街の農薬汚染にもどる
t15601#通知「住宅地等における農薬使用について」をさらに充実させるために農水省へ要望#04-08
 昨年9月に農水省消費・安全局長から「住宅地等における農薬散布について」(以下「通知」)という通知が出てから、10か月が経過しました。当グループの会員は各地で、通知が周知されるよう、また、きちんと守られるよう都道府県や市町村に対して質問したり、要望したりしています。
 しかし、先月号でお知らせした埼玉県鷲宮町の公団住宅での農薬散布、今月号の浜松の報告などの他、私たちが把握しているだけでも東京都町田市、山口県岩国市、山形市、群馬県前橋市などで適用外使用など法令違反が多数あります。これらは会員や被害者が行動を起こしているために明らかになったもので、氷山の一角と言えるでしょう。全国的には通知の存在すら知らない市町村が多いと思われます。
−中略−
 そこで、7月28日に、通知の徹底と改定を求めて農水省農薬対策室に申し入れに行きました。以下に、要望内容を記します。

 申し入れには、浜松の農薬汚染を監視する会と埼玉けむしの会のメンバーが同行し、それぞれ、違反状況を説明しました。浜松の場合はその朝、街路樹への農薬散布状況をビデオに撮って説明しました(写真参照)。通行人がいる歩道への散布など、目を覆いたくなるような危険な散布状況でした。
 −以下略−
【参考】農水省の局長通知「住宅地等における農薬散布について」の通知概要
   詳細な解説はPACES(化学物質過敏症の子供を持つ親の会)のHP通知解説(PDFファイル)にあります。参考にしてください。

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           樹木等の農薬使用に関する要望書
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 農林水産省 消費安全局長様
                       反農薬東京グループ   代表 辻 万千子


   日頃、農林水産物等の安全確保のため、ご尽力頂き誠にありがとうございます。
  さて樹木等、非食用作物の農薬使用においては貴省から、平成12年7月11日付
 「街路樹等の病害虫防除における農薬の適正使用の徹底について」、および平成15
 年9月16日付「住宅地等における農薬使用について」などにより通知されています。
  この通知によって住宅地等での農薬散布が削減しつつあり、認識が深まりつつある
 ことに感謝しています。
  しかしながら、今年、私たちに相談があっただけでも、群馬県前橋市、静岡県浜松
 市、埼玉県鷲宮町、山形県山形市、東京都町田市などで、周辺住民への周知がなされ
 ない、適用のない樹木や害虫への散布、希釈倍率が守られないなど不適切な使用が多
 々見られます。また東京都「化学物質の子どもガイドライン(殺虫剤樹木散布編)」
 でさえ、不適切な使用例があげられています。
  原因として、自治体関係者の認識不足を始め、病害虫防除の文献や図書に誤った記
 述があるなど様々な問題があります。
  つきましては樹木等の農薬使用に関して、健康被害防止のため下記のとおり早急な
 対策を要望します。

                                記

 1.貴省通知(15農安第1714号)[住宅地等における農薬使用について](以下「通
   知」)は、「農薬の飛散による被害がある」と謳っています。しかし現実には飛
   散だけでなく、揮発した農薬の吸入を原因とした健康被害もあります。農薬を使
   用する者が遵守すべき基準を定める省令第6条に、「揮発した農薬の吸入による
   被害を防止するために…」を追記することを要望します。
 2.「通知」のなかで「やむを得ず農薬を使用する場合…」と記されていますがこの
   言葉は、はなはだ曖昧な記述です。貴省は農業の分野で農薬使用を抑えたガイド
   ラインを策定する方針を打ち出していますが、樹木等の非食用作物におきまして
   も、農薬に頼らない病害虫対策のガイドラインを早急に作成し、すべての国民に
   実施を促すことを要望します。
 3.高木の散布は、薬液を浴びる確率が高く飛散、揮発も多量となりたいへん危険で
   す。よって住宅に隣接した街路樹等、樹木への散布禁止および制限区域を策定す
   ることを要望します。
 4.住宅や商店に接した歩道、通学路などで、子供や妊婦が憩う公園などで散布され
   ており、農薬の接触、吸入により健康被害のおそれがあります。このような場所
   は農薬散布を禁止し、せん定、捕殺で対処することを義務づけることを要望しま
   す。
 5.農薬取締法の平成15年改正(以下「改定農薬取締法」)で、食用作物の農薬の
   適用外使用に罰則を設けましたが、農作物の残留農薬被害と同等に、樹木・草地
   の農薬でも健康被害を受ける恐れがあります。特に樹木等への適用外使用が多い
   ため、樹木等の適用外使用にも罰則を設け、適正使用を推進することを要望しま
   す。
 6、改定農薬取締法では、防除業者の届け出制を廃止しました。しかし、多種多様な
   農薬を大量に扱っている防除業者を一般の農薬使用者と同一に論じることはでき
   ません。現に、今年の住宅地等への農薬散布で「通知」を遵守しない防除業者が
   街路樹、公園、マンションなどの樹木に適用外使用を続けています。防除業者は
   許可制にして厳しく法令遵守をするよう農薬取締法の改定を要望します。
 7、「通知」は樹木への殺虫剤散布のみが対象と思われがちです。そこで「通知」の
   1の(1)「農薬の使用に関しては、誘殺、塗布、樹幹注入等」の次に「手取・
   機械除草」を、また、2の(1)「人手による害虫の捕殺、防虫網等」の次に「
   手取・機械除草」を入れ、除草剤も対象であることを明確にするよう要望します。

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作成:2004-8-21