環境ホルモンにもどる
電子版「脱農薬てんとう資料集」No.2<環境ホルモンSPEED98→ExTEND2005批判>
t16302#リストアップ農薬をどうするか、都道府県に聞きました#05-03
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環境ホルモン問題をTheEND2005にするな!−環境省、SPEED98からExTEND2005へ

 環境省がSPEED98の見直しをしていることについて当グループは都道府県に「環境ホルモン作用の疑われる農薬を使用しないこと、すでに指導している場合はその方針を継続されることを求めます」という要望をしました。同時にこのリストの農薬についてどう対応するかなど質問しました。
 2月15日にメールで出し、3月16日までに、40都道府県(複数の部署からの回答があるため、回答は44)から回答がありました。回答率は85%でした。回答のなかった県は、青森、長野、新潟、岐阜、島根、大分、沖縄県でした。

 質問内容は
  @SPEED98リストに掲載された環境ホルモンの疑いのある農薬を使用しないよう、
   何らかの指導をしているか。
  A指導している場合、何年にどのようなかたちで、どのような内容の指導をし
   たか。文書名とその内容。
  B環境省の研究調査で、登録農薬19種については、評価結果がでていないこと
   を知ってたか。
  C今後どうするか、方針選択とその理由。
    C-1いままで、使用しないよう指導してきたが、今後あらためる
    C-2独自に判断して決める
    C-3環境省の評価結果がでるまで、現行通り対応する
    C-4環境省の評価結果のいかんに拘らず、登録農薬の適用方法通りに使用する
    C-5その他
 回答一覧を表に示します。

   表 環境ホルモンリストアップ農薬についての「アンケート調査結果」−略−

★何らかの規制をしたのは9県10部署
 98年にSPEED98が発表された後、リストの農薬使用で何らかの規制をしたのは9県10部署(内訳は農政関連7、教育関連3)で、防除基準からのぞいたり、学校などでの使用をやめるようとの指導がなされています。

 この中で岩手県は「指導した」と回答し、今後の方針では「環境省の評価結果が出るまで現行通り」でしたが、毎日新聞1月28日付の記事(今年度からカルバリル=NACの使用を認めたという内容)とは違っていましたので再質問し、回答を得ました。
 それによると、毎日新聞の記事の通り、カルバリルについてはリンゴ、ブドウ、モモ、日本ナシで使用できるようにしていました。理由は、ハマキムシに対する適当な代替剤がないためだということです。
平成13年度には、防除基準に記載されているSPEED98リストの農薬と作物の組合せは318ありましたが、平成14年度以降は、そのうち50組合せの使用を、平成17年度は、51組合せの使用を認め、残りの組合せを使用しないよう指導しているとのことです。環境省の評価がなされていない段階でせっかくの規制を一部解除していることは残念です。

 また、香川県がエンドスルファン=ベンゾエピン、長崎県がシマジン=CATを挙げているのは、農薬取締法の水質汚濁性農薬の使用規制条文によるということです。
 なお、回答がなかった岐阜県は、2003年に「岐阜県農薬安全使用に係る指針」で、SPEED98記載農薬について、可能な限り使用しないよう努めること、としています。

★今後の対応は「現行通り」が多い
B番目の質問のSPEED98リストの農薬について環境省の評価がされていないことを知っているかという質問には、知っているが32、知らないが11で、全回答数の25%が知らないとなってます。環境省はこうした事実をきちんと伝えるべきです。
 C番目の質問「今後の方針」で表で「現行通り」となっているのは、C-3の「環境省の評価結果がでるまで、現行通り対応する」という回答です。現在使用規制を指導している10部署を含め、61%の27が今の方針をそのまま続けると回答しています。その理由として一番多いのが「農薬の安全性評価は国が行うものであり、その判断を待つ」でした。国が評価しないといつまでも待っているということでしょうか。
 また、「環境省の評価結果のいかんにかかわらず、登録農薬の適用方法通りに使用する」という回答も5ありました。鳥取の「独自に判断して決める」の理由の項をみると「農薬取締法に基づいて指導する」とありますから、ここにはいるものと思われます。
 「その他」と回答した中にも農薬取締法をで指導するというのが複数ありました。

 結局、都道府県のSPEED98リストの農薬対応は、環境省の評価結果待ちということになります。環境省はいつ試験をするのか明らかにしていませんから、このままの状態が続くのでしょう。
【参考資料】
 ★内分泌攪乱化学物質問題検討会の資料
    3農薬についての文献調査・信頼性評価の結果(2004/7/27公表)
    28農薬についての文献調査・信頼性評価の結果(2005/3/8公表)

    平成17年度 第1回化学物質の内分泌かく乱作用に関する検討会 議事次第(2005/05/17)
     H14/15年度選定物質の試験進捗状況

      平成17年度 第1回 ExTEND2005作用・影響評価検討会
        H14と15年度選定物質の魚類試験結果及び哺乳類試験結果
       H17年度試験対象物質候補

 ★農薬工業会(2005年10月3日)
      環境省の環境ホルモン戦略計画「SPEED'98」および化学物質の
    内分泌かく乱作用に関する今後の対応方針「ExTEND2005」について

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作成:2005-08-24、更新:2005-10-20