街の農薬汚染にもどる
t09904#連載:反農薬アドバイスFビル内の農薬散布をやめさせるには#00-02
【質問】月曜の朝、出社すると頭がぼんやりして気力がでません。二日酔いでもなく、気の合わない上司がいてもいなくてもなるのです。何が原因でしょう?

【答え】実は出勤してしばらくすると、めまいやはきけ、眼の痛み、くちびるの乾燥などを起こすこともあります。これらは換気の悪いビル内で、汚染された空気に触れると起きることから、シック・ビル症候群と呼ばれています。汚染の原因はワックスや内装材から出る有機揮発物質やカーテンの難燃剤などさまざまですが、ここでは人目に触れないためにいままで問題にならなかった、ビル内の害虫駆除をとりあげます。

★「防除」を誤って解釈
 建物の中で殺虫剤をまいているところを見た人は、まずいません。業務後か休日に行なわれるからです。まかれた薬剤が蒸発し、その汚染された空気を最初に吸うのが月曜日なのです。
 ビルの管理者は、「駆除剤をまくのは義務だ」と思い込んでいますが、これは間違いです(本誌91号10p参照)。ビル管理法施行規則では「六カ月以内ごとに一回定期に統一的に防除」となっていますが、この「防除=薬剤による駆除」と勘違いしているのです。
各県では建築物の指導基準を設けていますが、たとえば東京都では、「『防除』とは、殺虫剤の散布だけではなく防虫防そ構造の整備などの環境対策も含まれます」とし、ねずみや衛生害虫等を全く認めなければ、必ずしも定期的に殺虫剤を散布する必要はありません」と指導文書に明記されています。
 一方、学校の給食室などは食品衛生法(19条18-2)によって「年2回以上駆除」することとなっていますが、その方法は規定されていません。

★公共施設でも大量散布
 98年に東京都町田市が、99年に神奈川県相模原市が市内すべての公共施設を調べたところ、ほぼ全施設で殺虫剤がまかれていることがわかりました。両市とも「防除=薬剤」という誤解からまいていたのですが、その後、市民団体や市議の働きかけで、「物理的防除」に変えています。(本誌96号13p参照)。

★まず、調査を求める
 どんな薬剤をいつまいているのか調査します。
1)規模の大きな事業所や市町村の多くには、労使半数ずつからなる「労働安全衛生委員会」があります。職員がここにこの問題を提案し、施設ごとに調査票に記入させます。
2)市民団体や労組から調査を要求します。(例:町田市)
3)(区市町村なら)議員の調査権で事務局に調べさせます。(例:相模原市・保谷市)調査といっても、会社の総務部や行政は、「なぜ、薬剤が悪いのか」わからないために、調査の必要性を感じていないはずです。(前述の)東京都の文書や室内空気の研究資料などをそろえ、「何が問題なのか」説明します。
 12ヵ所ある神奈川県の保健所環境衛生課では、シック・ビル症候群の相談を受け付けていて、「防除は薬剤に限らない」としたビル衛生管理者の講習会資料や、北里大の宮田教授によるシック・ビル関係の講演会記録などがもらえます。(本誌96号12p参照)。
★情報公開条例を使う
 場合によっては、行政の担当者が「聞く耳持たない」ことがあります。
 このときは業者との癒着が疑われるので、契約書類や帳簿書類の写しを請求します。ビル管理法施行規則20条では「維持管理に関する帳簿書類」として「生息状況点検記録」「防除実施記録」「防除効果の調査記録」の備えつけが義務付けられています。同法の適用外の施設でも、もし、これらがなければイカサマ業者です。議員を通じて入手する方法もあります。
身近な施設からトライしてみては。

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作成:2000-03-28