改定農薬取締法関係にもどる
t13901#住宅地等生活環境での農薬散布に厳しい規制を−賛同団体とともに農水・環境省に要望書#03-04
 農薬取締法が改定されましたが、私たちが強く要望した生活環境での農薬散布については規制はなく、むしろ、防除業者の届け出廃止などで従来よりも後退しています。これでは健康被害を減らすことはできません。
 そこで、農水省と環境省に以下の要望をしました。4月23日に行政との話し合いを持ちました。回答については次号でお知らせいたします。

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【要望書】
                               2003年4月23日
  農林水産大臣・環境大臣宛て

  住宅地等生活環境での農薬使用の規制を求めます

   私たちは、以前から住宅地等の生活環境で安易に使用されている農薬を規制す
  るよう貴省に申し入れをしてきました。特に、今回の農薬取締法改定に際しては
  私たちも何度も要望しましたし、国会質問でも複数の議員がこの点を糺していま
  す。
    農薬の使用者が遵守すべき基準等に関するパブリックコメントに対しても、
  多くの団体や個人が要望しています。
   パブリックコメントで、個人のプライバシーまでさらけ出して、健康被害の実
  態を必死に訴えている人が多かったことは、貴省も十分ご承知のことでしょう。
   このパブリックコメントに関しては、総務省から指摘されたように、パブリッ
  クコメントに回答する以前に、農薬取締法12条1項の「農薬を使用する者が遵守
  すべき基準」を発表しました。これはパブリックコメントを軽視あるいは無視し
  た拙速な省令の作成を行ったと指摘されてもしかたがありません(記事t13903参照)。
   健康被害に対する罰則を求めた意見に対して、貴省は『農薬使用者の故意又は
  過失により、農薬の散布が原因となって人の身体を傷害したことが明らかであれ
  ば、傷害罪になると考えられるので、改めて農薬取締法に罰則を規定する必要は
  ないと考えます。』
   と回答しています。健康被害者に農薬散布者を傷害罪で訴えろと言っているの
  ですか? そのような状況を作らないために行政があるのではないですか。あま
  りにも無責任な回答だと思います。

   農林水産省設置法第4条の22で、農水省は「肥料、農薬、飼料及び飼料添加
  物並びに動物用の医薬品、医薬部外品及び医療用具の安全性の確保に関すること
  (農薬にあっては、環境省の所掌に属するものを除く)」の事務をつかさどるこ
   とが決められています。
   また、農薬取締法の第一条において、「農薬について登録の制度を設け、販売
  及び使用の規制等を行なうことにより、農薬の品質の適正化とその安全かつ適正
  な使用の確保を図り、もつて農業生産の安定と国民の健康の保護に資するととも
  に、国民の生活環境の保全に寄与することを目的とする。」ことを謳っています。
   しかるに、既に生活環境が農薬で汚染され、健康被害の訴えがあるにもかかわ
  らず、農薬による生活環境汚染の防止を求める要望は無視され、今回の法改定で
  も、生活環境における農薬使用に関して規制強化はなされませんでした。生活環
  境で一番散布する可能性の強い防除業者の届け出を廃止し、樹木や草木などの非
  食用作物への散布に関しては罰則規定をはずしました。
   住宅地等生活環境での農薬散布については、「指導通知や農薬危害防止運動で
   適切な指導を行ってまいります」とパブリックコメントで回答しているだけです。
    農水省設置法、農薬取締法の趣旨に則り、「国民の生活環境の保全」に実効あ
   る指導通知や適切な指導をしていただきたいと思います。指導通知には以下の項
   目を入れてください。

  1,原則として、幼稚園、学校、公園、街路樹、病院、老人施設、その他公共施
  設、住宅地等、商業施設、交通量の多い道路や公共交通機関など生活環境での病
  害虫防除は農薬を使用しない方法で行う。(その方法について農水省は事例を集
  め、成功例を周知する。)

  2,病害虫の発生状況を調査し、やむを得ず、農薬散布をするときは他に方法が
  ないことを明らかにする。容器表示の使用上の注意を遵守し、人の健康及び安全
  な方法で、最小限の農薬を使用し、スポット的に行うこと。また、複数農薬の自
  家混合散布を禁止し、夜間や降雨が予測される時の散布を禁止する。

  3,やむを得ず、農薬散布する場合、散布者は事前に周辺住民に、@農薬散布日
  時、A使用農薬、B対象作物・病害虫、C使用方法、D注意事項を知らせる。又、
  近隣住民以外の通行者が、農薬に不用意に曝されないように、農薬使用を知らせる
  ための掲示などを行う。

  4,農薬散布によって化学物質過敏症患者は避難しなければならない場合がある
  が、その際の費用は散布者が負担すること。

  5,万一、農薬散布によって健康被害を生じた場合、散布者は被害者に誠実に対
  応すること。2者間で話し合いができない場合に備えて、行政に窓口を作ること。

  6,農薬安全使用に関する知識の少ない日曜農業あるいは市民農園などを行って
  いる人、及び庭などの植木や花壇などで農薬を使う人に、農薬の適正使用に関す
  る知識及び技能を積極的に教育する。特に、農薬を小売りする場合に、農薬使用
  法や使用時の注意点・毒性などの情報を伝えることを求める。

  7,農薬散布によって大気が汚染されている可能性がある地域においては行政が
  定期的に大気汚染濃度を測定をする。

  8,生活環境の隣接地における農作物の栽培は、減農薬あるいは無農薬有機栽培
  に転換する。その方法については行政が指導をする。

 要望団体(4/22日現在)
  反農薬東京グループ/サスティナブル21/日消連関西グループ/
  食政策センタービジョン21/環境病患者会/お米の勉強会/
  遠州ゴルフ場の農薬汚染を監視する会/化学物質過敏症支援センター/
  日本有機農業研究会/農薬散布を止めたい金沢市民の会/関西環境病親子の会/
  シックハウス連絡会シックスクール部/県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会/
  関西よつ葉連絡会/関西よつ葉連絡会(株)川西産直センター/浜松アトピーの会/
  浜松市民ねっと/いもづるねっと/水銀公害をなくす会/フォーザチルドレン/
  アトピッ子地球の子ネットワーク/健康をつくる会//横浜土を守る会/
  アトピッ子をもつ親の会パンプキン・コーチ/食生活研究会/
  いのちを暮らしの安全を守ろう!地球市民の会/連帯労働者組合
  連帯労働者組合・大地/CS患者会相談窓口

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作成:2003-04-25