街の農薬汚染
t14901#金沢市で農薬散布復活か−パブリックコメントで、情報操作#04-01
 金沢市は、2001年度から、それまでアメリカシロヒトリ対策として、公園、街路樹はもちろん、個人の庭にまで助成金を出して農薬散布をしてきたのを改めて、捕殺防除に切り替えました。散布時期には街中農薬だらけになり、健康被害を受ける人や環境保護を求める人たちからの要望に添ったものです。
 ところが、2003年になって、町会や造園業者を中心に農薬散布の復活が主張され、金沢市は「都市樹木害虫防除検討会」を設置し、検討を始めました。
2001年に捕殺防除に切り替えた際にも「検討会」は設置されましたが、今回の検討会の委員は農薬散布復活に賛成するメンバーがほとんどで、農薬の毒性の専門家や、健康被害を受ける人、農薬散布に反対するメンバーは一人も選ばれませんでした。
 農水省が通知「住宅地等における農薬使用について」を出し、健康被害の訴えが増えていることを認識し、住宅地での農薬使用に規制をかけたというのに、金沢市ではその動きに逆行しています。
 金沢市は、2回目の検討会のあと、12月5日から12日まで、以下のような方針を公表してパブリックコメントをしました。
  金沢市緑と花の課:アメリカシロヒトリ及びチャドクガの防除について
  「アメリカシロヒトリ及びチャドクガの防除は
   (1)捕殺防除を基本としますが、
    @巣網などの群生カ所が高所にある又は作業の足場が悪いなど
     捕殺防除が困難な場合
    A幼虫が巣網から拡散し、捕殺防除では効果が得られない場合
     において、薬剤散布をします
    また、作業実施においては、
    B周辺住民の合意を得るよう努める
    Cアメリカシロヒトリ又はチャドクガが発生している枝葉に集中させる
    D農薬安全使用基準を遵守することを条件に必要最小限の薬剤散布に助
     成する
   (2)民有地のチャドクガ防除を新たに助成制度の対象とする」
 個人の庭の農薬散布にまで助成金を出す市町村は金沢市以外にないと思います。せっかくその制度を廃止したにもかかわらず、またもや復活しろという要望が出てくるのは、市民に対して農薬散布を中止した肝心の理由、農薬毒性の説明が足りないからです。安易な助成金制度復活で、かつての大量散布に後戻りしかねません。今回は、アメリカシロヒトリは人間に害をなさないという認識が広がったためか、人にかぶれなどを引き起こしチャドクガも対象にしています。
 パブリックコメントには、反農薬東京グループも農薬散布に反対する意見を出しました。募集要項には「必ず、氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号を明記してください」とあり、提出方法は「メール、郵便、ファクシミリ、及び直接担当課の窓口に提出してください」と明記されていましたので、指定通りに出しました。
 ところが、3回目の検討会には、パブリックコメントは提出されず、1枚の紙にまとめた賛成、反対の概要だけしか配布されませんでした。私たちは例をあげながら懇切丁寧に書いたつもりです。それをたった1行だけの概要にして説得力を落としています。方針を決める検討会の委員に見せずに、何のためのパブリックコメントかと思います。
 さらに、驚くべきことに、市は電話での意見も受け付けていたのです。募集要綱に必ず住所氏名を書けといっておきながら、匿名の電話での意見まで受け付けていました。その内容はほとんどが農薬散布に賛成のものです。理由も何もありません。
 市が記録したという調査票には「消毒賛成!経費も安いでしょ」というだけで、日付なし、名前なし、連絡先もなし。これが、賛成1として数えられていました。連絡先もわからないのに、「市内」としてカウントされ、農薬散布・助成金支払い賛成が多かったと発表したわけです。
 実際には全部で107の意見が寄せられ、そのうち電話は45です。これをはずせば、62の意見が募集要項に沿って文章で寄せられたことになります。そのうち反対は43です。
 しかし、北国新聞では「薬剤散布7割賛成」とまったく反対の報道をしています。
 農薬散布を復活するために情報操作をしたと疑わざるを得ません。金沢市はルールに則りパブリックコメントに応えた市民を愚弄しています。反農薬東京グループは意見を提出した人に呼びかけて、金沢市に抗議文を出し、以下の要望をしました。

  1,寄せられた意見を検討会の委員に読んでもらい、検討会をやり直すこと。
  2,市はこの件に関して意見提供者に謝罪すること。
  3,早急に寄せられた意見に対する市の見解をまとめ公表すること。

【資料】 ★埼玉県:取り組み指針H13年度調査結果
     県有施設・樹木の消毒等に関する取組方針アンケート調査(H16年度)結果

★金沢市害虫から樹木を守りましょう

サステインナブル21のHPにある金沢市の資料

 ・都市樹木害虫防除検討会 報告
    都市樹木害虫防除事業薬剤散布作業マニュアル農薬被害

 ・パブリックコメントに対する金沢市の考え方(2004年2月3日)

 ・会議次第(2004年2月3日)

 ・都市樹木害虫防除検討会執行計画(案)(2004年2月3日)

 ・都市樹木害虫防除検討会資料「農薬被害について」(2004年2月3日)

 ・都市樹木害虫防除検討会報告書(案)(2004年2月3日)

 ・都市樹木害虫防除検討会まとめ(案)(2003年12月19日)

 ・都市樹木害虫防除検討会議 パブリックコメント集計

 ・都市樹木害虫防除検討会議事録
   第一回(03/11/11) 第二回(03/11/28) 第三回(03/12/19)

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作成:2004-01-25