松枯れ・空中散布にもどる
t16101#長野県、松枯れ空中散布中止を撤回〜市町村が理解しないと約束踏みにじる無責任回答#05-01

 本誌151号(2004年3月)に、長野県の松枯れ農薬空中散布が2005年度から中止になるという投稿を掲載しました。農薬空中散布反対全国ネットワーク(以下「ネットワーク」)が出した質問に対して、同年2月26日付けの長野県森林保全課長からの回答に、「平成17年度においては、市町村の理解を得て空中薬剤散布事業を廃止することとしていますので申し添えます」と書かれていたからです。
 ところが、昨年末、長野県に確認の電話を入れたところ、来年度の空中散布中止があやふやになっていることがわかりました。県の森林保全課の説明によれば「市町村の理解を得て中止すると言ったが、理解を得られなかった」というものでした。
 冗談じゃありません。中止するという約束があったからこそ、2004年度の空中散布について目をつむってきたのです。これでは、だまし討ちです。県の約束はそれほどいい加減なものなのでしょうか。
 04年12月8日に、ネットワークは長野県の田中知事宛に「松枯れ農薬空中散布全面廃止の申し入れ」をしました。その中で「『市町村の理解』が条件だとしても、理解を得る見込みがあったからこそ、『廃止することとしている』と回答したはずです。理解が得られないとすれば、県の怠慢です。」と指摘し、さらに、「松枯れの空中散布はすべて補助金で行われています。環境を破壊し、人に健康被害を与え、なお、効果の不明な空中散布は直ちに全県的に中止されますよう、申し入れます」と強く求めています。

★長野県の回答−やったけどだめだった
 これに対して、昨年中に回答はなく、今年に入って催促した結果、1月5日付で林務部長からメールで回答がありました。
 長野県からの回答は、平成17年度からの廃止方針に基づき、市町村に理解を求めたがだめだったというものです。何をやってきたかというと @関係市町村・地方事務所担当者会議、A県の担当者が関係市町村を訪問し説明、B学識経験者・専門家などによる現地検討会を市町村ごとに実施し、空中散布の代替策を検討。
 これらの説明には「有機リン系殺虫剤(スミパイン)散布による健康被害の危険性及び空中薬剤散布に替わる対策案の説明及び提案を行い、空中薬剤散布の中止を要請しました。」とのことです。
 また、上田市で130本程のアカマツに弱毒線虫の接種(ワクチン接種)を試験的に実施もしているとのことです。

 以上のことをやってきたのに、9月県議会で「県市長会から空中薬剤散布の継続についての議会陳情があり、またこの他にも多くの市町村等から継続を望む意見や要請が寄せられました。」と県は言っています。
県が整理した意見要望は以下の通りです。
 ・岩石地や劣悪土壌地で、アカマツが根を張らせて生育しており、枯れた場合、他の
  樹種では更新が難しく、林地崩壊・表土流出が生じる危険性がある。
 ・アカマツにより、その地域固有の景観を形成している。
 ・松茸の生産が、地域振興の上で必要不可欠なものとなっており、地域の雇用も支え
  ている。(松茸の生産量は長野県が全国1位)
 ・地形が急峻で人力による伐倒駆除が困難なため、空中薬剤散布以外の代替策がない。
 ・周辺の市町村から財政支援を受けるなどして、地域をあげて未被害地への被害防止
  帯として位置づけている。
 これらは松が枯れたら困るという意見がほとんどで、空中散布が必要だという意見は、急峻な地形で人力による伐倒駆除が困難というものだけです。空中散布をしなければ松枯れを防げないと思わせている県の姿勢が問題だと思われます。
 また、市町村ごとに専門家が空中散布の代替策を検討したとのことですが、ほんとうにこれがなされていたのであれば、なぜ、何が何でも空中散布してほしいという市町村が存在するのか理解できません。
 さらに、長野県と話し合いを続けたいと思っています。
 そこで、ネットワーク名で、1月14日に
 1,市町村別に現地検討会、代替策を検討したというが、市町村名と具体的な代替策。
   それに対する市町村の対応。
 2,県の方針に従って来年度空中散布を中止した市町村名。
 3,平成17年度の空中散布予定。16年度から減少したか。
 4,県が整理したという空中散布続行を求める理由について、どこの地域で松枯れ被害
   量などと県自体が空中散布でないと松枯れが防げないと思っているのではないか。
 5,空中散布への補助金を廃止するつもりはないかなどの再質問をしました。
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★松林保護対策のシンポジウム〜空中散布反対全国ネットワーク代表                          植村振作さん参加
    松林保護シンポジウム案内
   日時:2004年3月8日(火) 13:30〜17:00 
   場所:笹川記念会館(港区三田3−12−12 )
   主催:(財)日本緑化センター 
   協賛:(社)国土緑化推進機構・全国森林組合連合会 
   後援:(予定) 林野庁、全国知事会、全国市長会、全国町村会林野庁
   詳細と参加(無料)申し込みは、日本緑化センターの開催案内

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作成:2005-01-24