改定農薬取締法関係
t16308#農水省発表、マイナー農作物用農薬の適用外使用で、経過措置延長2963件#05-03
【参考資料】マイナー作物に係る農薬取締法上の経過措置の取扱いについて
マイナー作物に係る農薬取締法上の経過措置の取扱いについて(続報)
記事t15103で述べたように、この3月で、農薬の適用外使用を認める「経過措置」*の期限が切れることになっていました。しかし昨年11月に同省は、緊急性・必要性が高い作物で、試験に取り組んだものの、気象要因等により登録に必要なデータ作成ができなかったもの等について、「経過措置」を延長するとの方針を発表していましたが、2月末、具体的に経過措置を延長する農薬-農作物の組合せが公表されました。
*注:登録農薬を適用のない農作物に使用した場合に科せられる罰則を回避する
ためにとられた措置で、個人や団体の使用者が都道府県知事に申請し、農
水大臣が承認した農薬と農作物の組合せで、違法な適用外使用が可能にな
るというものです。
★承認取消は61.8%の5564件
経過措置が承認された全件数9007のうち、既に登録された組合せは5.4%の482件(登録実数292件)で、延長されたのは、約3分の1の2963件でした(このうち、2068件は現在、登録申請中又は申請準備中であり、検査が終了次第登録される予定とのことです)。
別表には、農水省の資料をもとに、当グループがまとめた都道府県別の承認件数、取消数等とその比率を示しました。
承認取消しになった約62%の5564件は、申請しながら残留データをとるための栽培試験等が行われていないものが大多数だとのことです。都道府県農政担当部署が書類だけでも出しておけと、安易に申請していたとすれば、これに伴う作業は税金の無駄使いとなるわけで、きちんとした行政評価・監視をしてもらいたいと気がします。
ちなみに、取消件数の多いのは、福岡県920件(承認件数の80.9%)、愛媛県470件(同78.2%)、北海道345件(同74.4.2%)など。また、登録数と延長数が多い(きちんと残留性試験を行い、登録をとろうとの意向が大きいと考えられる)のは、山梨県65件(承認件数の91.5%)、高知県123件(83.1%)、鳥取県73件(79.3%)などでした。
★消費者無視の経過措置延長で、農薬摂取量が増える
前述の151号で、経過措置が残留基準の設定を歪めていることを紹介しましたが、今回の農水省の経過措置の延長に伴い、厚生労働省が提案した残留農薬ポジティブリスト制度下での残留農薬暫定基準二次案の修正が求められました。新たな基準の追加が2件(ラッキョのフェンヘキサミドほか)、残留値を基準案よりも高くすることを求めた修正案が26件(ミニトマトのイミダクロプリドほか)、逆に低くすること求めた修正案が1件(ワサビのインドキサカルブ)、農水省から提示されています(農薬対策室意見書参照)。
消費者の意見を聞かずになされている農薬取締法での経過措置の延長は、食品衛生法での、残留基準値の新たな設定や緩和にも影響を及ぼしているわけで、消費者の農薬摂取量を増やす方向につながり、国民の健康をないがしろにするものだといえます。
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作成:2005-08-24