非常に驚くと同時に怒りも覚えました。足立区に対しては、抗議文を送り、正しい回答をするよう要求しました。12月1日に足立区衛生部保健管理課長から謝罪の手紙と回答がきました。
 それによると、決算書の5867万9564円のうち、ハチにかかる費用が112万8225円、ユスリカにかかる費用が903万6705円あり、これを除くとハエ・カ駆除に要する費用は4851万4634円となるのだそうです。いずれにしても、足立区が一番税金を使っていることに変わりはありません。
 また、根拠法や薬剤購入業者の決め方、薬剤名なども前回の回答と違っていました。どうなっているのか、疑問をもたざるをえません。
(2)世田谷区も1700万の「勘違い」?(−省略−)
(3)東京都の全区市町村は63だった!(−省略−)
(4)きちんと評価してほしいと・・
 反農薬東京グループは、再質問をする際、アンケート調査結果を97年度に薬剤による衛生害虫駆除を実施した37区市町村に送りました。他の自治体の状況を知ってもらい、今後の削減に役立てていただくためです。いくつかの反響がありました。薬剤散布の危険性を十分認識しており、できるだけ、早い機会にやめたいと努力している担当者が、この結果のまとめ方では、それが十分評価されていない、誤解される可能性があると伝えてきたのが目立ちました。
 こちらでは単に事実を書いただけのつもりだったのですが、その書いた場所が悪いので、何か悪いことをしているように思われてしまうとか、今後の方針に「現状通り」としか書いてないので、そのまままとめると、その前に苦労して薬剤配布をやめたことがわからないとか、費用が100万以下なのにそれ以上のところに分類されているとか、まあ、そういった内容でした。中には「ほとんどいいがかりとも言えなくもないのですが、とにかく、一度話しておきたかったので」と言う人もおりました。
 担当者と直接話ができて、自治体の悩みや中止する際の問題点などを聞くことができて、よかったと思っています。わざわざ電話をしてくるところは、それだけ関心が深いわけで、今後に期待したいと思います。
 なお、再質問に関して、12月8日現在、10自治体が回答してくれています。

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作成:1998-12-25