室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t11307#衣料防虫剤ナフタリンが保管中のビールに溶解#01-04
4月6日、サッポロビールのホームページに「お客様へのお知らせ」として、次の内容の記事が掲載されました。
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『ビール容器の栓部樹脂部分からのナフタリン臭透過について』
サッポロビール株式会社(本社・東京、社長・岩間辰志)では、ビールをナフタリンと一緒に長期間保管すると、ビール容器の栓部樹脂部分からビール液中にナフタリン臭が移る可能性があることを確認しました。これは京都府の消費者の方のご指摘をもとに当社で強制再現実験を行なった結果、確かめられたものです。
健康に影響の出るレベルではありませんが、ビールの風味を損なう要因として捉え、今後改善を目指して研究を進めるとともに、匂いの強いものと一緒に保管されないような表示上の工夫についても検討していきます。
記
1.今回の例は、ビール(黒ラベル・ショットボトル)をナフタリンと一緒に数ヶ月
間保管した結果と聞いており、通常の使用形態によって生じたものではない。
2.お客様ご指摘当該品のビール液中から検出されたナフタリンは約6mg/リット
ル(当社分析)であり、健康に影響の出る最小例(小児)である約250mgと
は大きく異なっている。
3.ナフタリン臭はキャップ裏部の樹脂部分を透過したものと推定される。この樹脂
は瓶ビール王冠裏部など食品容器などに広く使われているが、ナフタリンを透す
という知見は従来はなく、今回初めて確認された。当社の実験では瓶ビールでも
同様の現象が起こることが確かめられており、ショットボトルに固有の現象では
ないと推定される。当社では、他の容器(瓶・缶・PETボトル)や他の家庭内
揮発性物質(灯油・ピレスロイド系殺虫剤)などでも実験を続け、改善に向けて
研究を進めていく。
4.また「匂いの強いものと一緒に保管すると匂いがうつるおそれがある」といった
内容をお知らせする表示上の工夫についても検討している。
5.厚生労働省には「ビール風味を損ねる新しい要因」として報告している。
以上
この件に関するお問い合わせは下記までお願いいたします。
サッポロビール(株)お客様相談センター フリーダイヤル:0120-207800
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すでに、室内空気を汚染しているシロアリ防除剤クロルピリホスや殺虫剤補助成分S−421が台所収納庫に保管中のコメやソウメンを二次汚染している実態は、大阪府立公衆衛生研究所の吉田さんの研究で明かになっています。
今回のケースでは、アルミ製のビールボトルを未開栓状態で押し入れ内に保管しておいてたところ、樹脂製(低密度ポリエチレン)のキャップを透過して、衣料防虫剤の成分ナフタリンがビール中に溶解したということです。
ビール瓶についても王冠の裏には樹脂が使用されており、樹脂キャップの場合と同様、ナフタリンが透過するということもわかったようです。
食品衛生法では、包装容器について、容器そのものの成分が内容物へ溶出することは規制対象になっていますが、容器保管環境にある汚染物質が透過して、内容物の汚染がおこることは見逃されてきました。
サッポロビールは、厚生労働省に「風味を損ねる新しい要因」として報告したということですが、これは、単に風味の問題ではなく、食品の化学物質汚染の経路のひとつが判明したと捉らえるべきです。
密封容器でも、室内汚染物質の透過により食品の二次汚染がおこるのですから、開封して保存される場合は、一層、汚染度が増すのではないでしょうか。開封保存することの多いポリ容器に入った食用油などに室内汚染している脂溶性のさまざま物質が溶け込んでくることが心配されます。
私たちは、シックハウス検討会の意見公募の際にも再三、このことを指摘し、調査するよう要請してきましたが、返事はいつも今後の検討課題とするという、おざなりのものでした。
ビールのナフタリン汚染は、室内化学物質汚染が深刻な状況にあることの象徴的出来事です。空気からの経気的摂取だけでなく、経口・経皮的な摂取についても配慮した調査の実施が早急に望まれます。そのため、食品二次汚染調査及び建築素材や家具等の表面ふきとり調査の実施をしつこく求めていきましょう。
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作成:2001-05-26