室内汚染・シロアリ防除剤にもどる
t15706#殺虫剤等による空気汚染#04-09
 てんとう虫情報記事t14006t14104で、東京都健康安全研究センター(旧東京都衛生研究所)の斎藤さんらのグループが実施した、有機リン系殺虫剤と有機リン系難燃剤の室内空気汚染調査結果を紹介しましたが、その続報が発表されました(同センター年報54号p-253〜260,2003年)。ここでは、農薬関連物質の室内空気汚染濃度の測定結果をまとめました。

【調査方法】 −省略−

【有機リン剤】
 ダイアジノンは、住宅や室外ではすべてNDだったものの、オフィスビルで、夏冬とも7.7%の検出率で見出だされました。前回よりも検出率は半減しており、最高検出濃度も1.9ng/m3と低値でした。
 クロルピリホスは、住宅のみに検出され、その検出率は夏に高く27.5%、最高19.2ng/m3と、いずれも、前回よりも高い数値でした。シロアリ防除剤として使用された薬剤が室内空気を汚染しているものと思われます。
 前回の調査で、夏冬を問わず検出されていた有機リン剤DDVPやMEPは、今回の調査対象になっていませんが、これら有機リン剤は農耕地だけでなく、樹木散布用や防疫用殺虫剤、ゴキブリ駆除剤として、身の回りで使用されているため、その室内外の大気汚染は日常化していると思われます。
 事実、横浜市環境科学研究所の調査によると、2002年11月から2003年10月に採取された横浜市内の一般大気中から、DDVPが検出率83%、2〜4ng/m3で、MEPが検出率17%、2ng/m3で見出だされています(横浜市環境科学研究所報28号p-70,2004年)。

【ペルメトリン】
 ピレスロイド系殺虫剤のペルメトリンについては、前回は冬のデータしかとられませんでしたが、今回は、夏に採取されました。検出率は、オフィスビル30.8%、住宅18.2%、室外18.8%で、いずれも前回より高い数値でしたが、最大値は、2ng/m3前後と低い値でした。

【クロルデンとフェノブカルブ】
 有機塩素系のシロアリ防除剤クロルデン系の3成分が、主に住宅に検出されています。t-クロルデンの汚染がもっともひどく、検出率36.4%、最高値9.6ng/m3でした。  また、カーバメート系のフェノブカルブは、冬の住宅に18.2%の検出率で、最高8.1ng/m3見出だされ、室外でも1検体検出されました。
 前者は、過去にシロアリ防除されたものの残存、後者は、最近もシロアリ防除剤として使用されているせいでしょうか。


  表 殺虫剤の空気汚染調査結果 −省略−


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作成:2005-02-24