室内汚染・シロアリ防除剤にもどる
t12910#殺虫ロボットまで登場、こんな風に使っていいのかDDVP殺虫剤−イギリスでは、販売禁止というのに−#02-06
 DDVPといえば有機リン系の劇物で、北海道静内町の特別養護老人ホームでのゴキブリ退治くん煙処理で多くの中毒者をだした原因薬剤のひとつで、私たちも、かねてから問題にしてきた殺虫剤です。
★イギリスで、DDVP剤の販売・使用停止に
 イギリスでは、去る4月19日、ハエ・蛾・蜂・ゴキブリの殺虫剤を含めて、50程のブランドの殺虫剤の即時販売停止命令がだされました(参照イギリスDEFRA記事)。
 同国では、有機リン剤全般の毒性再評価が実施されていますが、「農薬に関する諮問委員会(ACP)は、DDVPの発がん性や神経毒性等を重視し、2001年7月にその使用規制を勧告しました。その後、環境・食糧・農村問題省(DEFRA)がDDVP含有農薬の一時販売・使用中止を決め、これに不服なメーカーは異議を申し立てて、裁判を起こしていました。
 2001年12月3日、裁判所はそのメーカーの主張の大半を却下する判決を下したため、DEFRAは、農業用や家庭用殺虫剤として使用されているDDVPを含む製品に対して、その販売と使用に関する承認を一時取り消すと発表しましたが、4月の命令は、これを一歩進めた措置だといえます。
 一方、日本では、そんな動きに関係なく、以下のような殺虫剤商品が出回っています。

★DDVPが世界遺産を守る?
 農協協会が発行している「農業協同組合新聞」記事で、DDVP入りのプレートを販売している「国際衛生(株)」の社長がインタビューされています。国際衛生(株)は農薬メーカー「エス・ディー・エスバイオテック」の子会社です。
 それによると、国際衛生(株)は戦争直後、駐留軍の施設や軍艦、車両を消毒する仕事をしたことから始まり、52年に昭和電工グループに入り、99年にエス・ディ・エスバイオテックの100%子会社になったということです。
 66年にDDVP入りの「パナプレート」を開発し、文化財虫害研究所から虫害防除剤に認定されたということです。 世界文化遺産を守る仕事をしていると自慢しています。
−以下社長インタビュー記事省略−

★殺虫ロボット !!まで開発
 さらに、社長の話で仰天するのが、殺虫ロボットです。
「パナプレートの弟分でベーパーセクトを組み込んだ『ベーパーセクト&ウイズ』という殺虫ロボットがあります。無人となる夜間にタイマーで作動し、ゴキブリなどを退治します。夜間稼働なので経済的で、人体にも影響しません。ファンで殺虫ガスを放出し、隙間の害虫まで確実に駆除する、コンパクトなシステムです」
 「すでにレンタルで6万台が稼働中ですが、昨年、新機種のデモンストレーションで数1000匹のゴキブリを使用してその殺虫効力が注目を集めました。今年は一気に10万台達成を目ざして市場開拓努力をいたします」

 夜中に自動的に毒ガスを噴出する装置らしいのですが、恐ろしいですね。万一、故障して毒ガスがで続けたらどうするのでしょう。また、故障しなくてもこのような装置があることに気づかないで部屋に入ってしまう人もいるかもしれません。このような商品が何の規制もなしに開発されていいものでしょうか。
 この新散布システム「ベーパーセクト」は、薬事法に基づく医薬品ですが、いったいどのような審査がされたのでしょう。夜な夜なの無人運転で、DDVPを噴出する殺虫ロボットが殺人ロボットに変身しないことを祈るのみです。

 これに関連するかどうか不明ですが、社団法人 東京都薬剤師会のホームページには以下のようなコメントが載っています。
<医薬品の使用上の注意について>
Q: 殺虫剤(DDVP製剤)を扇風機にあて、虫を退治する方法があちこちのお店ではやっているがだいじょうぶか。
A: とても危険なので、すぐ止めてください。
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作成:2002-12-25