「生活環境で使用する殺虫剤等の規制に関する法律」関係にもどる
t12601#「生活環境を汚染する殺虫剤等の規制に関する法律骨子案」にご意見を!#02-03
反農薬東京グループは、生活環境の場で安易に使用される殺虫剤などの有害化学物質の法的規制を求めて、2000年夏から運動を進めてきました。
1980年代からシロアリ防除剤、衛生害虫用殺虫剤、不快害虫用殺虫剤、ダニ対策の殺虫剤、ゴキブリ駆除用の殺虫剤などが生活環境で使用される製品が次々と開発されてきました。私たちは当時から、家庭用殺虫剤は農薬と同じ成分であり、危険性を十分周知すべきだと問題提起してきました。
しかし、殺虫剤等の安易な使用は、消費者の薬物信仰を背景にどんどん進み、気がつけば回り中、農薬だらけ、殺虫剤だらけという状況が出現していました。その結果が、今日の化学物質過敏症患者の多発という形で現れてきたのではないでしょうか。
このままでは益々深刻な事態になるばかりで、厳しい法的規制が必要だと関心のある国会議員に呼びかけて「生活環境における有害化学物質の規制を考える議員と市民の会」を設立したのが2000年夏です。
このたび、ようやく法律の骨子案ができましたので、発表して皆さまのご意見をうかがいたいと思います。こういう法律ができれば健康被害がなくなるのではないかという、いわば理想です。ですから、どこまでこの案が生かされるか不明ですが、できるだけ、しっかり、骨組みを立てておきたいと思います。
なお、法律の目的に「生態系保護」を入れたらどうかというご意見をいただいておりますが、この法律では人の健康被害を防ぐという目的をはっきりさせたいと思い、あえて、入れてありません。下記の要領で、ご意見をお寄せ下さい。
【意見募集要領】
○意見提出期限2002年4月30日は過ぎましたが、
ご意見のある方は引き続きメールをください。
○あて先:反農薬東京グループ
郵送の場合:〒202-0021 東京都西東京市東伏見2−2−28−B
ファックス:0424-63-3027
電子メールの場合は、必ずメール本文に意見をお書きください。
ウイルス防止のため、当方に送られてくる添付ファイルは開きません。
※意見提出の際、意見提出者の住所・氏名(団体の場合は団体名)、電話番号、
Fax番号、メールアドレス等をご記入下さい。
また、いただいた意見の内容については、公表する場合があります。(匿名を希
望される場合は、その旨、必ず明記して下さい。)
なお、電話での意見は受けかねますので、ご了承下さい。
生活環境を汚染する殺虫剤等の規制に関する法律骨子案
2002年3月6日
【背景】
「生活環境を汚染する化学物質の規制に関する法律(仮称)」の制定を目指し
て、2000年から活動を開始した。2000年度にシンポジウム、行政交渉、講演会な
ど5回の会合を持ち、問題点を明らかにしてきた。2001年に中間報告を発表し、
意見を求めてきている。生活環境にさまざまな化学物質が溢れる中で、どこをど
のように規制すればいいのか難しい問題であるが以下の理由で、問題化学物質を
殺虫剤等に絞ることにした。
【理由】
(1) 殺虫剤等による健康被害の報告が多い。特に化学物質過敏症患者の場
合はこれらにさらされることで非常な苦しみを味わっている。
(2) 殺虫剤等は統一的な法的規制がない。用途別規制のため、狭間になる
製品による被害例が多い。
(3) シックハウスなど他の化学物質に関しては、個別的に新法や新しい規
制の動きがある。厚労省のシックハウス対策検討会が指針値を発表し
ている。その指針値にあうよう学校環境基準、建築基準法などに規制
の動きがある。また、化審法は生態毒性の評価を入れるため、現在、
検討中である。
(4) 農薬用と同じ成分を含む薬剤が殺虫剤として、家庭用、防疫用、シロ
アリ防除用、その他に使用されているにもかかわらず、生活環境への農
薬汚染規制する法律がなく、健康被害を防止し、被害者を救済する法律
はない。また、農住接近のため、農薬が人の居住地区に飛散し、健康被
害を受けることもある。農地から、有機農業圃場や天然記念物生息地の
農薬飛散防止は問題視されるが、人の被害を防止する法がない。
(5) 諸外国に眼を転ずると、カナダのいくつかの自治体での景観保全のため
の農薬使用禁止のための条例制定やアメリカでの学校使用農薬通知法の議
会通過などに見られるように、生活環境での農薬使用に対する、新たな法
規制の動きがある。さらに、アメリカでは、子供の健康を配慮して特に身
の回りでの被曝や食品への残留が多い有機リン系の薬剤の使用規制が実施
されはじめている。
本法では、生活環境を汚染する殺虫剤等を総括的に規制することを目的とする。
法律のイメージとして
(1)基本的に使わない、という精神の宣言
(2)感染症の発生時などやむを得ず使うときには
・種類は許可されたリストのもの
・使用方法の規制
・使用する場合通知と掲示の義務
(3)使った後の始末
・生活環境汚染の有無、程度の把握
・事故時の対応、責任
(4)総合防除の実施、支援、研究を行政が行う義務
【法律骨子案】
(1)法律の名前(案)
「生活環境を汚染する殺虫剤等の規制に関する法律」
(2)法の目的
何人も望ましくない化学物質に曝されない権利を有することを鑑み、生活環
境における殺虫剤等の使用を規制することにより、健康被害を防止することを
目的とする。生活環境で使用される殺虫剤等による健康被害を防止するために、
使用規制を行う。国と県の行政機関は、代替え法の開発と実施法の研究を積極
的に行うものとする。
(3)定義
○殺虫剤等とは、生活環境で殺虫、殺(除)菌、除草のために使用される物質
全てを指さす。(シロアリ防除剤、医薬品殺虫剤、不快害虫用殺虫・忌避剤、
衣料用防虫剤他を含む)。
○生活環境とは、室内を中心とする一般住宅、庭、公共施設、商業ビル、飲用水
施設、下水施設、公園・街路、保育所・幼稚園・学校、養護関係・老人福祉施
設、図書館、美術館、体育館、車両(電車、バス、飛行機、船舶)、病院・診
療所、その他影響を受けやすい人が訪れる可能性の大きい場所とする。
(4)内容
(精神)
○生活環境を汚染する恐れのある殺虫剤等の使用は可能な限り控えなければなら
ない。
○何人も同意なく、殺虫剤等の殺生物剤にさらされない権利を有する。
(使用者の資格)
○業として殺虫剤等を生活環境で使用する者は使用資格を要する。
○個人で一定量以上、あるいは人や環境への影響が強い殺虫剤等を使用す
る者は殺虫剤等の使用許可条件を守らなければならない。
○殺虫剤等使用申請にあたっては、予め当該物質の使用による生活環境汚染状況
を把握し なければならない。
○使用方法等違反者に対する罰則を設ける。
○業として生活環境で殺虫剤等を使用するもの、個人で一定量以上あるいは、
人や環境への影響が強い殺虫剤を使用するものは)は、使用日時、使用時間、
使用場所、使用薬剤名、使用薬剤の性状(毒性、残留性など)、注意事項を
予め告示しなければならない。
(使用許可薬剤)
○生活環境で使用できる殺虫剤等は個別に使用場所、使用方法を明記して国の許
可を受け たものとする(ポジティブ・リスト)。
○許可条件は3年ごとに見直す。
○許可条件を定める時には予防原則を適用する。
(情報公開)
○使用する)薬剤の毒性、残留性、環境での消長等に関する情報はすべて公
開する。
○生活環境で使用される什器、器具・器材等に使用される殺虫剤等はすべて物質
名を明示しなければならない。
(宣伝・販売の規制)
○殺虫剤等の宣伝をする者はその危険性・使用方法を十分に周知しなければなら
ない。
○殺虫剤等の販売は薬剤師のいる場所でのみ行い、販売者は使用方法を十分に説
明し、危険性について周知する義務を負う。
○安全性を強調する宣伝の禁止。
(危険性の啓発)
○殺虫剤等の危険性について周知させる。
○殺虫剤等を使用しない代替方法を周知させる。
(事故)
○殺虫剤等による健康被害が発生したとの訴えがあった時には、直ちに保健所等
に届け、関係機関及び販売者・使用者は)原因究明に務めなければならない。
○殺虫剤等による健康被害者の相談機関や健康被害者の治療のための医療機関を
設ける。
(生活環境アセスメント)
○生活環境で使用される殺虫剤等については、生活環境で使用された時、ひとに
対する影響を評価する試験を行い、結果を公表する。具体的には、殺虫剤など
が散布された時の室内での挙動などをあらかじめ調べ、人の健康に影響しない
かを評価しておく。シロアリ防除剤、家庭用殺虫剤、畳の防虫剤、衣料防虫剤、
壁紙難燃剤・可塑剤、塗料・接着剤のVOC建材や家具、インテリアなどのVOCも
対象となる。
(汚染状況の調査)
○業として生活環境で殺虫剤等を使用した者は、殺虫剤等の性状に応じて、当該
生活環境の殺虫剤等による汚染状況を調査確認すること
○幼児や過敏な人を保護するため)散布後一定期間、人の立ち入り禁止期間を設
定する。
○個人で使用する場合でも、被害を与えれば民事、刑事責任を負う場合がある。
○殺虫剤等の使用禁止地区の設定。
(回収)
○未開封、残余を問わず廃・残殺虫剤等及び容器は製造者が回収し、適切な廃棄
処分をすること
(保管)
○保管は、幼児及び小児があけることができない保管庫で管理すること。もとの
容器から移し替えることを禁止すること。ラベルを明瞭に読むことができない
場合は、防除所などの機関と相談の上、適切に処理すること。
(容器表示)
○危険性の表示、毒性の表示の強化。
(被害者の救済)
○殺虫剤等による被害の訴えがあった場合、因果関係の立証責任は、製造業者や
散布業者、使用したものが連帯して負う。
○殺虫剤等による散布場所の原状復帰
殺虫剤等の散布によって健康被害がでた場合、散布者は、散布場所の原状復帰
をその責任において実施する。
○被害者の治療は、製造業者や散布業者がその責任において行う。
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作成:2002-03-25、更新:2002-05-07