空中散布・松枯れにもどる
t12402#松枯れ対策の空散は減ったが樹幹注入剤も問題だ#02-01
松枯れ対策として行われている農薬空中散布は、国の補助での実施面積は減少していますが、まだ3万5千ヘクタールで行われています。これ以外に県や市町村の補助金での空散もあります。まだまだゼロになるまで運動は続きそうです。
昨年、林野庁が提出した空散関係の資料を紹介します。
表 被害量及び特別防除実施面積の推移
年度 被害量(千m3) 面積(千ha) 国庫補助金(百万円)
95 1011.6 62 1,479
96 920.3 58 1,347
97 810.8 42 999
98 759.5 39 939
99 716.3 37 888
00 837.2 35 841
★樹幹注入剤も問題
農薬空中散布の代替として、林野庁は樹幹注入を推奨しています。これは松の幹に穴をあけてそこから殺虫剤を注入し、松枯れの原因とされているマツノザイセンチュウを殺す方法です。
空中散布のように広範囲に大量に散布するわけではないので、大気汚染はないとされていますが、それを実証する試験はされていません。また大気中の農薬濃度が測られたこともありません。現実には樹幹注入をした松林は臭いが立ちこめ、具合が悪くなる人も出ています。
現在、以下のような樹幹注入剤が登録されています。
表 農薬名−省略
たとえば、宮城県小牛田町(素山公園)では以下のように樹幹注入が行われました。
年度 注入本数 薬剤の種類
96 153 ネマノーン
97 153 ネマノーン
98 171 メガトップ
99 ? ?
00 ? ?
01(予定) 169 ショットワンツー
このように次から次へと農薬が変わっていくのはどういう理由でしょうか。また、それぞれの農薬の毒性、注入後の状況など詳しい資料は提出されませんでしたので、1月に入ってから、林野庁長官あてに以下のような質問と要望をいたしました。
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2002年1月11日
林野庁長官 加藤 鐵夫様
農薬空中散布に反対する全国ネットワーク
代表 植村振作
連絡先:反農薬東京グループ
東京都西東京市東伏見2-2-28-B
電話/fax 0424-63-3027
樹幹注入剤に関する質問と要望
日頃、森林生態系保護のためのご努力ご苦労様です。
私たちは、松枯れ対策として長年続けられている農薬空中散布に反対して運動
してきました。最近、空散面積が減少していることはいいことだとは思います
が、まだ全面中止に至っておりません。引き続き、ご努力をお願いいたします。
ところで、最近になって、林野庁が推奨している松枯れ対策の一つ、樹幹注入
に使用される農薬による健康被害の訴えが出てきました。その件で、貴庁に問い
合わせたところ、樹幹注入剤に関して十分な安全性確認がなされていないのでは
ないかという疑問が出てきました。以下、質問と要望をいたしますのでよろしく
ご回答下さい。
【質問】
1,現在、樹幹注入剤として使用されている農薬の2000年度、2001年度
の県別使用量を薬剤別にお知らせ下さい。(国の補助事業以外にも使用されてい
たらその分も含めてお知らせ下さい)
2,使用中、あるいは使用後の周辺の大気中農薬濃度の調査をしていますか。し
ていたらその結果をお知らせ下さい。していなかったら何故調査しないのかその
理由をお知らせ下さい。
3,宮城県小牛田町で使用されている樹幹注入剤が次々と変えられている理由は
何ですか。
4,小牛田町で使用されたり、今後計画されているネマノーン注入剤、メガトッ
プ液剤、ショットワンツー液剤の各薬剤の毒性データをお知らせ下さい。(お送
りいただいた資料は薬剤メーカーの宣伝パンフレットであり、これでは毒性はわ
かりません。登録時の提出データか少なくともMSDSを提出してください)
5,ネマノーン剤の代謝物にフェンチオンがあるとのことですが、どのくらい
の割合でフェンチオンができるのか詳しいデータをお知らせ下さい。
6,ネマノーン剤を注入した後、松の実にフェンチオンが残留している可能性
があります。調査していますか。また樹幹注入をした松林の周辺の松の実を食べ
る野鳥の調査をしましたか。
7,樹幹注入剤の効果を判定した素データをお知らせ下さい。
【要望】
1,今年度予定されている小牛田町での樹幹注入を安全性が確認されるま
で中止してください。
2,小牛田町で樹幹注入をした松林周辺の大気中の農薬濃度(ネマノーン、
メガトップの有効成分、代謝物、補助成分を含む)及び松の幹、枝、
葉、実などの残留調査を行ってください。
3,樹幹注入、伐倒駆除など松枯れ対策で使用される農薬の安全性の確認
をきちんと行い、周辺への危険性がないことを確認し、公表した上で
使用してください。
以上、お忙しいとは思いますが、1月31日までに文書で回答下さるようお願い
いたします。
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作成:2002-02-25