空中散布・松枯れにもどる
t17301#無人ヘリコプター農薬散布は航空機による空散の補完事業!?〜農林水産航空協会事業は定款に違反しないと農水省が回答

 前号で、農林水産航空協会に関する質問の前文を掲載しましたが、農水省から回答を得ましたので、次頁以降にその内容を掲載します。(無人ヘリコプター防除業者の規制強化については次号で報告します。)

  【農林水産航空協会】とは
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 有人ヘリによる農薬空中散布は減少し、その機数は10年前の半分以下で、現在100機程度しかありません。一方、無人ヘリ台数は、2000機以上で、オペレーターの数も1万人を超え、防除面積も有人ヘリによるものより多くなっています。現在、無人ヘリコプター事業を取り仕切っている(社)農林水産航空協会(以下「協会」)の定款目的には、航空機(有人ヘリ)事業はありますが、無人ヘリ事業については、何もふれられていません。つまり、目的外の事業をしているということになります。そこで、協会を監督する農水省に、無人ヘリについての疑問をぶつけたわけです。

 回答によると、農水省は、無人ヘリ事業を協会定款の目的に違反しないとして、その理由に第四条(事業)の第9項にある「その他協会の目的を達成するに必要な事業」に該当するものであることを、挙げています。しかし、そもそも協会の目的は、航空機事業に関することなのですから、無人ヘリは、目的の対象外であるのです。定款に反することを、このように言い繕うことは許せませんし、目的達成のための補助金の使途も明確ではありません。
 農水省は、無人ヘリ事業を、有人ヘリの補完事業として開発・普及させてきたといいますが、同事業は、今や有人ヘリ以上の面積で独自に実施されています。複数の無人ヘリ(水田の場合、10数機による一斉散布もある)で、地上散布の100倍も高濃度の農薬を上空から散布する(松林の場合は、高度20mを超える場合もある)、おまけに、複数農薬の現場混用もありますから、特に厳しい散布規制がとられるべきです。しかし、県によっては地上散布として位置づけているところもあり、有人ヘリの諸規制すら適用されていません。

 現状維持しか頭にない農水省に対して、今後とも、無人ヘリ農薬散布規制の強化を求めて行く必要があります。
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       (社)農林水産航空協会に関する質問への農水省回答
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【質問1】協会が産業用無人ヘリコプターに関する事業を実施するようになったのは、
     何年度からか。各年度毎の事業内容を示されたい。
【回答】協会が無人ヘリコプターに関する事業を実施したのは、昭和55年度からであり、
    それ以降の事業概要は以下のとおりです。

 H55〜63年 農業用遠隔誘導式小型飛行機、散布装置等の開発
  H元年  無人ヘリコプターの水稲への実用化試験の開始
  H 2年  実用化試験 
       機体・散布装置の性能確認、定期点検及びオペレーター等の従事者の
       認定のための組織・体制の整備 
  H 3年  無人ヘリコプター利用技術指導指針に基づき事業を開始。 
       ・操作要員等の空中散布等に関する技術の向上に資するための研修体制
        を整備し、必要な研修を実施。 
       ・機体等の性能を確保するため調査を行い、当該製造業者等に対し、所
        要の指導を実施。
       ・操作要員、機体、事業の実施状況等に関する情報の収集等による実態
        把握及び実施主体等に対する情報と提供等により安全かつ効率的な事
        業の推進。 
       ・無人ヘリコプターの利用上の特性に十分配慮し、安全かつ効果的な
        技術の開発及び改善。 

  H4〜 8年(主な事業) 中山間地域における実用化促進事業
  H9〜11年 (主な事業) 高性能無人ヘリコプター散布システムの実用化試験
  H14年〜 (主な事業)精密散布システムの開発

【質問2】各年度ごとの、産業用無人ヘリコプターに関する事業内容と事業毎の収
     入・支出金額及び全収入及び支出金額に対する比率を示されたい。
【回答】有人ヘリコプターと無人ヘリコプターの両方に共通する事業もあるため、無人
    ヘリに関する事業の収入・支出金額及び金額比率を示すことは困難です。

【質問3】協会が発足以来、国から受けた補助金・助成金等の金額を各年度毎に示さ
     れたい。そのうち、産業用無人ヘリコプターに関する事業への補助金・助成
     金等の金額を各年度毎に示されたい。
【回答】協会への補助金交付額(過去5年間記載)は、以下のとおりとなっでいます。
    そのうち、無人ヘリコプターに関する事業としては、平成12年度及び平成13年
    度は高性能無人ヘリコプターの散布システム実用化試験等、平成14年度〜平成
    16年度は精密散布システムの開発等が含まれています。
    なお、実際に事業を行う場合、有人ヘリコプターに係る事業と共通する部分
   (検討会開催費等)があるため、無人ヘリコプターに係る金額だけを示すことは
    困難です。

 	年度   2000年  2001年    2002年  2003年  2004年 
   交付額    71,506  59,192  37,072  35,353  49,394(千円)

【質問4】協会の無人ヘリコプターに関する事業の実施について、貴省はどのように
     指導されたか、明かにされたい。
【回答】無人ヘリコプターによる空中散布等を実施するに当たって、無人ヘリコプター
    利用技術指導指針において協会の役割を以下のとおり定め、協会がこれまでの
    有人ヘリコプターの利用に関する知識・技術を活用して、無人ヘリコプターの
    安全かつ効率的利用に関して指導的役割を担うよう指導しています。
   (1)操作要員等の空中散布等に関する技術の向上に資するため、研修体制を整
     備し、必要な研修を実施すること。
   (2)機体等については、その性能を確保するため製造業者等の協力を得て調査
     を行うものとし、改善が必要な場合には、当該製造業者等に対し、所要の指
     導に併せて協力に努めること。
   (3)操作要員、機体、事業の実施状況等に関する情報の収集等による実態把握
     及び実施主体等に対する情報の提供等により安全かつ効率的な推進に努める
     こと。
   (4)散布試験及び調査等を実施するときは、無人ヘリコプターの利用上の特性
     に十分配慮し、安全かつ効果的な技術の開発及び改善に努めること。

【質問5】2005年11月末現在、協会の会員及び賛助会員の中に、無人ヘリコプタメー
     カーや産業用無人ヘリコプター業界団体、無人ヘリコプターによる農薬散布
     会社があれば、その名称とそれぞれの加入年月を示されたい。
  【回答】−省略−

【質問6】協会の行う無人ヘリコプターに関する事業は、定款の目的に反すると考える。
     同協会を監督すべき貴省のお考えを示されたい。
【回答】1 社団法人農林水産航空協会定款の第2条において、「協会は、農林水産業
     における航空機による薬剤、肥料の散布等航空機を利用する事業(以下「農
     林水産航空事業」という。)の発展を図るため、農林水産航空事業の実施に
     関する情報の収集・提供、調査研究、新技術の開発その他農林水産航空事業
     の振興に関する事業を行うことを目的とする。」と定められています。
    2 ここでいう「航空機」に無人ヘリコプターは含まれませんが、無人ヘリコ
     プターによる薬剤、肥料等の空中散布は、有人ヘリコプター(航空機)の利
     用が困難な場合における補完事業として開発、普及されたものであり、農林
     水産航空事業の健全な振興に資するものと考えています。
    3 このため、協会が行っている無人ヘリコプターに関する事業ついては、定
     款第4条(事業)の(9)に掲げる「その他協会の目的を達成するに必要な
     事業」に該当するものであり、定款に違反したものではないと考えています。

【質問7】協会が目的に反する事業に補助金等が使用した場合、関連する補助金の廃止
     や「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に基づく制裁措置(
     たとえば、同事業に使用した補助金の返還)をとられるべきと考える。
     無人ヘリ関連の事業への補助金について、貴省のお考えを示されたい。
  【回答】−省略−

【質問8】定款違反が明確になった場合、民法第七十一条に基づき、協会の社団法人許
     可を取消し、農薬散布による人や環境の被害を防止することを目的とした組
     織をつくるべきと考える。貴省のお考えを示されたい。
  【回答】−省略−

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作成:2005-12-24