街の農薬汚染
電子版「脱農薬てんとう資料集」No.1
<住宅地や学校での農薬散布について>

t16503#通知「住宅地等における農薬使用について」の違反事例続々と#05-05

 今月に入って農薬散布に関する相談が連日飛び込んでくる。今回は、はやりのブログ風にまとめてみよう。いずれも農水省消費・安全局長の通知「住宅地等における農薬散布について」(以下、「通知」)の違反ばっかり。

★5月12日 東山動物園
 名古屋市の会員から、東山動物園に子供が行かなければならないが、そのときに園内に農薬散布をするといっているので、何とかならないだろうかという相談。聞くと、樹木にDDVPやスミチオンを散布するという。会員は一人で交渉していたが、当グループからも質問を出すことにした。13日に発送。まず、何の木のどういう害虫にどういう農薬を、どのくらい散布するのかという基本的な質問と、動物園の入場者にどういう周知をしているのかなどを聞いている。質問状は、農薬対策室にも渡した。
    【関連記事】記事t16807
★5月16日 迎賓館との話し合い
 前号で、迎賓館での農薬散布で近くの学校へ通っている子供が健康被害を受け通学できないという、東京都民の投稿を掲載した。その後、迎賓館に話し合いを求めていたが、5月16日に岡崎トミ子参議院議員のセッティングで実現した。8団体が連盟で要望したが当日は3団体が出席した。迎賓館からは庶務課長と担当者、農水省からは農薬対策室長が出席。
 迎賓館は、「過去の散布が適切だったかどうかではなく、今後のやり方を相談したい。これから先、農薬散布は最小限にできるのではないか、農水省とすりあわせをしている」と述べた。こちらは「要望を出しているのでまずそれに答えてもらいたい。内容は、農水省の通知を守れということだ。無理な要求をしているのではない」と説明した。
 迎賓館は「迎賓館はそこらの公園とは違う。景観を保たなければいけない。過去30年間同じ方法でやってきた。一本でも枯れたら困る。これからどんな形で対処するか勉強しているので、もう少し待ってほしい」と人の健康よりも木の方が大切であり、迎賓館は例外だと言わんばかりだった。さすがに、農薬対策室長は「迎賓館であろうと、どこであろうと通知は守ってもらわないと困る」と述べ、迎賓館も「それはそうだ。法律は守る」と言わざるを得なかった。
 迎賓館には樹木が2000本あり、松が350本、広葉樹が60本でそれに農薬を散布しているという。また、ここを利用する外国の賓客は年に7回ほどだという。農薬散布をその人たちに知らせているのかと問うと、「客が帰ってから散布している」との回答には、唖然とした。その他、「散布しているのは迎賓館だけではない。隣の東宮御所でも撒いている」などと責任逃れをしようとしていた。
 しかし、最終的に、要望に関しては6月6日までには回答する、その間に農薬散布はしないということで、回答を待つことになった。
   【関連記事】記事t16411記事t16706
★5月17日 各務原市街路樹農薬散布
 朝、事務所に出勤すると、各務原市の会員からSOSのファックスが入っていた。18日から20日の間に、その区域すべての街路樹にカルホス乳剤(イソキサチオン 劇物)を散布するという。さっそく、各務原市に連絡。担当は通知も知らなければ、どういう農薬を撒くかすら知らなかった。「MSDSって何ですか」などと聞く有り様。あまりのずさんさに声もでない。とりあえず、18日からの散布を延期するよう要求し、農薬対策室に相談。直ちに県を通じて通知を守るよう指導してもらうことになった。しかし、その後も各務原市は言を左右にして、散布を止めるとは言っていない。
 各務原市の担当は、会員からの電話に、対象害虫はイラガで、その毛が飛んできて人に害を与えると説明したという。イラガに毒毛があるとは知らなかった。「そんなのがいたら新種のこん虫だからすぐこん虫学会に届け出るようにアドバイスしたら?」と大笑い。口からでまかせもいいところだ。

★5月17日 遠州浜松枯れ空中散布 −省略−

    【関連記事】記事t16601 記事t16703 記事t16906

★5月18日 参議院会館での農薬散布
 5月11日に参議院会館で室内殺虫剤散布勉強会を開催した。そのとき、参加者から参議院会館で農薬散布をしていたと写真を送ってもらった。当日、化学物質過敏症の人が何人か参加していたが、体調が悪くなった人が複数いた。化学物質過敏症の人は集会に参加するといつも後で体調が悪くなるが、この日の具合の悪さは通常のものではなかったという。農薬や殺虫剤規制のための勉強会のその場所に農薬散布されたとは。なにをかいわんやである。
 早速、証拠写真を送ってもらって、参議院会館の営繕課に電話した。散布したのは除草剤のアージラン液剤と、MCPPだという。担当者は、申し訳なかったと謝ったが、やはり、通知は知らなかった。だから周知もされていなかったし、被害者が出てしまったのだ。今後、どうするか、岡崎トミ子議員を含めて話し合うことになった。
 また、農薬対策室に写真を渡し、どういう対応を取るかを聞くと、室長は「営繕関係に通知を送り、きちんと守るよう伝える」とのこと。
 まったく、これではモグラたたきである。この通知に罰則がないことが軽んじられる原因ではないか。罰則をつけろと農薬対策室に言うと、それは難しいという。しかし、防除業者の規制と、委託者責任を果たしてもらうには、他に方法がないのではないか。
購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、 注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。

作成:2005-10-29