街の農薬汚染にもどる
t16903#東京都が電車・バス車内等での殺虫剤濃度を調査#05-09
【関連資料】平成17年度第1回化学物質保健対策分科会評価結果
東京都は、7月29日、平成16年度の室内空気環境由来の化学物質曝露量推計調査結果を公表しました。その中で、福祉保健局が、室内空気の調査対象として、バス、電車、地下鉄、地下街の空気の調査を担当しました。調査された化学物質は、厚労省が室内濃度指針値を決めている13物質とその他のフタル酸系可塑剤、有機リン系難燃剤、殺虫剤等18物質、合計31物質ですが、ここでは、電車やバスなど交通機関の車両における殺虫剤室内空気調査の結果を紹介します。
★電車・バス内の空気に殺虫剤検出
車両内空気調査は、以下のものが合計23台対象になっています。
対象車両 使用後1年未満 1年以上
電車 5台 6台
バス 6 6
調査期間は、04年7月〜10月です。電車やバス内の空気の採取は、車庫に停車中に車両の扉を閉め切った状態で実施されました。
表に調査結果を示します。比較のため実施された室外空気の測定値も載せておきます。
7種の殺虫剤のうち、ダイアジノンが8.7%、DDVP(=ジクロルボス)が100%、ペルメトリン:13%、MEP(=フェニトロチオン、商品名スミチオン)30.4%の検出率で見出されました。最も濃度が高かったのは、DDVPで0.0167μg/m3、次いで、ペルメトリンの0.0131μg/m3でした。これらの由来については、調査報告は触れていませんが、室外空気よりも濃度が高いケースがあることからみれば、私たちが問題にしている車両の車内消毒に由来するものであるかも知れません。
都健康安全研究センター(旧都衛生研究所)が2000年と2001年に実施した、商業ビル・一般住宅内の殺虫剤等の化学物質による室内空気汚染調査結果(記事t14006、記事t14104、記事t15706)では、クロルピリホス、ダイアジノン、フェノカルブ、ペルメトリン、DDVP、MEP(スミチオン)などが、室外空気よりも高い濃度で検出されましたが、これらは、シロアリ防除剤や家庭用殺虫剤に由来すると考えられました。
表 電車・バス車両における空気中の殺虫剤汚染調査結果
(単位:μg/立方メートル)
車両室内空気 室外空気
物質名 検体数 検出数 検出率 最小-最大 検体数 検出数 検出率 最小-最大
クロルピリホス 23 0 0% ND 6 0 0% ND
ダイアジノン 23 2 8.7 ND-0.011 6 0 0% ND
フェノブカルブ 23 0 0% ND 6 0 0% ND
ペルメトリン 23 3 13% ND-0.0131 6 0 0% ND
DDVP 23 23 100% 0.0026-0.0167 6 5 83.3% ND-0.0033
クロルピリホスメチル 23 0 0% ND 6 0 0% ND
MEP(スミチオン) 23 7 30.4% ND-0.0035 6 1 16.7% ND-0.0022
★殺虫剤の車内空気汚染の原因調査を
電車とバスによる、また、使用後の年数による汚染濃度の違いを調べるための調査も実施されましたが、殺虫剤の場合、汚染原因を云々できるような情報はありません。そもそも、今回の調査対象となった電車、バスは、都営交通機関のものと思われますが、いったいどのような管理がなされていたかについて、具体的なことが全く不明だからです。
今後、他の鉄道会社を含め、どのような薬剤で車内消毒が実施されたかを調査し、使用された殺虫剤等についての室内空気調査を実施してもらう必要があり、国土交通省への要望の実現をめざしていかねばなりません。
また、今回実施された殺虫剤以外の化学物質の調査結果では、バス2台でホルムアルデヒドが、電車1台で、トルエンが厚労省指針値を超える濃度で検出されましたが、通常使用状態での走行中の車内空気汚染濃度は、5分の1から10分の1程度に減少したとのことです。これは、扉の開閉で、車内空気が置換されるためと思われます。特に、車両の軽量化でプラスチックス類の使用が増え、難燃剤が添加されるせいか、フタル酸系可塑剤DEHPや有機リン系難燃剤リン酸トリメチル、環境ホルモンであるノニルフェノールなど1μg/m3を超えたものがあったことに、注意を払う必要があるでしょう。
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作成:2006-02-26