室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t10005#連載:反農薬アドバイスGシロアリ薬剤防除はやってはいけない#00-03
【質問】
シロアリ防除業者がきて、「予防で防除したほうがいい、シロアリが出たら家がつぶれる」などと言うので、家のものがやろうかと言っています。私は危ないと思うのですが、どうしたらいいでしょうか。
【答え】
★危険です。やめましょう
危ないです。健康被害を受ける可能性があります。現にシロアリが出ているのならともかく、予防でやるのが一番馬鹿馬鹿しい話です。シロアリ防除剤は強力な殺虫剤で、中には農薬として登録すらされておらず、毒性が何も分からないものもあります。もちろん、農薬として登録されている成分でも、危ないことに変りはありませんが。
特に、既築の住宅の場合、住んでいるところに大量の農薬を散布しますので、アレルギーや化学物質に弱い人は特に危険です。
しろあり防除をした後、ひどい急性中毒になり、その後、化学物質過敏症になってしまった人が大勢います。
植村振作・反農薬東京グループ著「床下の毒物−シロアリ防除剤」(三省堂発行 1500円+税)を手に入れて、読んでください。どういう危険があるかを始め、シロアリ防除剤についてあらゆることが書いてあります。やめるにこしたことはありません。
★新築の場合もやめさせましょう
シロアリ対策は薬剤によらなくても、土台にヒノキやヒバなどの防蟻性の高い樹種を使うとか、床下をコンクリートで固めてしまうベタ基礎などの方法でできることは住宅金融公庫の仕様書改定で確認されています。
しかし、未だに、ハウスメーカーや工務店が「シロアリ防除をしないと住宅金融公庫からの融資が受けられない」などという場合があります。このような不勉強なハウスメーカーに家を建ててもらうのは考え物です。できたら、契約解除をした方がいいのですが、それができないときは、住宅金融公庫の仕様書と、上記の「床下の毒物」をよく読むように伝え、それでもまだシロアリ防除剤を散布するといったら、住宅金融公庫の本社の建設サービス部技術開発課(電話 03-5800-8210)へ電話して相談してください。
高耐久性木造住宅の場合も同様ですから、だまされないように注意してください。
家を建てるお金は施主が払うのですから、ハウスメーカーの言いなりにならないで、しっかり見張っていた方がいいと思います。
★すでに被害を受けてしまったら
また、既にシロアリ防除をして健康被害を受けてしまった人は、国民生活センター(03-3446-0999)や消費者センターに電話して相談してください。あまり頼りにならない場合がありますが、被害の報告だけでもしておかないといつまでも変りません。
また、神奈川県の保健所が相談窓口を設置していますから、こちらに相談するのもいいかもしれません。電話番号はてんとう虫情報96号12頁に掲載しています。他の相談窓口としては住宅部品PLセンター(03-5211-0567)も相談にのってくれる場合があります。化学製品PL相談センターは業界の出資でできたPLセンターですから避けた方がいいでしょう。
また、現在、厚生省がシロアリ防除剤の室内汚染の調査をしてガイドラインを出すとのことです。緩いガイドラインができてしまうと何も言えなくなりますから、被害を受けた人は厚生省生活衛生局企画課、生活化学物質安全対策室に被害を訴えて下さい。厚生省の代表電話は03-3503-1711です。
★具合が悪くなったら
化学物質の害について普通の病院ではわかりません。自律神経失調症とか、気のせいだと言われ、精神科を紹介される場合があります。また、鎮静剤などを処方された人もいました。
ですから、体の異常が化学物質のせいかもしれないと思ったら、専門の病院へ行かなければなりませんが、現在、日本では北里研究所病院の臨床科学医療センター(東京都港区)しかありません。予約してから診察まで2ヶ月くらいかかるということです。電話は03-3444-6161です。
普通の病院でコリンエステラーゼの検査をしてもらうこともできますが、その場合は血清ではなくて、血球のコリンエステラーゼの検査をしてもらい、そのデータをもって北里研究所病院へ行くと、少し、手間が省けるとのことです。
★シロアリ防除剤の法的規制を
シロアリ防除剤は生活環境の中で大量に農薬を使用するわけですから、農産物への農薬散布以上の規制が必要ですが、現実にはシロアリ防除剤を規制する法律はありません。薬剤も国による審査は一切ありません。業者は「国が許可している安全な薬剤」などといいますが、それはウソです。認定薬剤は日本しろあり対策協会などの業界団体がしています。毒性評価もほとんどなされていない状況です。
法的規制を求めるために、取り敢えず、建設省住宅局建築指導課(03-3580-4311内線3954)へ意見を出してください。
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作成:2000-04-28