空中散布・松枯れにもどる
t10207#連載:反農薬アドバイスI松枯れ農薬空中散布反対運動のために#00-05
【質問】私の住む町では、松枯れ対策と称して、いまだに農薬の空中散布が続いています。せめて、空中散布時の注意事項だけでも周知徹底させたいと思うのですが、どうしたらよいのでしょうか。

【答え】4月16日、林野庁は森林保護対策室長名で、都道府県の森林病害虫等防除事業担当課長宛に、「松くい虫特別防除の適切な実施について」という事務連絡を出しました。この通達は、97年4月に松枯れ空散反対全国ネットワークが林野庁長官と交渉し、出させるようになったものです(てんとう虫情報64号、65号に詳細)。
 今年の通達も97年の通達を引用して守るようにと伝えています。内容は、周辺住民に農薬空中散布による健康被害が起こる可能性を知らせることとなっていますが、なるべく、こうした情報を知らせたくない林野庁は通達の文章も非常にわかりにくく書いてありますので、受け取った都道府県の担当者もわからないまま放っておく可能性もあります。
 解説しておきます。都道府県の担当者がわからないようでしたら、市民が指導してください。
まず、空散を実施しようとすれば、周辺住民に周知しなければなりません。チラシ、立て札、有線放送等どのような媒体を使ってもかまいませんが、周知する内容として、農薬中毒の症状をも記述するようになっています。そのために、林野庁は農水省発行の「農薬中毒の症状と治療法」の抜粋を「特別防除に使用する農薬の中毒の症状と治療法」と題して資料としてつけています。
 この通達には「人によっては薬剤による影響の程度が異なることを配慮して」とありますが、これは空散される薬剤によって周辺住民に健康被害がでる可能性を認めたものです。そのために、医療機関に対しては治療法を、周辺住民にはどのような症状がでるかを知らせなければなりません。
 97年に佐賀県で出されたチラシには「散布液がかかった程度では問題はありませんが、直ちに石鹸で洗い流してください」など書かれていました。また、同じ年に島根県では「農薬が体にふれると、人によっては頭痛、吐き気等の症状を起こす恐れもありますので、散布区域内には絶対に立ち入らないでください」などと書かれていました。これらは当然通達に反しており、反対運動の指摘で、直ちに訂正のチラシが配布されました。
 しかし、反対運動のないところでは、今年もこのようなチラシが撒かれる可能性があります。もし、こうしたチラシが配布されたりしたら事務局までお知らせください。
 97年に、まあ、これくらいなら許せるとされたものに、香川県でやはり空散反対派の指摘で訂正されたチラシがあります。県と高松営林署が連名で「ヘリコプターによる松くい虫防除の薬剤散布のお知らせの追加」として配布したものです。それには、「松くい虫防除の空中散布に使用する薬剤(スミパイン乳剤:主成分スミチオン)は、人畜に対して低毒性の薬剤(普通物)ですが、人によっては薬剤による影響の程度が異なることから、もし、万一、吐き気、下痢、腹痛、めまい等の中毒症状が現れることがありましたら、下記の医療機関に連絡して適切な処置を受けて下さい。」と書かれ、下に医療機関の住所、電話番号が記されています。
 松枯れ空散を実施する県は最低これくらいのことを周辺住民に知らせなければなりません。松枯れ空散を実施する都道府県は「森林病害虫等防除連絡協議会」を設置しなければなりませんが、その委員に「防除に関心を有する団体等の代表」があります。これは空散反対派のことです。自然保護団体や環境保護グループは別の枠がありますから、自然保護協会が入っているからいいというわけにはいきません。反対派は積極的に協議会に参加して空散反対の意見をきちっと述べてください。
 また、反対運動が1市町村で、県全体をカバーしてないから県レベルの協議会に参加させないというのも理由になりません。先日、林野庁森林保護対策室が明言しました。その県内で活動している反対派は県レベルの協議会に参加できます。万一、申し入れても協議会に反対派を参加させないようなところがありましたら、これも事務局までお知らせください。
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作成:2000-06-28