街の農薬汚染にもどる
t17102#東京都の地下街空気汚染調査〜DDVPの検出率は100%#05-11
てんとう虫情報記事t16903で、東京都福祉保健局による化学物質の室内空気調査のうち、車両内の殺虫剤汚染について紹介しました。今号では、新たに入手した地下街の空気汚染の結果を紹介します。
【参考資料】平成17年度第1回化学物質保健対策分科会評価結果
平成16年度室内空気環境由来の化学物質曝露量推計調査結果(概要)
★有機リン系殺虫剤の汚染が目立つ地下街
地下街5施設(15個所)、地下鉄駅5施設(20個所)で、2002年7月から10月にかけて空気採取が行われました。殺虫剤の分析結果を表1に示します。
有機リン剤であるダイアジノン、DDVP、クロルピリホスメチル、MEPとピレスロイド系のペルメトリンが検出されました。DDVP以外は、室外空気には検出されておらず、これらの薬剤汚染は、地下街における防疫用殺虫剤の使用のせいだと思われます。中でも、検出率が高いのは、DDVPとMEPでそれぞれ100%、91.4%で、シロアリ防除剤として一般住宅内の空気で検出率の高いクロルピリホスの検出率0%、また、最も汚染濃度が高かったのはDDVPの83.6ng/m3でした。
表1 地下街における空気中の殺虫剤汚染調査結果 −省略−
★車両と地下街の化学物質汚染
室内空気を汚染しているのは、殺虫剤だけではなく、建材由来と思われる化学物質が多くを占めています。前回の記事では、紙面の都合で触れられなかった車両内と地下街空気汚染の調査結果を、表2に示しておきます。
車両及び地下室空気のいづれでも、90%以上の検出率で見出された化学物質は、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、ノニルフェノール、DEHPなど4種のフタル酸エステル系可塑剤、TCEPなど4種のリン酸系難燃剤です。
地下街調査で、厚労省の室内濃度指針値を超えたのは、トルエンで、使用年数1年以上たつ地下施設でした。扉を締切りにせず、通常の使用状態下で室内空気を採取して、再調査が実施されましたが、549μg/m3とやはり指針値を上回り、そのため、都は、換気方法等の改善について指導を行ったとのことです。
表2 車両内と地下街における空気中の化学物質汚染調査結果 −省略−
★採取場所を言えないようでは
東京都の一連の研究で、車両内にしろ、地下街にしろ室内空気が、室外よりも汚れていることが、明かになりましたが、調査を実施した場所についての記載が報告書にないことが気になります。福祉保健局に尋ねましたが、担当者は、はっきりしたことはわかないというし、都営地下鉄・都営バスでサンプリングしたかとただしても、不明という答えしか返って来ないのには、首をかしげざるを得ません。
都の報告書は『都民が利用する様々な生活空間・居住状態における化学物質曝露量に関する一定の知見が得られた。今後は、都民への助言等に活用し、換気や化学物質の使用方法の改善等により都民の化学物質によるリスクの削減へ取り組んでいく。』
と締めくくられていますが、車内消毒をしていない会社はどこか、消毒をしていないのに、殺虫剤成分が検出されるのは、なぜか。また、どこの地下街の汚染がどの程度か、などを含め、都民に化学物質汚染の実態を知らせることは、その低減化に有効だと思うのですが。
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作成:2006-04-26