街の農薬汚染にもどる
t09203#連載:反農薬アドバイスC町内会の薬剤をやめさせるには#99-08
【質問】
町内会が公園や溝などに薬剤を散布します。どうも区が無料で配布しているようです。私は化学物質過敏症で薬剤を撒かれるととっても苦しいのでやめてほしいのですが。
【答え】
★根拠の伝染病予防法は廃止に
町内会や自治会が区市町村から薬剤(殺虫剤=農薬と同じ成分)を無料でもらい、役員などが散布するという方式は、全国的に行われているようです。これは、明治30年に制定され、今年3月に廃止になった「伝染病予防法」に根源があります。伝染病予防法は、伝染病が発生していない時(平時)でも、その予防のために都道府県の指導のもと、市町村が薬剤散布をするのを義務づけてきました。そのため、全国津々浦々で、町内会の行事として溝や床下、樹木、道路、家屋、ひどいところでは室内にまでスミチオンやDDVP、クロルピリホスメチル、ダイアジノン、フェンチオンなどの有機リン系農薬やペルメトリンなどのピレスロイド系の農薬を散布してきました。
本来、ハエやカの発生源に農薬を散布するはずのものが、とにかく、撒きさえすればいいのだというわけで、無差別散布が続いてきました。しかし、一方では、自治体がハエやカの駆除をする必要がないと判断し、伝染病予防法廃止以前から中止している自治体も多かったのです。反農薬東京グループが98年に行った都下63自治体のアンケート調査では41%の26区市町村で中止していました。中止した区市町村は、中止したことによる不都合は一切なかったと回答しています。(このアンケート調査の結果はてんとう虫情報79号(増刊号)にまとめてあります。一部500円ですので必要な方は申し込んでください)
★新感染症では規定はない
今年(99年)4月から「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が施行されました。反農薬東京グループはこの法律に反対し運動してきました。法律そのものの中には平時における予防のための「そ族昆虫の駆除」ははずされましたが、厚生大臣が定める「基本指針」のなかに残る可能性があったからです。カが媒介する日本脳炎は新法では対策を取るべき感染症にあがっていません。ハエも最近O157を媒介すると宣伝されていますが、もとより、O157の病原体がなければ媒介もできません。
自治体が無料で配布する殺虫剤はハエやカの駆除のためですから、既に、その根拠を失っているわけですが、何故か、厚生省は頑にこの項目を残そうとしたのです。私たちの反対は無視され、最終的に基本指針の四の2に「平時における感染症媒介昆虫等の駆除は感染症対策の観点からも重要である。この場合の駆除については、地域によって実情が異なることから、各市町村が各々の判断で適切に実施するものとする。また、駆除に当たっては、過剰な消毒及び駆除にならないような配慮が必要である」と書かれてしまいました。
重要であるが、過剰な駆除にならないように配慮するということです。その判断はすべて市町村がすることになります。万一、事故が起きた場合も責任は市町村になります。何が「過剰な消毒及び駆除」なのかについて厚生省は、それも市町村が判断するとしています。全く、無責任です。
★市町村に要望すること
これをやめてもらうためには、市町村に要望するしかありません。取り敢えず、以下の質問をしましょう。
1.殺虫剤無料散布はどのような法的根拠でやっているのか。
2.対象となる昆虫は何か。どこへ散布するよう指導しているか。
3.費用はいくらか。(既に中止したところでは一銭も使っていない。財政状況が厳し
い時、無駄な支出は避けるべき)
4.配布する薬剤を選んだ根拠は何か。(新感染症法では薬剤を指定していない。薬剤の
選択からすべて市町村の責任になる)
5.配布している殺虫剤の毒性を知っているか。(少なくとも、MSDS=化学物質安
全データシートを提出させること)
6.化学物質過敏症やアレルギーの患者への配慮はどのようにしているか。
7.町内会などが散布する時に市町村の担当者が立ち会っているか。(東京都では立ち
会うよう指導している)
8.殺虫剤散布の効果を確かめているか。どういう方法で効果を確かめるのか。
9.「過剰な消毒や駆除」にならないよう、どのように配慮しているか。
10.万一、事故が起こった場合、どのように責任を取るのか。
以上のような質問と同時に中止するよう要望したらいいと思います。その際、マスコミに発表して問題を明らかにしておく、市町村議員に質問してもらうなど同時にやれば効果があるでしょう。回答がきたら地域の実情に応じて新たな要望をします。
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作成:1999-09-27