室内汚染・シロアリ防除剤にもどる
t13804#反農薬アドバイス ビル内の昆虫駆除どうなるの?−薬剤使用から掃除へ《ビル衛生管理法改正規則、4月から施行》#03-03

    【参考】改正された「ビル管理法」省令

 シックハウス症候群など、健康被害の原因となるビル内の殺虫剤散布について、当グループはこれまで見直しを求めていましたが、厚生労働省は昨年12月に「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(通称:ビル衛生管理法)の規則を改正し、こん虫の駆除は掃除など物理的方法を優先させることになりました。4月1日から施行されます。
 Q:今まではどうだったの?
 A:これまで同法の施行規則では、「ねずみ・こん虫等の防除を、……6ヶ月以内
   ごとに1回、定期に、統一的に行う」と規定していました。このため、ビルの
   管理者や防除業者は、「防除とは薬剤駆除であると」解釈し、安易にまいてい
   たのです。確かに殺虫剤使用でこん虫は減りますが、成分の多くが農薬と重な
   るために、こんどは薬剤による健康被害が問題となったのです。また、薬剤を
   使う前に行われるはずの「こん虫の生息調査」も省略するケースが目立ち、「
   虫がいてもいなくても、薬剤をまいて終わり」とする業者が大半でした。

 Q:どんなところにまいていたの?
 A:ビル衛生管理法では、延床面積3000 m2以上、学校は8000 m2以上で不特定多数
   の人々が出入りする施設を「特定建築物」と名付け、管理の対象にしていまし
   た。しかし、公民館や役所の出先など、床面積が少ない施設では法的にまく必
   要はないのですが、行政は「同法に準じる」と称して、薬剤が使われています。

 Q:まいた薬剤はどうなるの?
 A:まかれた殺虫剤は、乾けばなくなったと思いがちですが、実際は薬液中の水分
   や溶剤が蒸発しただけで、殺虫成分は床や壁に残っています。そこから絶えず
   薬剤がガスとなって発散し、人の吸う空気を汚染するのです。他の部屋でまい
   ても、ビル内の空調設備によって空気が循環するので、まかない部屋にいても
   汚染した空気は入り込んできます。
   殺虫剤の多くは医薬品ですが、これらを承認審査する際に、薬剤がビルの中でど
   の程度の濃度で何日間残留するのかといった調査はありません。このため、空気
   の汚染実態はわからないままなのです。

 Q:身体への影響は?
 A:殺虫剤で汚染された空気を、微量に長時間吸い込むことによって起こる症状は、
   これもまた同様に審査項目となっていないため、その影響はわからないままで
   す。しかし、ごく微量でもアレルギー症状を引き起こすことが医師の間で「シッ
   クビル症候群」として知られるようになり、行政も安易な使用の見直しをやっと
   始めました。

 Q:改正の趣旨は?
 A:国の「改正の概要」によると、戦後はハエ・カ・ねずみなどによる伝染病が多
   発していましたが、最近では発生が極めて少なくなっていること。また、薬剤
   使用への批判から、害虫等による被害を許容できるレベルにするため、害虫等
   と環境の情報をうまく調和させて行う「総合防除」に注目し、生息調査を重視
   するとしています。

 Q:具体的な改正点は?
 A:これまでの薬剤使用が主役からはずれ、「日常行う掃除のほか、大掃除を、6
   ヶ月以内ごとに1回、定期的に、統一的に行うこと」と改められました。
   次に、「ねずみ、昆虫その他の人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのあ
   る動物(ねずみ等)の防除」は、「発生場所、生息場所及び進入経路並びにね
   ずみ等による被害の状況について」上記の割合で調査を行い、「発生を防止す
   るための必要な措置を講ずること」となりました。
   具体的にはエサとなるものを片づけ、侵入・発生を防ぐためのネットを張るな
   どで、「厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従う」ことになります。

 Q:虫なら何でも対象になるのですか?
 A:同法では、人に病原体を移すなど健康影響のあるこん虫・ねずみを対象にして
   います。よく、ムカデ、ダンゴムシ、アリなどいわゆる不快害虫を対象にする
   ところがありますが、これらは、不快の程度やどれくらいの駆除で満足するか
   など、人によって感覚が大きく異なるため、一律の駆除は適当ではありません。
   殺虫剤を使えばむしろその弊害の方が大きいこともあるのです。

 Q:市役所の食堂は大丈夫?
 A:実は食堂などの調理場はこの法律ではなく、食品衛生法で防除の基準が定めら
   れています。しかし、食品を扱うところであれば殺虫剤による汚染は防がなく
   てはなりません。ビル衛生管理法の趣旨から、調理場においても清掃を中心に、
   害虫駆除も捕獲器を試すなど、薬剤をなるべく使わないよう働きかける必要が
   あります。

 Q:使用できるの薬剤は?
 A:実はこれまで、ビル内での使用薬剤は規制がありませんでした。00年には北海
   道静内町の老人ホームで、殺虫成分は同じだからと農作物に使う農薬を施設内
   にまき、多数の被害者を出した事件がありました。こうした事故を防ぐため、
   今回の改正では駆除で使える殺虫剤を、薬事法で承認された「医薬品」と「医
   薬部外品」に限ることにしました。
   しかし、医薬品だからといって健康影響が十分審査されているわけではないの
   で、使用はやむを得ないときに限定すべきです。

 Q:「通知」の生かし方は?
 A:ビルの衛生管理者に今回の通知が行きわたったか、都道府県と保健所設置市の
   担当課に確認しましょう。また、公共施設のねずみ・こん虫防除は、施設ごと
   に管理者が業者に発注します。通知の回覧は衛生部局だけでは不十分です。行
   政の財務・総務担当部局から各施設の契約担当者にくまなく配布され、その内
   容が理解されて初めて薬剤使用が減るのです。そうなることが働く環境として
   もよいことを説明してください。これまで、こん虫がいてもいなくてもまいて
   いたわけですから、不要なら省略することで経費の削減にもなるのです。
   当グループや厚生労働省のホームページに改正省令があるので、印刷して学校
   や職場の担当者に渡して要請してみましょう。

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作成:2003-08-26