改定農薬取締法関係にもどる
t14004#化学合成農薬を使いやすく工夫しました−農薬取締法施行後の実態 その2 もっとひどいマイナー作物の経過措置#03-05
【参考】マイナー作物対策コーナー 適用外使用承認件数の県別分布
【関連記事】農薬取締法経過措置その後〜承認件数は7605件に
02年12月26日に行われた農薬使用基準に関する農林水産省検討会及び中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会合同会合の概要に以下の記述があります。
「4 個々の農薬毎に使用基準を定めるに当たっての経過措置の設定について
(1)マイナー作物については、上記グル−プ化措置を講じたとしても、過半以上の作物については、登録農薬に適用がない(少ない)ため、病害虫が発生した場合防除手段が無く農業生産の安定に著しい支障を来し改正法施行後に、直ちに、1の違反行為として処罰の対象となるおそれがある。
(2)このため、当面の経過措置として、以下の安全性を確保する措置を講じつつ、一定期間、1の適用を猶予する措置を講ずることとしたい。」
として、いくつかの条件下で、都道府県知事が申請すれば、適用のない作物に農薬使用を許可する制度を省令で定めました。もともと、今回の法律改定では、適用のない作物への農薬使用は罰則と決めたはずですが、省令でいとも簡単にひっくり返しています。
法律は国会審議を経なければなりませんが、省令は農水省と環境省が決めることができます。法律違反の省令でも期限を区切ればできるのでしょうか。しかし、期限は「一定期間」としかありません。
★44都道府県で2590件が承認
−前段略−
ミニトマトやシシトウはグループ化で適用拡大されたはずなのに、経過措置でも、それぞれ146、75件承認されています。また、確か、マイナー作物で登録がないものに経過措置をとるはずだったのが、カブやカボチャ、ブロッコリーなど出荷量が3万トン以上あるものも含まれています。
この点に関して農薬対策室は、「今回の経過措置の中では厳密にはマイナー作物といういい方をしていない。農業生産上、支障があるものということになっている。病害虫でも特殊な病害虫が発生するケースがあり、そちらの方に対応する」と開き直っています。
また、バジル、ローズマリーやレモンバームなどハーブも多く含まれており、ハーブ
は無農薬で栽培されていると思ったら大間違いです。山菜のタラノキ、生薬のミシマサイコ、ダイオウも農薬で栽培されるようです。これらは、消費者に無農薬だろうと誤解を与えているのではないでしょうか。大量に食べないからいいのだとは言えません。
表1 県別の経過措置承認件数−省略−
表2 県別の経過措置承認作物リスト−省略−
表3 農作物別の経過措置承認件数 −省略−
★残留農薬検査は県に丸投げ−省略
表4 農薬剤型別の経過措置承認件数−省略−
表5 農薬剤型別の経過措置承認作物リスト−省略−
★厚労省は、3年間がまんしろと
基準のない農薬が残留する可能性は増えているのですが、残留農薬基準を決めている厚労省はどう考えているのでしょうか。担当者は「基準のないものは規制できないので、残留分析を増やすなどは考えていない。3年後にポジティブリスト制になるので、そうなったら規制できる」との回答でした。「では、消費者は3年間、残留農薬の不安を感じながら食べろということか」と聞くと、「今までも使用されていたはず。農水省は現状追認をしただけ」と驚くべきことを言いました。さらに、「そんなに心配なら有機農産物を食べればいいでしょう」とも。
結局、誰も何もしてくれないわけで、消費者は自衛しようと思ったら、どんな作物にどんな農薬が使われているか情報も明らかでない以上、厚労省の言うように有機農産物を食べる以外にないということです。でも、このような厚労省の対応をみていると、ポジティブリスト制にする際に、現状追認でどんどん残留基準が決められてしまう恐れ大です。制度の実施にあたっては、農薬数を減らし、基準値を実態に即して低く設定することなどを求めねばなりません。
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作成:2003-10-25