街の農薬汚染にもどる
資料集「脱農薬Ж蚊対策のすすめ〜厚労省の殺虫剤主体のウエストナイル熱対策批判〜
t16804#厚労省のウエストナイル熱の媒介蚊対策ガイドラインの撤回を要望〜MPPの使用自粛だけではダメ#05-08

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   【参考サイト】大阪府(蚊サーベイランスあり)横浜市(蚊サーベイランスあり)

 7月22日、厚労省は「フェンチオンの鳥類に対する毒性調査の結果について」という通知を出し、その中で、同省が2003年6月に配布した「厚生労働科学研究で取りまとめられたウエストナイル熱の媒介蚊対策に関する参考図書」(以下「ガイドライン」という)に関して、『ガイドラインにかかわらず、ウエストナイル熱の媒介蚊対策においては、フェンチオンの使用を差し控えられるよう要請する』との技術的助言をしました。これは、同日、環境省が後述の通知をだしたことに連動するものです。

★環境省の調査結果の詳細はまだ不明
 北海道の特別天然記念物タンチョウの死亡原因として有機リン系殺虫剤MPP(フェンチオン)が問題になっており、日本生態学会や日本鳥学会が「ガイドライン」で推奨されている殺虫剤MPPの使用中止を求めていました(記事t16405記事t16507参照)。その後、6月には、日本野生動物医学会が同じ趣旨の要望を行っていました。 環境省の通知は、7月22日の環境省東北海道地区自然保護事務所の死亡したタンチョウなどの検査結果の発表を元にしています。
 これを踏まえて、厚労省のMPP使用自粛の通知になったわけです。しかし、環境省通知には「農薬」についても触れられていますが、農水省には、前もって話がなかったようです。今後、MPP使用実態の調査結果を待って、農水省にも農薬についての対応策を求める必要があるでしょう。

★厚労省に、独自の対応策をだすよう要望
 厚労省は、2003年6月18日の「ガイドライン」(日本医師会HP)配布にあたり、結核感染症課長の通知で、『ウエストナイル熱の流行拡大が懸念される場合であっても、安易な化学物質の空中散布等では十分な効果が期待できず、過剰な化学物質の使用になることから以下に留意する必要がある」として、
(1)乳幼児等の家族を持つ住民の不安や環境に十分配慮すること
  (2)感染症の蔓延防止の効果と化学物質のもたらす健康危害や環境影響を十分に比較検討して対策を講じること』と注意しています。しかし、人の健康被害を懸念した私たちの要望にも拘らず、その内容は、一向に改められませんでした。
 今回、希少野生動植物種保護を目的として、MPP使用自粛の要請をしたのですから、人の健康保護には一層の対応策が必要だと思われます。そこで、化学物質過敏症支援センターとサスティンナブル21と連名で、「ガイドライン」の撤廃と、新たに厚労省としての対応策をだすことを求める要望を送りました。

★東京都の対応指針も問題だ
 ところで、7月14日には、東京都福祉保健局と産業労働局が、「東京都ウエストナイル熱対応指針」を公表しています。その中には、
 鳥類・蚊からのウイルス検出又は患者発生した場合の防除体制として、
 ・保健所の指示に基づく蚊の駆除及び発生源対策の実施
   発生地域中心に2km程度での薬剤による蚊成虫、幼虫の駆除
   発生地域中心に10km程度での幼虫の発生源対策の実施
    ※ 発生源対策では、昆虫成長制御剤(IGR)の散布が有効
 と記されています。 また、蚊の駆除の項には、
  公園や道路側溝などの公共場所への散布が考えられるが、駆除薬剤の人体や環境へ
  の影響や蚊の駆除効果などについて、関係機関と十分検討した上で、必要に応じて
  実施する。なお、薬剤による蚊の駆除については、人体への影響や環境汚染問題を
  考慮し、手法等については、慎重な対応を行うこととする。
 とあるものの
  蚊の駆除は、ウエストナイルウイルスの早期発見と同じく最も重要な対策である。
  蚊の駆除には、成虫対策と幼虫対策とがあるが、成虫対策は一時的な効果しかない
  ことから、速やかに幼虫対策を実施する。
  ○公共施設及び公共水域(河川等)は、保健所の助言を得て、原則、区市町村が実
   施する。
  ○民間の施設についてはその管理者が、個人の住宅等についてはその所有者が、
   保健所の助言を得て、蚊の駆除及び防除を行う。
  ○身の回りに蚊が発生する恐れのある水たまり(庭先の人口容器等)の除去等に
   ついて、都、保健所、区市町村は、ホームページ等で都民に協力を呼びかける。
  [幼虫駆除のための薬剤]
   有機リン系化合物を有効成分とする乳剤、粒剤、油剤、水和剤、発泡製剤が
   ある。また、昆虫成長制御剤(IGR )の懸濁剤、粒剤、水和剤がある。
  [成虫駆除のための薬剤]
   有機リン系等の薬剤のULV (超微量散布)・煙霧等による処理
と、有機リン剤等の使用が推奨されており、相変わらず、厚労省の「ガイドライン」の内容が踏襲されていましたので、同省への要望と同じ趣旨のものを東京都にも提出しました。

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作成:2006-01-28