室内汚染・シロアリ防除剤にもどる
t14803#DDVP、殺虫剤指針検討会で検討中・使用規制のない薬事法の問題点#03-12
★厚労省への質問
先月号で外食産業に対するDDVP使用のアンケート結果を掲載しました。当グループは DDVPに関して5月13日に厚労省医薬局長宛に要旨以下のような質問と要望をしています。
【質問】
(1)ファン付き殺虫機は、国際衛生社の「ベ−バ−セクト」が平成7年6月8日に
医薬品として承認されているが、同剤の申請時に提出された資料の内容。
DDVPの承認時の資料は昭和41年頃の古いものだった。その後に明かになっ
た、プレート剤を使用した場合(ファン付き殺虫機利用を含む)の室内空気中濃
度の推移、ゴキブリに対する殺虫効果。
(2)富士テック社が、同様な商品「ウィズ=with」を販売しているが、同社の
製品の申請及び承認年月日。
(3)DDVPファン付き殺虫機の使用方法は、週2回 6−8時間/回稼動となっ
ており、昆虫の生息状況の如何にかかわりなく、自動的に薬剤を反復蒸散させる。
このような器具の使用は、DDVPの室内空気汚染や食品汚染を増加させ、ひい
ては、人の健康に影響を与える恐れが大きい。とくに、対象がゴキブリであり、
ハエ・カよりも高濃度のDDVPが蒸散されている可能性がある。密閉度の高い
オフィスビル内の飲食店での室内汚染程度が高くなることが懸念されるがどう考
えるか。
【要望】
(1)常時人が立ち入る場所でファン付き殺虫機のような器具の使用を止めるよう指
導してください。
(2)ビル管理法の趣旨を食品衛生面でも準用し、厚生労働省告示H15第119号
の第六項を遵守するよう、前述のマニュアルに明記してください。
(3)地方自治体が制定している食品衛生法施行規則に関する条例においても、ビル
管理法の趣旨を準用し、厚生労働省告示H15第119号の第六項を遵守を求め
る規則をいれるよう、指導してください。
(4)医薬品であるDDVP系殺虫剤は劇薬ですが、劇薬の使用を促すような宣伝を
中止するよう業界を指導してください。また、劇薬でなくとも、安全性を強調し、
殺虫剤使用を促すような宣伝の自粛を指導してください。
(5)貴省の「室内空気汚染問題に関する検討会」で、DDVP、MEP、ペルメト
リン及び有機リン系難燃剤、さらには、総有機リン系物質の室内汚染防止につい
て論議されるようお願いします。
★厚労省の回答
上記の質問と要望に関して6月7日に厚労省医薬局審査管理課から電話がありました。
その要旨は以下のとおりです。
「昨年辻さんと金田先生(民主党衆議院議員)からいろいろお話しがあり、それを踏まえて殺虫剤指針の検討の見直しを開始しており、今回の質問もまさに該当する。空気中濃度の測定の方法に関して、パブリックコメントを求めて、今回、意見をとりまとめた。今後のスケジュールだが、今年度中に殺虫剤指針を改定する。併せて、今回のガイドラインで医薬品の製造メーカーに空気中濃度を自主的に測定していただく。ファン付きのものに関しては、どのくらいの濃度で残留するか、きちっとした行政的対応も視野に入れて、検討しているところだ。
今後の検討課題としては、空気中の濃度以外の、例えば乳幼児がハイハイして指しゃぶりとかするが、経皮吸収、経口吸収の扱いをどうするかで、そこはまだ検討課題だ。とりあえず、経気道の、呼吸によって入るところ、空気中濃度に関して測定方法を定めたので、それで測定していただく。」
と、質問に直接回答しませんでした。そこで、12月3日に殺虫剤指針検討会の進展状況や、薬事法に関して金田議員とヒアリングをしました。
★殺虫剤指針検討会
殺虫剤指針とは、医薬品の中の衛生害虫駆除用の殺虫剤は他の医薬品と違って特殊性があるため、「殺虫剤指針」を作成し、殺虫剤の規格、分析方法などを定めているものです。1990年に一度改訂がありましたが、それ以後、何も変わっていませんでした。医薬品として承認された殺虫剤は最初に承認された時点での評価でなされ、毒性評価も、その時点のままで、治療薬のような再審査制度もなく、同じ成分ならそのまま承認されてききました。ですから、昨年、私たちが資料請求したスミチオンの毒性資料はなんと30年以上も前のものでした。
厚労省医薬局審査管理課は、私たちの質問に答えきれず、ようやく、殺虫剤指針検討会を設置して医薬品の殺虫剤に関する検討を始めました。検討事項は、@殺虫剤指針及び殺虫剤指針解説の改正すべき事項、A殺虫剤指針の収載品目、B殺虫剤の物性・規格、C殺虫剤の効力、D殺虫剤の安全性(殺虫剤の室内使用におけるリスク評価の考え方等)等となっています。
現在までに2回の本検討会が開かれています。他に、作業部会が3つ設置され、こちらは5回から9回開かれています。作業部会3が殺虫剤の安全性等を検討する部会で、殺虫剤の室内使用リスク評価の考え方や、室内使用の際の殺虫剤の空気中濃度測定法などが検討されているということです。今年の7月に「殺虫剤の室内空気中の濃度測定方法ガイドライン」が審査管理課長通知で出されています。
ガイドラインは法令等データベースシステム−通知検索−でキーワード<薬食審査発第0728001号>検索
このガイドラインに従って薬剤メーカーは室内で使用する医薬品、医薬部外品殺虫剤の空気中濃度を測定しますが、この適用は平成15年8月1日以降行われる承認申請からです。すでに承認されている殺虫剤については適用されません。これは問題だと思います。今まで、承認された殺虫剤を使用した場合どのくらい室内を汚染するかというデータが一切ない状況で審査され、安全だとされてきたわけですから、当然、すでに承認されている殺虫剤にも室内濃度測定を義務づけるべきではないでしょうか。そして、これ以上の濃度になるのなら承認しないという基準を定めるべきです。また、安全性を議論するなら、化学物質過敏症患者など健康被害を受けやすい人の話を聞くべきです。
★薬事法では使用規制はない
薬事法の大きな問題点として、医薬品や医薬部外品として承認された殺虫剤の使用段階での規制が何もないという点です。医薬品として承認する際、用法用量(希釈倍率や使用量)が決められ、それを前提として承認されているのに、実際の使用現場で、この用法用量が守られているかどうかのチェックはどこもやらないのです。
−中略−
生活環境で使用する農薬については、ようやく、9月に農水省消費・安全局長からの通知が出て、改善される見通しが立ちました。建築物衛生法(ビル管理法)でも「6か月に一回定期的に防除する」というのが「6か月以内に1回、発生状況の調査をする」に変わっています。しかし、ここにも医薬品殺虫剤の用法用量を守れとはあっても、それをチェックする機関はありません。戸外で散布される農薬より身近で、室内で使用される殺虫剤について、使用規制がないのは大きな問題だと思います。
その点を指摘しても、厚労省は使用規制は薬事法にそぐわないなどと言っています。かといって、殺虫剤指針に使用規制が入る様子もありません。そうなると、やはり、新しい法律が必要になってきます。
★新しい法律が必要ー省略ー
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作成:2004-5-25