街の農薬汚染にもどる
t12909#反農薬アドバイス14 学校、街路樹などの農薬散布をやめさせるには#02-06
【相談】学校、庭木、街路樹、公園などの農薬散布をやめさせるにはどうしたらいいでしょうか。
【アドバイス】 最近、こういう相談が増えています。殺虫剤散布によって深刻な健康被害を受ける人が増えているようです。中には呼吸困難になって命の危険さえ感じる人もいます。農薬散布を行うのは、公園・街路樹などは市町村、学校・保育園などはその管理者、あるいは教育委員会、庭木はその所有者とそれぞれ撒く主体が違います。まとめて、やめさせるうまい方法はありません。生活環境での殺虫剤散布に対する規制がないため、苦労します(記事t10401参照)。
★危害防止の通知
使えそうなものは、毎年6月に行われる「農薬危害防止月間」に出される通知ですが、今年は5月24日に厚生労働省医薬局長と農林水産省生産局長の共同で平成14「平成14年度農薬危害防止運動の実施について」が出されています。
その中で、
「(7) 環境への危害防止対策
イ 居住区域と近接した地域における農薬の散布作業に従事する者に対
し、周辺住民の健康及び生活環境の保全に留意し、農薬の適正な使
用方法を厳守するよう指導するとともに、周辺住民等に対しても農
薬に対する正しい理解が得られるよう、必要な情報提供等に努める。」
という項目があります。
もう一つ、2000年7月11日に植物防疫課長が出した「街路樹等の病害虫防除における農薬の適正使用の徹底について」という通知があります。
このなかには「散布に当たっては、散布前に関係者に連絡し、必要に応じて立て札を立てることなどにより、子供その他の散布に関係のない者が散布現場に近づかないよう配慮するとともに居住者、通行人、家畜等に被害を及ぼさないよう注意を払うこと」と書かれています。
これらを楯に行政に働きかけて下さい。
また、行政の場合は防除業者が散布するケースが多いですが、岡山県ではシルバー人材センターが散布していました。
★「消毒」でなく農薬散布
行政や防除業者は、殺虫剤散布のことを「消毒」などといいますが、これは間違いです。樹木へ散布するのは農薬で、農薬取締法が適用されます。農薬は登録する際、対象害虫、対象作物、散布回数、散布倍率など細かく決められます。ですから、まず、何のために農薬を散布するのか明らかにさせ、これらの要件に違反していないかチェックします。そのために、農薬会社から使用上の注意を書いたラベルを取り寄せましょう。
大概の行政は木に何の虫がいるのかすらわからないで、いや、その前に虫がいるのかどうかすら知らないで、惰性で散布しています。質問すると「予防で撒く」などと回答する場合もありますが、虫がいないのに農薬を散布することは人の健康や環境保全に非常な負荷を与えますので、やめさせるべきです。
また、中にはDDVPのような劇物指定農薬を公園で撒くところもあります。劇物を撒くなどとんでもないことと抗議してください。撒く農薬がどんなものかわからない場合は、市町村や業者に散布農薬のMSDS(化学物質安全データシート)をもらってください。そこである程度の毒性はわかります。けれども、化学物質過敏症やアレルギーの人にどういう被害が出るかなどは書かれていませんので、そこまでは期待しないでください。
あまり行政がわからないことを言ったら、農水省農薬対策室(03-3502-5302)へ相談してください。農薬対策室は農薬推進の役所ですが、人に危害を与えてまで農薬を撒けと言っているわけではありませんので、ある程度の相談には乗ってくれます。
農薬散布しなくても樹木管理はできます。反農薬シリーズ14の「農薬いらずの庭づくり」にはそれが詳しく書いてあります。
★学校での散布をやめさせよう
子供は大人に比べて化学物質に弱いこと、免疫、神経系の発達途中であること、環境ホルモンの影響を受けやすいことなどを考えると学校での農薬散布は早急にやめさせたいものです。しかし、文部科学省はじめ教育委員会、校長、教頭などは農薬の危険性についての知識はほとんどありません。中には授業中に農薬散布するなど非常識なことも行われています。農薬の危険性に関する情報(てんとう虫情報など)を伝えると共に、学校での農薬散布中止の要望書を出しましょう。
文部科学省の担当は、スポーツ・青年局学校健康教育課学校保健係(03-5253-4111 内線2918)です。
学校での農薬散布の実態について2001年に反農薬東京グループが都下62区市町村にアンケート調査をした結果(記事t11601)が参考になると思います。
★法律が必要
近隣が農薬散布をするのをやめさせるのはなかなか難しいですが、被害を受けてからでは遅いので、できるだけ、話し合うようにします。どうしても駄目ならてんとう虫情報第128号に簡易裁判所の調停で事実上の勝訴を勝ち取った報告が載っていますので参考にしてください。
これら被害を防ぐにはやはり「生活環境で使用する殺虫剤等の規制に関する法律(仮称)」が必要です。
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作成:2002-12-25