街の農薬汚染にもどる
t09606#アメリカ:学校での農薬使用規制と西ナイル脳炎#99-11
 アメリカで二人の上院議員が、公立学校の校内や周辺での農薬使用を規制するための連邦基準をきめる法律の制定を求めています(すでに、州レベルでは、30余りの州に子供に対するなんらかの農薬使用規制があるそうです)。
 この法律は、EPA(環境保護庁)が発癌性や先天異常の原因、生殖毒性、神経毒性、免疫毒性があるとみなしている農薬の学校での使用を禁止するもので、もし、学校がその使用を必要とする場合には、両親の権利として、少なくとも72時間前に公表することを求めています。
 一方、害虫駆除業者らは、今年の8月ニューヨーク市で発生した西ナイル脳炎*を例に挙げ、感染症への対応が遅れると批判しています。
 日本でも、学校内で、防疫用や樹木の害虫駆除・グランウンドの除草などに農薬が使われており、各地で農薬散布反対運動がおこっていますが、国の法律や自治体の条例による規制は全くありません。
 また、海外からの感染症病原体の侵入を防ぐことは、大切ですが、過剰な予防対策のために有機リン剤など農薬と同じ成分を含む防疫用薬剤をやみくもに撒き、耐性をもつ昆虫を生み出すことは避ける必要があります。
【西ナイル脳炎】今年の夏、ニューヨーク市では、いままでなっかった脳炎が流行しました。まず、同市にあるブロンクス動物園周辺でカラスが死亡し、ついで、園に飼われている鳥にも広がりました。8月23日に2人の患者がでたのをかわきりに、市は防疫対策にのりだしましたが、10月初め迄に50人が罹患し、内5人が死亡しています。原因は、確定してはいませんが、西ナイル脳炎ウイルス(アフリカ・ウガンダが発生地)が疑われており、旅行者かペットショップの鳥が持ち込んだのではないかといわれています。いずれにしろ、ウイルスを保有する鳥から蚊が媒介して、人に感染する経路が問題となり、ニューヨーク市では、蚊を退治するため有機リン剤のマラチオンの大規模な散布が実施されました。秋になって、脳炎の流行は止まったものの、来年の再発生が懸念されています。
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作成:1999-12-21