環境ホルモンにもどる
t16301#環境省SPEED98からExTEND2005へ〜環境ホルモン問題をTheEND2005にするな!#05-03
記事t16202で報告した環境ホルモンSPEED98見直し案は、3月8日の内分泌攪乱化学物質問題検討会での論議をへて、3月14日、その内容をほとんど変えずに、新方針「ExTEND2005」として、公表されました。
見直し案についてのパブコメでは、37件(学識経験者・研究者5件、一般9件、活動団体8件、事業者・事業者団体14件、その他1件)の意見があり、環境省はその内容を区分して、16項目にわたる自らの見解を述べています。しかし、見解文には、「農薬」という語句さえでてこず、私たちがパブリックコメントで求めた点は、新方針にとり込まれることはありませんでした。
私たちは、SPEED98リストアップ農薬の内分泌系撹乱作用の評価をあいまいにしたままで、終らせないために、電子版てんとう資料集「環境ホルモンSPEED98→ExTEND批判」を出版しました。また、都道府県へのアンケート調査を実施しました(記事t16302)。さらに、環境省、農水省、厚生労働省に要望書を送りました。
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環境省への要望
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(1)SPEED98における調査研究で、水系での内分泌系撹乱作用が判明したノニルフェノー
ル、オクチルフェノール、ビスフェノールA、天然・合成ホルモン類(動物用ホル
モン剤を含む)等の製造・使用工場や廃棄物処分場、下水処理場等からの排出量・
排出濃度を規制してください。また、環境濃度では内分泌系撹乱作用がないとされ
たフタル酸エステル類についても、高濃度では、生殖毒性が報告されており、環境
中への排出規制を検討してください。
(2)SPEED98を中途半端な形で終らせず、リストアップされ、評価結果がでていない化学
物質、特に農薬について、きちんと研究調査を継続してください。
地方自治体の中には、SPEED98にリストアップされた19の現行登録農薬について、
防除基準等への記載をやめたり、学校や街中、公共施設等住宅地周辺で使用しない
よう指導しているところ、また、貴省の評価結果をみて、今後どうするかを決めよ
うとしているところもありますので、各物質について、評価結果がでるまでのタイ
ムスケジュールを明かにしてください。
(3)ExTEND2005では、今後、内分泌系撹乱作用をどのようなものと考え、どのような試
験をして、どのように使用規制していくかあいまいです。この点を明確にしてくだ
さい。
(4)ExTEND2005においては、優先的に調査研究すべき化学物質を国民の意見を聞いて決
めてください。研究調査される化学物質については、より安全な代替品の開発につ
ながる効果、も考え、まえびろに物質名を公表してください。
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農水省への要望
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(1)登録農薬のノニルフェノールスルホン酸銅水和剤やノニル/オクチルフェノール系
界面活性剤を含む展着剤が環境中のノニルフェノールやオクチルフェノールの汚染
源とならないよう使用規制をしてください。
(2)ノニルフェノール及びオクチルフェノール系界面活性剤、ビスフェノールA、フタ
ル酸エステル類について、農薬補助成分としての使用規制をしてください。
(3)地方自治体の中には、SPEED98にリストアップされた19の現行登録農薬(以下リスト
アップ農薬)について、防除基準等への記載をやめたり、学校や街中、公共施設等
住宅地周辺で使用しないよう指導しているところがあり、環境省の評価結果がでる
まで、現行指導を継続するとの方針を示している自治体もあります。
リストアップ農薬は、内分泌系撹乱作用の有無に拘らず、その毒性に問題があると
考えられる農薬です。2000年6月及び12月発信の「農薬と内分泌かく乱作用の関連
について(協力依頼)」のような指導をやめるよう求めます。
(4)1998年の環境ホルモン国際シンポジウムで農薬業界がリストアップ農薬の毒性を再
評価して、内分泌系撹乱作用がないとしているものについて、どのような評価をし
たかを明かにしてください。
(5)2000年に農薬毒性試験の実施事項が変更され、2001年2月1日以降の提出された農
薬については、神経系、免疫系、内分泌系に係る検査事項/卵巣、脾臓、前立腺、
下垂体等重量測定/性成熟及び発情周期の観察、精子検査等が追加されましたが、
同日以前に登録されているリストアップ農薬について、追加試験結果が報告された
ものがありましたら、その内容を明かにしてください。
(6)農薬製剤中に含まれる補助成分、不純物・代謝物についての情報公開を検討してし
てください。
(7)ハウスやマルチほかの農業用資材に含まれるノニルフェノール、オクチルフェノー
ル、ビスフェノールA、フタル酸エステル類が、農作物や家畜、養殖魚等を汚染し
ないよう対策をお願いします。
(8)家畜排泄物など由来の天然・合成ホルモン類(動物用ホルモン剤を含む)が水系等
を汚染しないよう対策をお願いします。
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厚生労働省への要望
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(1)食品包装・容器類、玩具類等に使用されるプラスチック類から、ノニルフェノール、
オクチルフェノール、ビスフェノールA、フタル酸エステル類が放出します。
(2)医療用資材に使用されるプラスチック類から、ノニルフェノール、オクチルフノー
ル、ビスフェノールA、フタル酸エステル類が溶出します。
(3)室内で使用される建築資材、家具類、家電製品、その他生活用品に含まれているプ
ラスチック類から、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ビスフェノールA、
フタル酸エステル類が放出します。
(4)SPEED98にリストアップされている農薬と同じ活性成分が、家庭用殺虫剤や防疫用殺
虫剤として、現在使用されています。また、POPs系化学物質やPCPのように
シロアリ防除剤として、いままでに使用されたものもあります。
以上4項目それぞれについて、人体や環境汚染防止のために、いままで、どのような対
策をとられてきましたか。また、今後一層の使用規制をお願いしたいと思います。貴省
のお考えをお示しください。
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作成:2005-03-24