街の農薬汚染にもどる
t09603#連載:反農薬アドバイスE砂場の抗菌剤は大丈夫?#99-11
【質問】公園や幼稚園の砂場に抗菌剤処理がされています。犬猫の糞尿などが原因で、砂が大腸菌や回虫の卵などで汚染されるため、衛生上の対策だとのことですが、薬剤によるこどもたちへの影響はないのでしょうか。
【答え】業者が抗菌砂や抗菌工法として宣伝しているものには、以下のようなものがあります。
@抗菌・殺菌作用のある薬品処理した砂を用いるもの
砂にリン酸カルシウムと銀を被覆したもの
銅や銀、亜鉛イオンなど含む天然ゼオライト
砂に殺菌剤チアゾリルスルファミドを添加
天然軽石に犬猫忌避剤を添加
砂場に酸性水を散布
A物理的な方法
砂を火炎で焼く
蒸気による殺菌
砂場付近に超音波発生装置をおく
(夜間に犬猫のいやがる音を出してよりつかないようにする )
@の場合使用される薬剤の毒性や金属アレルギーがが問題になるかも知れませんが、もっと根本的に、無菌状態ならばいいという生活習慣をかえる必要があるのではないでしょうか。
★横浜市は砂場の消毒はしない
横浜市では公園の細菌数の調査の結果、消毒の必要はないと判断しています。そこで、電話で詳しく聞いてみました。横浜市では毎年10から20くらいの公園を選び大腸菌と一般細菌数を調査しているとのことです。その結果、広場、植え込み、砂場とも細菌数は変りがなく、外で遊ぶという意味では公園内は同じレベルだということがわかったそうです。
そのため、砂場に薬剤を撒かず、特に汚いものがあればそれを取り除くのと、砂の補充が砂場の管理の主なものだということでした。中には、数は多くありませんが、砂場にシートをかけるところもあるそうです。よく聞くと、地域猫運動が盛んなところでは、別にそれによって細菌数が増えているというわけではありませんが、地域の人の合意を得た上でシートをかけているそうです。シートがかかっていると工事中かと勘違いして利用しない人もいるので、ちゃんと地域で合意したうえでやっているということでした。
担当の人は、「細菌数がこれ以下なら絶対大丈夫という決め手はない。確かに殺菌すれば菌の数という意味では必ずきれいにはなるわけだが、それが逆に他の害があるかどうかというのはまた別の話だ。横浜市は、ただ、屋外で遊ぶという中では、それほど、取り立てて砂場を殺菌するレベルではないという判断をしているだけで、科学的根拠としてこれがあるから大丈夫だというところまでは言えない。まあ、外で遊ぶんだから帰ったら当然手を洗うという一連の中で考えていただければ、そんなに神経質になる必要はないと思っている」と話していました。
この件についての問合わせは横浜市役所公園部管理課で受けています。
もともと人は、さまざまな細菌と共存して生活しているわけで、過度に除菌することは、耐性菌をつくったり、こどもの免疫力が劣ることにつながったりするマイナスの面もあることを忘れてなりません。バイキンはきたないものという、お母さん方の考えをかえることも重要でしょう。
★イヌネコ回虫症
砂場の6割以上にイヌ・ネコの糞がみつかるとの調査報告があります。この場合砂が回虫の卵で汚染され遊んでいた子どもの体内に入って、回虫症(肝臓がはれたり、咳や熱がでて、肺炎になる場合もある)がひき起こされることがあります。また、目に入って網膜に異変がおこる場合もあります。しかし、そのような感染の確率は少なく、砂場で遊んだ後、こどもたちが手洗いを励行することで、衛生面では問題ないと、自分でも体内にサナダムシを飼っているという東京医科歯科大学の藤田絋一郎さんはその著「バイキンが子どもを強くする」(婦人生活社刊:1999年7月)で述べています。終わりに、藤田さんの一文を引用しておきます。
『いずれにしても、私は子どもを砂場で遊ばせないことのマイナスとイヌ・ネコ回虫の感染の可能性をてんびんにかけると、子どもには砂場でどんどん細菌に触れながら遊んでほしいと願う。そうしていれば、抵抗力がついて、多少の病原菌などには負けないようになるから大丈夫。そして、イヌ・ネコの糞に触れたくらいでは、決して、失明することもない。ただし、砂場で遊んだら「手洗いをきちんとする」、「うがいをする」などの注意は守ってほしい。』
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作成:2000-01-30