街の農薬汚染にもどる
t16507#日本鳥学会がウエストナイルウイルス媒介蚊対策ガイドラインの改定を求める#05-05
わたしたちは、記事t16501にあるように農薬であるMPP(フェンチオン)をターゲットに、農薬対策室に使用規制を申し入れをしましたが、 4月20日、日本鳥学会は評議員・鳥類保護委員一同の名で、環境大臣と厚労省大臣に対して『 ウェストナイル熱予防のための蚊の駆除対策に伴う使用薬剤の選択、使用方法の検討にあたって、特に鳥類に対して強度の毒性を現すことが実証されているフェンチオンの使用を見合わせるように』との要望書を出しました(記事t16405参照)。
★要求が入れられなかったガイドライン
同会のいうウエストナイル熱の蚊対策は、03年に厚労省が出したガイドラインのことで、当時、この指針が殺虫剤散布にたよりすぎる対策であったため、化学物質過敏症支援センターや反農薬東京グループら20を超える団体・個人が、厚労省にガイドラインの作成をやり直すよう求めました(記事t14101参照、 03年06月の要望書)。
しかし、同省は『ウエストナイル熱の流行拡大が懸念される場合にあっても、安易な化学物質の空中散布等では十分な効果が期待できず、過剰な化学物質の使用になることから、以下に留意する必要がある。
(1)乳幼児等の家族を持つ住民の不安や環境に十分配慮すること。
(2)感染症の蔓延防止の効果と化学物質のもたらす健康危害や環境
影響を十分に比較検討して対策を講じること。』との一文をつ
けた上、ガイドラインの内容を変更することなく、参考資料と
して、都道府県等に配布しました。
わたしたちは、緊急要請として、研究資料にある殺虫剤リスト中のダイアジノン、DDVPとフェンチオンを削除することも求めましたが、聞き入れられませんでした。
★厚労省ガイドラインの全面改定を求めよう
アメリカでの04年のウエストナイル熱の発生は、患者2470人(死者88)と前年の 患者9862人(死者 264)よりも減少しています。患者数1000人以上であったコロラド、ネブラスカ、サウス・ダコタの3州で、10分の1以下に減少した反面、カリフォルニア州のように3から771人と激増したところもあるので、本年の発生状況が注目されます。
ところで、肝心の蚊対策については、どうでしょう。厚労省は、昨年6月に、アメリカの疾病予防センター(CDC)が作成したウエストナイル熱対策啓発用CD-ROM(殺虫剤散布の様子は全くでてこない)を配布したのみで(記事t15603参照)、蚊発生抑制については、具体的なことは、何も行っていません。
アメリカで、ボウフラ対策の主流になっている、BTi剤(バチルス・チューリンゲンシス・イスラエレンシス菌使用)は、日本では、薬事法承認を受けていないので使用できませんし、これに類する日本固有の菌を用いた薬剤の研究開発も行われていません。
鳥学会が、MPP剤の削除を求めたのを機会に、わたしたちも、再度、有機リン剤偏重の蚊対策ガイドラインの改定を求めていきたいと思います。
【参考資料】日本鳥学会の要望 日本生態学会第 52 回大会総会の要望
資料集「脱農薬Ж蚊対策のすすめ」
厚生労働省のガイドラインは、子どもの健康と環境を守る会HP又は日本医師会HPへ
渡部さんのHPにあるWNV対策と問題点
アメリカのCDC
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作成:2005-08-25