改定農薬取締法関係にもどる
t14605#どこをどう反省したのか−農薬取締法改定後の違反とそれを覆い隠す農水省 その2#03-12

【3】農薬メーカーのラベル表示違反が23社105農薬(記事t14504からのつづき)
★農薬業界の反省と対策は口先だけで終わらぬように
 今回の違法表示問題で、農水省の指導を受けた日本農薬工業会は、8月5日付『農薬の容器又は包装の誤表示について(第2報)』なる文書の中で、
『4. 今後、このような誤表示の再発防止のため、
  @本日20 時から全会員による緊急対応会議を開催し、農林水産省からご指導の
  あった各社での再発防止対策の検討及び徹底実施の確認
  A全会員に対し、関係者へのコンプライアンス意識の徹底
  B当会に今回の「ラベル誤表示対策特別部会」を設置し、業界として統一した方
  策を可能な限り早く取り纏め、具体化については農林水産省のご指導を仰ぎ実施
   具体的には
  ・海外のラベル表示等の状況をも調査し、ラベルの表示改善、例えば登録変更に
   伴うラベル表示の時限表示(実ラベルに登録適用年月日の表示)、適用変更を
   流通・農家に周知できる方策(統一インターネット上のアドレスをラベルに記
   載する方式等)
  ・国、都道府県、農薬工業会、全農・全農薬が統一の登録番号、製品・ラベル適
   用等を活用できるシステム構築等の検討及び確実な実施に全力を注いで行くこ
   ととしております。』
との方針を示しました。

 ところで、違反メーカーのひとつ日本農薬は、お詫びのコメントをだしていますが、その中で『再発防止策としまして、基本理念の見直し、コンプライアンス委員会設置等のコンプライアンス活動強化、法務・監理の独立による組織体制の見直し等、全社的なコンプライアンス体制の確立と強化を図るとともに、改正農薬取締法の再教育、社内部門の責任体制の強化、ラベルのダブルチェック体制の強化等の法令遵守とチェック機能の強化に努めてまいります。』と述べています。
 同社は、昨年7月に登録失効した農薬を販売して、クミアイ化学とともに、農水省からお叱りを受けたばかりで(記事t13004d参照)、その反省もなく、9農薬で違法表示が見つかったのですが、9月4日には、前に訂正した2農薬を再訂正するという体たらくです。
 反省と再発防止対策は、口先だけで終わらないよう願いたいものです。

★登録票を公開しない権威主義の農水省−市民に情報提供せよ!
 農水省は、誤表示の再発防止のための施策として、 『@誤表示をした農薬製造者に対し、誤表示がされた農薬の回収状況、誤表示がされた原因と再発防止体制構築等について、農薬取締法第13条第1項に基づいて報告を求め、必要な処分を検討する。
A農薬の表示の検査を徹底するため、農薬登録申請者に対し、ラベルの新規作成及び変更が行われるときには、製品の出荷前に当該ラベルを(独)農薬検査所に提出を求め、検査を行わせることとする。
B(独)農薬検査所に対し、現在実施している農薬製造所及び農薬販売者への立入検査時の表示検査に加え、農薬製造所への立入検査時にラベルの集取による表示検査を行うよう指示する。』の三点をあげています。
 一見、取り締まりを厳しくするようですが、実は、こんなことがありました。
 反農薬東京グループは、入手した農薬容器の表示ラベルに、間違いがないかどうか確認するため、農薬検査所にメーカーが登録時に提出した申請書と農水省大臣がメーカーに交付した登録票の写しを求めたところ、両者はメーカーのもので、そんなものは、公表できない、メーカーに聞いてくれとの返事がかえってきました。
 メーカーが表示した内容が真実であるかどうかを調べるのに、メーカーに聞けというわけですから、驚きです。これら書類の内容は、企業秘密でもなんでもないわけですから、私たちは、すんなり、コピーをくれると思っていたので、唖然としました。農薬のラベル表示の真偽を国民がチェックしようと思えば、いちいち、情報公開の手続きを踏む必要があるとは、思いもよりません。
 農水省の農薬対策室に聞いてみると、やはり登録票はだせない、ラベル表示について、疑点があれば、対策室に知らせてくれ、こちらで調査して、回答するということでした。
 上述の農薬検査所に検査を行なわせるということは、再発防止のひとつの手段ですが、国民自らが真実を知り、チェックする必要はない、お上にまかせておけとの考えは、いただけません。農薬行政50年間に染みついた、農水省の企業命の権威主義を拭い取るのは、一朝一夕にはいかないものですね。

★こんなことでは、消費者の安心が得られない
−省略


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作成:2004-2-28