室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t12201#神奈川県、無登録「農薬」の販売実態など、農薬の安全対策実施へ#01-11
神奈川県は、今秋開かれた市民団体「県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会*」との話し合いを通して、農薬の安全対策などいくつかの施策の実施を約束しました。
■農薬類似成分商品の調査
神奈川県は今年度、無登録「農薬」の表示や販売実態などについて調査することを決めました。こうした薬剤のなかには「人・ペットにやさしい」など安全性を誇張したものや、農作物には使えないのに購入者に用途を問わないで売られるケースがあることから、販売実態の解明や規制が求められていました。
これらの薬剤はいままで取り締まる法規がなかったために、県においても担当課をどこに置くかで、1年にわたり調整を続けていましたが、今年度から消費生活課を中心とする調査機構「生活科学研究ネットワーク」が主体となり、農業振興課など関係部局が連携して調査することになりました。こうした調査は全国でも初めてです。
現在、県は農薬販売店に立入検査する 際、無登録「農薬」を見つけると国に通報し、国は製造・輸入者に対し登録を取るよう指導しています。2000年度に県は、農薬販売者へ159件の立入検査を行い、この件 で100件の指導を行いました。
■木材防蟻剤など室内空気汚染を調査
シックハウスの原因を探るため、シロアリ駆除剤・防虫剤を含む「室内汚染物質の調査研究」が県衛生研究所によってまとめられ、その結果から防蟻剤クロルピリホスが最高7.6ng/立方米、防虫シートが使用された和室からはフェニトロチオンが定量限界値以下で微量に検出されました。
測定値が低かったのは、「駆除処理直後でなかった」ためとしています。今後はピレスロイド系やビフェントリン、プロペタ ンホス、S-421など幅広い駆除剤の調査が 必要と報告書では指摘し、共力剤S-421に ついては、「変異原性を有し、一度検出されると数年間に亘り室内に検出されることも報告されていることから、さらに調査が必要」としています。
衛生部生活衛生課は、「木材防蟻・防蝕剤の散布直後のものがあったら、対応をはかりたい」と答え、市民側は、空家での散布実験調査や防蟻剤の新製品についても対応できる体制を求めました。
■家庭用農薬関連の相談が可能に
衛生部は、98年からシックビル・ハウスの苦情相談を受け付けていますが、隣家のベランダから飛んできた農薬による身体異常も「厳密には(シックハウスとは)違う が、家の中で困っている人がいれば保健所は区別しない」と回答しました。
また、農業振興課は、住民にかかるような危ない散布を見つけた場合、「通報があれば指導したい。防除業者によるときは病害虫防除所へ、農業者によるときは農業改良普及センターか防除所へ」と答えました。これには「マスクなし」の散布も含みます。
防除業者は県に対し虚偽の対応をすることも懸念されることから、散布の日時、場所、業者名、状況などをメモし、危険のない範囲で写真を撮るなど、通報の際指導に役立つ情報を集めるよう心がけることが大切です。
■シックハウス、市県間で情報交換
家庭用品の監視指導を効果的に推進するために、保健所を設置する横浜市、川崎 市、横須賀市、相模原市と県は「県・政令市家庭用品行政連絡調整会議」を83年に設けました。ここにおいて、今年度からシックビル・ハウス問題についても、各自治体の取り組みや相談受付状況などを情報交換することで合意しました。
県のシックハウス相談は、県域の保健所で受け付けているもので、保健所を設置する4市については、早期に相談窓口をつくるよう住民からの働きかけが必要です。
一方、農薬の使用や販売についての指導は県の業務なので、4市の市民も県の農業機関に通報・相談することができます。
窓口は活用することで情報が蓄積され、分析や解決への取り組みが進むので、積極的に利用したいものです。
■こん虫駆除で市町村庁舎管理者にも通知
「ビル衛生管理法によるこん虫駆除は、必ずしも薬剤を使うものではない」とする厚生労働省通知(8月22日付ケ)を、衛生部は年1回開かれるビル衛生管理講習会で再度指導するほか、県だけではなく市町村の庁舎管理担当課にも送付し、「薬剤一辺倒」の見直しを周知することとなった。 (新巻圭)
*)「県民のいのちとくらしを守る共同行 動委員会」=略称「いのくら」。対県交 渉や学習会など行う。神奈川県内80の市 民団体・生協・労組団体が加盟
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作成:2001-11-25