改定農薬取締法関係にもどる
t13401#参議院議員会館でシンポジウム開催−拙速な農薬取締法改定へ異議申立て#02-11
 10月30日、参議院会館会議室で「こう変えたい!農薬取締法」と題してシンポジウムが約80名の参加で開催されました。主催は生活環境での殺虫剤等の使用の規制を求めて運動している「議員と市民の会」です。
 この会は以前から農薬取締法の改定を提言してきましたが、無登録農薬が全国で使用されていたことを受けて農水省が農薬取締法の改定案を今国会に上程したため、市民、農薬被害者、農薬使用者、農協などそれぞれの立場から、農薬取締法改定の問題点を指摘するシンポジウムを開催したものです。
 議員と市民の会を代表して岡崎トミ子参議院議員が開催に至るまでの経過を説明し、農薬取締法の抜本改定が必要と述べました。岡崎議員はシンポジウムのコーディネーターも行いました。
 パネラーは反農薬東京グループから辻万千子、化学物質過敏症の娘の母親の久保美津子さん、静岡で温室栽培をしている農家の寺澤隆夫さん、JA全中の営農企画課長の松岡公明さん、農水省農薬対策室課長補佐の角田幸司さんの5人でした。農薬工業会へも参加を呼びかけましたが、最後になって断ってきました。
 シンポジウムは最初に農水省の角田さんから今回提案された農薬取締法の改定内容の説明がありました。
 反農薬東京グループの主張はてんとう虫情報で報告していますから省略いたします。
久保さんは娘が化学物質過敏症のため、周辺でガーディニングの農薬を使用されると呼吸困難などで倒れてしまい、非常にに苦しい思いをしていること、近所の農薬使用者にに頼んでもやめてもらえないこと、やむを得ず、野宿をしたことなど訴え、住宅地での農薬使用を規制する法律を制定してほしいと述べました。
 寺澤さんは、農家の立場から農薬使用者だけに罰則を規定するのではなく、農薬の毒性情報をきちんと伝えてほしいこと、販売業者や行政の責任を明確にしてほしいことなど訴えました。また今国会であわてて成立させるのではなく、もっと時間をかけて抜本的に改定してほしいと強調しました。
 全中の松岡さんは、10月に農水大臣に提出した農薬の法整備に関する要請を中心にJAの対応を説明しました。無登録農薬の輸入規制、非農耕地用として売られている除草剤の農薬登録取得の義務づけ、失効農薬の情報公開、マイナー作物の農薬登録の拡大、流通業者や生産者への教育研修、消費者への防除の必要性の情報提供などです。また、無登録農薬を扱っていた農協があったことを反省しました。
 5人の問題提起の後、会場からの発言がありました。その中で、「無登録農薬だけが問題なのではない。登録されている農薬も危険だ。農薬は毒だという教育をしてほしい」という発言に関して、農水省は「農薬はもともと生理活性のあるもので使い方を誤れば毒だということは認識している。今後もその観点で指導していきたい」と答えました。
 また、「行政の怠慢を直さない限り無登録農薬問題は続く。山形県では3000万の農産物を廃棄させられた。何故、農家だけにしわ寄せが来るのか。県には何の罰則もないのか。逮捕された販売業者はまだ営業を続けている」との指摘もありました。
 議員と市民の会の植村振作さんは「農水省は法の不備をつかれて無登録農薬が売られたので、何とかしようということで法改定を出してきた。しかし、農薬で被害を受けている人たちは無登録だろうが、登録農薬だろうか関係ない。そういうところを農水省は考えていない。一番問題なのは先日匿名でダイホルタンはどのくらい残留するのかという質問を受けた。私は基本的には匿名の人には返事をしないと言うと、言うと首をくくらなければいけないのですと。本来ならダイホルタンなりがどのくらい残留するのかを農水省はきちんと出さないといけない。もっと一般的に言うと登録したものの責任として農薬の毒性情報を全部公開しな いといけないのにしていない。これはもう本当に何十年と言い続けてきたことだが、そこに問題があるのだと思う。それから農薬は口から入るものだけじゃなくて、空気から入ってくることも問題にしないといけない。今回の法律の中身にはそういうことは何も入っていない。農薬毒性情報を完全にオープンにしないといけない。その精神を貫かないと同じようなことがまた起こる」とまとめました。
 最後に中川智子衆議院議員が「30年ぶりの改定なのに何の中身のない、むしろ改悪とさえ言えるような法律を今国会で阻止して、通常国会で私たちの求めるしっかりした中身のある法律を作っていきたい」と決意を述べました。
購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、 注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:2002-11-25