空中散布・松枯れにもどる
t11001#有機圃場に一切農薬がかからないように−農薬空散に関して農水省が文書での指導を約束#01-01
昨年、長野県小布施町で有機農業圃場に空散農薬がかけられた事件を契機に、反農薬東京グループは日本有機農業研究会、食農ネットとともに、農薬空中散布に関して農水省と交渉を進めてきました。
その結果、本誌105号で報告したように、農水省は空散の実施要領の「危害防止に万全を期す」という「危害」はJAS法の定める「汚染」を含むこと、また、危害防止は実施団体が行うことが確認されました。
つまり、有機農業の圃場のある地域で農薬空中散布をする場合は、有機圃場に絶対に農薬が飛散しないような措置を、空散の実施団体がとらなければならないわけです。これは有機圃場のみならず、危害防止をしなければならない公衆衛生関係等にもあてはまります。
以上のような点が上記3団体と農水省との間で確認されたのですが、実際に農薬空中散布を実施する実施団体に理解され、実行されないと意味がありません。私たちは12月に2回、1月にも1回、農水省と折衝を続け、早急に全国の実施団体に指導するよう要望してきました。
農水省植物防疫課は2月に毎年出している通知の「推進方針」で、その点をはっきり書くとしていますが、実際にどのようなものになるか不明です。しっかり監視していく必要があります。
★空散実施県に要望書
長野県の柴本さんは農水省交渉と並行して、県、町の実施団体との話し合いを続けてきました。昨年12月、ようやく、実施団体は自分たちの責任を全面的に認めました。しかし、まだ来年度の空散をどうするかは決まっていません。県の指導を待つという姿勢です。なお、田中長野県知事は各地で県民集会を開いていますが、12月に行われた小布施町での集会の際、柴本さんの質問に対して、「農政部と話し合ってないので個人的な意見だが、農薬空中散布は肯定できない」と回答しています。
農水省交渉を続けてきた3団体は長野県に対して空中散布事業を中止するよう要望書を出しました。
また、2000年に空散を実施した北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、長野県、神奈川県、新潟県、石川県、福井県、岐阜県、愛知県、三重県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の24道府県に対して、JAS法下で有機圃場をはじめ危害防止をすべき場所への農薬飛散を防止するために、十分な指導をするよう要望しました。
農水省のJAS法担当課である品質課は4月以降、認証された有機農産物に関して抜き取り検査を行い、農薬が残留していないことを確認するとしています。万一、農薬が検出された場合は認証機関の登録取り消しなど強い姿勢で臨むとしています。
★総務庁などに要望
また、これとは別に、3団体は昨年12月7日に総務庁長官、規制改革委員会、環境庁長官、大蔵大臣、公正取引委員会委員長、会計検査院院長あてに「農林水産省の農薬空中散布事業の廃止を求めます」という要望書を提出し、事情を説明しました。
農薬空中散布は1962年に出された事務次官通達「農林水産航空事業促進要綱」と1965年の「農林水産航空事業実施指導要領」に基づいて行われています。要綱に設置が決められている農林水産航空協会は、航空会社等を会員とする事業者団体ですが、ここに対して全国の空散の時期、散布量及び散布地域等を調整することをゆだねており、散布の標準料金を設定することまで定めています。これは独占禁止法上の問題があるのではないかということです。
また、原則自由化の方針の元で規制緩和を推進している政府全体の方針にも反するうえに、危害を及ぼす農薬の空中散布が法的根拠がなく、行政指導のみに依拠しているのは驚くべき時代錯誤、人権無視と言わざるを得ません。
そこで、総務庁に対しては、行政監察を実施し、農水省に対して要綱・要領を廃止する勧告を出すこと。
大蔵省及び会計検査院には、農林水産航空協会に対して多額の補助金が出されているが、予算としての妥当性、予算の適正な執行に疑義があるので、これまでの予算の執行のみならず、来年度の予算案について適切に対処すること。
公正取引委員会に対しては、農林水産航空協会は事業者団体であり、空散の調整、標準料金の設定などの事業は独占禁止法上問題がある。このような行政指導を廃止するよう農林水産省に要請すること。
以上のような要望をしました。
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作成:2001-01-25